インマニやインジェクションパイプ類を外し、ロッカーカバーをあけた状態。あとはウォーターパイプ関係とエキマニを外せばヘッドを外せる。
ヘッドを外す前にクーラントを全て抜き取る。バケツの縁の白いウェスに染み込ませたクーラントの色に注意。グリーンだったクーラントは燃焼ガスとオイルで汚染され、5,000kmくらい走った後のガソリンエンジンのオイルのような色になってしまっている。
四角い吸気ポートの内側にはカーボンが結構ついている。空気しか通らないはずのインマニがこれでは、燃焼室は・・・考えるのも恐ろしい。
ヘッドを外し、燃焼室を見たところ。
ヘッドを取りつけているボルトは17本あり、ヘッドの歪みを防止するため、締め付ける時も緩める時も順序が決まっている。
しかし、それらのボルトを緩めても、往々にしてヘッドガスケットが貼り付いてしまっているので、ヘッドはそう簡単には外れないのだ。なので、ヘッドの四隅にはテコにする工具を差しこめる隙間がある。ヘッドはシリンダ本体であるブロックと、位置決め用のノックピンでつながっている。バルブの並んでいるラインのほぼ延長上両端にある小さな穴がノックピン穴だ。したがって、ヘッドはまっすぐ上に剥がしてやる感じで外さなければならない。バールとかでかいドライバーなどを突っ込んでこじって剥がす。ガスケットの貼りつきをある程度剥がせれば、ヘッドを持ち上げて外すことが出来る。
それにしても、鋳鉄製のヘッドは、とにかく重い。ガスケットの貼りつきはこじった程度では完全には切れないので、両フェンダーの上に両足をかけて、けっこう全力で持ち上げて引っ剥がさないと外れなかった。腰に悪い。
問題の燃焼室だが、薄く付いていたカーボンを軽くふき取ってみると、3本は予想外にきれいだったが、#3シリンダーだけがデポジットで覆われていた。写真で左から#1,#2,#3,#4だ。#3の燃焼室が赤っぽく見えるのがデポジットだ。
各燃焼室に並んでいる丸いものがバルブで、大きい方が吸気、小さい方が排気だ。その上の四角い穴は、予燃焼室の噴出口(ジェット)だ。グロープラグや噴射ノズルは予燃焼室に入っている。下のほうの大きな4対の穴はバルブを動かすプッシュロッドの穴、その間に各々あいているのはヘッドボルトの穴。燃焼室の間のやや下寄りにあいているのもヘッドボルトの穴。
予燃焼室ジェットを結んだ線上にある5個の穴は冷却水の通路で、ガスケットのシール材が赤っぽく付着している。その上の4対の穴はヘッドボルトの穴で、ボルトはロッカーカバーの外にあるので普通の状態でも見ることが出来る。そのまた上の4個の穴は冷却水の通路。オイルの通路は、写真では一番下の左端、プッシュロッド孔のさらに左下にある小さな穴がそうだ。オイルはここからロッカーシャフトに入り、ロッカーアームとバルブ回り、プッシュロッドを潤滑しながら、プッシュロッド通路からオイルパンに戻る。
ヘッドを外したシリンダブロックを上から見たところ。
この写真では右から#1-#4(一部フレーム外)。右下の銀色のがオルタネータ、中央下の黒いのがオイルフィルタ、その左のが排気管のフランジだ。画像がイマイチだが、#1,#2はそこそこきれいなのに、#3のピストントップはデポジットで荒れている。
ただ、どのシリンダもピストンの縁にカーボンがたまっている。ピストントップが比較的きれいなのは、車検の頃使った添加剤の効果ならたいしたものなのだが、実際のところはわからない。ピストントップにある凹みは、予燃焼室ジェットから噴出した燃焼ガスを効果的に渦巻かせるためのものだ。
というわけで、このあとガスケットのカスをきれいにクリーニングして、カーボンやデポジットを落とし、ヘッドのクラックなどを検査して、ピストンやシリンダーも検査しないとならない。寒いし、日は短いし、作業はなかなかはかどらないのだ。