新聞の訪問販売のクーリングオフ

(神 行政書士事務所作成)
新聞を駅の売店やコンビニで買った場合はクーリングオフできませんが、訪問販売で株式会社が発行する新聞を買った場合はクーリングオフできます。

※【参考】 株式会社以外が発行する新聞は、訪問販売や電話勧誘販売について規制する特定商取引法の適用除外となっているためクーリングオフできません。

新聞の契約と言いますと、3ヶ月や半年、あるいは1年間の購読契約が多いと思いますが、将来の約束を契約する場合もあります。今から1年後に半年間の購読契約をすることを、今その場で契約書を交わしたりします。 いずれにしても、訪問販売である限りクーリングオフできます。

クーリングオフできる期間は、契約書(クーリングオフについて記載のある書面)を受け取った日から(その日を含めて)8日以内です。

では、新聞のクーリングオフはどうやってやったら良いのでしょうか?

筆者の行政書士事務所にも時々新聞のクーリングオフ代行の依頼が来ます。しかし、そのほとんどはお断りしています。(筆者の説明を聞いて、納得した上で依頼を取りやめています。)

例えば、3ヶ月の新聞購読契約と言いますと契約金額は1万円ぐらいです。それを筆者の事務所に依頼しても代行手数料が1万円ぐらいかかるわけですから、何の金銭的メリットもありません。それだったらクーリングオフしないで新聞を読んでも良いわけです。

しかし、新聞が邪魔になる(ゴミが増える)というお考えの方やクーリングオフしないと3ヵ月後に再度勧誘されるという不安を持っている方もいます。また、お金の問題ではないという人もおり、依頼を受ける場合もあります。

お金がかかっても行政書士にクーリングオフの代行を依頼したいという人もいるでしょうが、お金をかけずに手続きしたいという方のために、新聞のクーリングオフについて解説します。

クーリングオフは、法律上は書面で行うとなっています。法律外の口頭によるクーリングオフも判例により有効とされていますので、口頭によるクーリングオフも可能ではありますが、今後のトラブル防止のため、当サイトでも書面による手続き、特に内容証明郵便を推奨しています。

しかし、相手が悪徳業者でない場合や契約金額が高額でない場合は、口頭やハガキでクーリングオフしても問題ないケースも多くあります。 もし、口頭やハガキによるクーリングオフが失敗してクーリングオフができなかったとしても、契約金額が少額なら被害も小さく諦めもつくと思われます。わずか1万円の契約に内容証明郵便を使うのは、大げさとも言えるでしょう。

■(方法1) 電話連絡
(相手が信用できる場合、説得される不安がない場合、仮にクーリングオフが失敗しても被害が少ない場合)

電話でキャンセル(クーリングオフ)の連絡をして、その電話で受け付けてもらえば、それで解決してしまう場合もあります。ただ、電話の場合は、「言った、言わない。」でもめたり、「そんな話は聞いていない。忘れた。」と言われたら、あとで困ります。 1年後から新聞を購読する契約をしたような場合には、新聞販売店の人がそのまま忘れてしまい、1年後に新聞が配達されたら大変です。こういうケースは、新聞販売店が良心的かどうかの問題となり、相手を信用するしかありません。

■(方法2) クーリングオフ通知書の送付
(電話をしたくない場合、相手が信用できない場合、クーリングオフの証拠を残したい場合)

不安な場合は、書面でクーリングオフの通知をして証拠を残しておくことになります。 ただ、クーリングオフ通知は、先にも述べたように内容証明郵便でやるほどのことでもなく、ハガキで十分だと思われます。(もちろん、お金の問題ではないと思う人、確実に証拠を残して安心したい人、再勧誘防止の圧力のため、また、抗議の意思を伝える目的等で内容証明郵便を利用することは構いません。)

■(方法3) 新聞販売店に出向く、または自宅に来てもらい解約手続きをする
(目の前で解約したことを確認したい場合、クーリングオフの証拠を残したい場合)

