ウチのユーザー車検@2003

今年も、ウチのファミリーカーである、キャラバンのバンの車検がやってきた。

去年は台風で会社の倉庫を借りて作業するなど、バタバタした作業だった。
今年は、おとうさん腰が痛い。4月の末に腰椎椎間板ヘルニアと診断され、まだ時々痛むのだ。車検整備はてきぱきやれば1日で十分終わる作業なのだが、無理はできない。なので、2日間の休暇をもらい、ゆっくりやることにしていた。
作業中は幸い天気はよかったが、2日とも風が強くて、肌寒かった。

1日目に室内の作業を行った。
今回は、室内からのエンジン整備のために、フロントシートを全部外してみた。
外せば、アクセスも楽、シート自体の脱着はいたって簡単で、最初からこうすればよかったのだね。
例によって、エンジンをきれいにしつつ、点検を進める。PCVバルブの付近はどうしてもオイルがうっすらにじんで汚れるようだ。PCVというのは、ピストンからわずかにクランクケースに吹き抜ける燃焼ガスを、吸気系統に吸い込ませることで、クランクケースを強制的に換気し、吹き抜けガスを外に出さないための排出物対策装置だ。ヘッドカバーにバルブがついていて、バルブから吸気管にホースがつながれている。ちなみに私のジープJ54の場合は、クランクケースの換気は大気開放で、車外に吹き抜けガスが出てしまう。
オイルの薄いにじみは車検不合格の対象になる不具合ではないが、きれいにしないと次に見たときにどの程度にじみが進んでいるのかわからない。オイルのにじみは、ブレーキクリーナーとかパーツクリーナーとかの名前で売られている、スプレー式の洗浄剤を使うときれいに取れて乾きも早い。
バルブクリアランスも点検し、オイルとオイルフィルターを交換して、きれいに拭いてエンジンの点検完了。今年は腰を痛くしてから運転姿勢の楽なキャラバンを通勤に使っているので、少し距離が伸びた。

バッテリーは充電したが、充電後の回復の具合が今ひとつなので、そろそろ寿命かもしれない。何しろこのバッテリー、いつから使っているものだか、来歴がわからない。まさか新車の平成7年からということはないと思うが、ウチに来てからでもすでに3年を経過しているのだから、古いことは確かだ。
ウチのキャラバンバンのバッテリーは、130E41Lという、寒冷地仕様に標準のどでかいやつがついている。
寒冷地仕様でなければ、75D31Lが標準だ。75D31Lはホームセンターなどではなかなかみつからないが、もっとパワーのある95D31Lが普通に安く手に入る。しかし、130E41Lとなると、どこでもそこでも売られているわけではなく、ディーラーやバッテリー専門店に頼まなければならない。ということは、ほぼ「定価」で買うことになり、それがまた高いと予想されるのだ。
95D31Lの場合、グレードにもよるが、ホームセンターなどでは\9,000-\15,000程度で売られている。これが「定価」だと、\30,000以上するのだ。130E41Lなら、\30,000ではきかないはずだ。
バッテリーの性能は飛躍的に進歩しており、たとえばウチのジープのバッテリーは95D31Rというでかいやつが2つ載っているが、似たようなエンジンでも年式の新しいジープJ53は80D26R、最後の三菱ジープJ55では48D26Rで寒冷地仕様が65D31Rと、標準バッテリーがどんどん小さくなっている。
また、内地から持ってきたクルマが冬場に使えなくなったという話も聞かないので、実際は95D31Lでもいいのではないかと思っている。
まあ、今回はこのまま今のバッテリーを使うのでいいのだが。
それにしても、あの巨大バッテリーを持ち上げるのは、今の私には恐怖以外の何物でもないのだった。

今回は燃料フィルターの水抜をしてみたが、結果的にはほとんど検出できなかった。燃料フィルターの燃料を落としたので、ディーゼルエンジンでは燃料系統のエア抜きをしなければならない。エア抜きは、手動のポンプで燃料を系統に流すことで行う。ジープでは、何箇所かにあるエア抜き用プラグをゆるめて、噴射ポンプについているピストン式の手動ポンプを動かして、プラグから泡が出なくなるまでエア抜きしていた。
キャラバンでは、燃料フィルターの上に手動ポンプがある。ピストン式ではなく、ダイアフラム式の小さなポンプだ。特にエア抜きプラグもないので、ポンプをペコペコと手ごたえが出るまで押して、すかさずエンジンをかけることでエア抜きをするようなのだ。すぐにエンジンをかけないと、せっかく圧縮された系統内のエアがまた戻ってしまうのだろう。
確かにその手順でエア抜きはできた。それにしても、ジープなどのピストン式手動ポンプに比べて、ダイアフラムポンプは操作に節度感が乏しく、頼りない、と思うのは私だけだろうか。

去年換えたエアクリーナーは、清掃は禁じられているので、ケース内の清掃とエレメントに引っかかっている大きなごみを軽く叩き落すだけにした。まだエレメントの地色である赤がはっきりわかるので、それほど汚れているわけではない。

一日目はほどほどに終わって、夕方に自賠責の手続きと腰の治療へ。

2日目は下回りだ。
下回りは、今年はカラー速乾サビ止めペンキの黒を塗ってみた。毎年ラッカーの缶スプレーを吹いていたのだが、ラッカーはなにしろ耐久性に乏しく、冬になるとはがれて下地が出てくるのだ。これでは「塗らないよりは何ぼかまし」という程度で、毎年完全に塗りなおさなければならないので、結局手間もコストも高くついていたのだ。
ペンキは、ジープの修理のために買った2kg缶から使った。このペンキは屋外鉄部用で、浮きサビだけ落とせばそのまま塗ることができ、サビ止め剤配合だ。ジープにも一部塗ってみたが、速乾の名に恥じず乾きが早く、付着性もよく、テカテカのつやにはならず、落ち着いた仕上がりで、なかなか調子がいい。今回は、1.5-2倍に薄めて、700mlも使ったろうか。刷毛塗りである。効果のほどは、向こう1年の観察を待たねばならない。
下回りの塗装だし、クルマを裏返しにはできないので、丸一日、垂れてくる黒ペンキとの戦いとなった。ニュートンさんを罵っても始まらないが、えらい目にあった。
2リットルのペットボトルの下半分を切ってカップにしたものを使ったのだが、下に置いておくと、風が強くて、ペンキが少なくなってくると倒れてしまう。ペンキが細かいところにも入るようにやや薄くして使ったので、刷毛からの垂れと塗った部分からの垂れで顔も手も黒ブチダルメシアン状態になってしまった。ダルメシアンにしては地色が白くなさすぎではあるが。

2001年にアルミテープで補修したマフラー外板は、さらに腐食が進み、すでにテープでは保持しきれなくなっていた。マフラーを吊っている鉄のバンドもかなり腐って、細くなっている。
状況を確認するために、テープごと腐った外板を外した。すんなり外れてしまったところを見ると、多分本体とは一箇所もつながっていなかったのだろう。マフラーを吊っているバンドのボルトは、これも腐っていてナットが回せなく、ちょっと試しただけで触らないことに決めた。
マフラー外板は、排気ガスにはさらされておらず、したがって消音器を構成する部分ではなく、単なる遮熱板、腐食に対する保護板と考えてよい。外板を外してエンジンをかけてみたが、ガス漏れはない。したがって、何らかの板を巻いて固定してやれば修理は済むことになる。
で、ホームセンターで90x180cmのトタン板を買ってきた。カラートタンではなく、亜鉛めっきの地肌のトタンである。マフラーは長さが40cm、周囲約80cmあるので、折り曲げて固定する分と接合しろを考えて、43cm幅で90cmを金切り鋏でