■あかり■

さて今日の仕事はこれくらいにしようと、切り上げた報告書の束を持ってエースは図書室のドアを開いた。
夜も更けに更け、城の中はもう真っ暗といっても差し支えない。
階下ではわずかに玄関まわりを小さな光が取り巻いているが、歩を進めようとする足下は、机上のランプに萎縮しきった自分の目には心許なく、エースは眩む視界に眉間をつまんだ。

手すりを掴んで幾度か瞬いているうちに、だんだんと目が慣れてきて、もとより闇に適応したその目には遠い窓から差し込む月光で十分なほどになった。
そうしてから気づいたのが、まわった廊下からかすかに漏れる光。

その廊下の先には城主の部屋がある。今は炎の英雄であるゲドの部屋。
こんな時間にまだ起きているのかと、起きているならこの報告書をちょっと見てもらうといういいわけで顔を見てから寝るのも悪くない、などと。エースはそこへ向かうことにする。

夜なのを考慮して緩くノックした音には反応がない。
もう一度こころもち強めに打った音にも声はない。
たいしょう?と呼んでみるがもとより期待はしていない。

ゆっくり扉を開けば闇になれた目を灯りが刺した。

見ればその真っ黒な男は椅子にかけたまま読みかけの本を開いて寝ているのだ。
エースはそれを見ると、毎度のごとくため息をつくように笑って、
さて起こすべきかと悩んでみた。


おそろしくきままに書いています。
2003/02/25//BXB