なお、新聞の場合は、新聞販売店というお店がありますから、そこへ出向いて直接クーリングオフする旨を伝えるか、または電話をして依頼すれば、新聞拡張員ではないお店の経営者等に自宅に来てもらうこともできるでしょう。その際、新聞販売店側が持っている契約書を破いたり、契約書に×印をつける。または、解約済みの記載をしてもらう。あるいは、解約した旨を書いた書面を一筆もらっておくなど、クーリングオフして契約を破棄した ことがわかるようにしておけば、それが証拠になりますから、この場合は、クーリングオフ通知書は出さなくても良いでしょう。


ハガキの文例

※当サイトでは、ハガキは推奨していません。しかし、相手が悪徳会社ではない場合や契約金額が少額の場合は、ハガキでクーリングオフしても通常は問題ないと思われます。ただし、慎重に手続きしてください。

【 裏面の記載例 】

 

契約解除通知

契約日   平成○年○月○日
商品名   ○○新聞 朝刊
契約期間 平成○年○月〜○月まで
       3ヶ月間
販売店名 ○○新聞福岡店

上記の新聞購読契約は解除します。

 平成○年○月○日

住所 福岡市博多区○○1丁目23番地
     ○○アパート101号
氏名 解約 一郎  
電話 092−○○○−○○○○








【 表面の記載例 】

宛て先(販売店の住所・名称)を書きます。

《例》
福岡市博多区○○5−4−3
 新聞ビル 2F

○○新聞福岡店
 代表 新聞 太郎 様


(特記事項)
@縦書きでも横書きでも構いません。
A印鑑と電話番号はなくても良いが、印鑑は押した方が良い。
B代表者の氏名が分からない場合は、「代表者 様」、あるいは「○○新聞福岡店 御中」でも良い。
Cハガキを出す前に、ハガキの表と裏の両面をコピーして保管する。
D郵便局から簡易書留で送付すること。(特定記録郵便はお勧めしません。)


新聞勧誘の際に受け取った粗品・景品・おまけ(ビール券、洗剤等)について

新聞を契約する際に受け取った粗品(景品・おまけ)は、新聞の購読契約とは別個の単なる贈与(無料の贈り物)と考えられるので、 原則として新聞購読契約をクーリングオフしても返品する義務はありません。

ただし、粗品が契約の条件になっていた場合には、返品する義務が生じると思われます。しかし、この場合でも、受け取った粗品をクーリングオフするまでの間に使用・消費してしまった場合には、販売業者は粗品についての損害賠償や使用利益・不当利得を請求できません。 (なお、当初から新聞購読契約をする意思がなく、粗品・景品が目当てで契約し、クーリングオフした場合、消費者保護を目的とするクーリングオフ制度の趣旨に反するため、権利の濫用としてクーリングオフが認められない場合もあります。)

粗品の処理に困った場合は、相手とのトラブルを避けるため、自主的に返品しても良いですが、相手から返して欲しいと言われたら返せば良く、何も言われなければ受け取ってしまっても構わないでしょう。
【返品方法】
クーリングオフしたからといって商品の返品方法や返品にかかる費用の額を消費者が勝手に決めることはできません。(例えば、相手の同意なく勝手に送料着払いで返送することはできません。)ですから、返品する意思がある場合は、電話連絡等により相手に確認を取った方が良く、取りに来てもらうのが原則になると思います。 もし、電話もしたくない場合は、送料自己負担で返送することでしょう。



読んだ新聞の代金は支払う義務があるのか?

新聞をクーリングオフした場合、クーリングオフするまでに受け取った新聞の代金を支払う義務はあるのでしょうか?

新聞の場合、商品としての価値は、紙ではなくその中身の情報にあります。そこで、新聞を読めば不当利得を得たことになり、 このため、かつては新聞をクーリングオフした場合、受け取った新聞を返品したとしても、その期間分の料金を不当利得として請求される可能性がありました。

しかし、現在では法律が改正され(2009年12月1日に施行された改正特定商取引法)、訪問販売において商品をクーリングオフした場合には、不当利得の返還義務がない旨明文化されました。よって、現在では、クーリングオフした場合に、読んだ新聞の代金を支払う義務はありません。




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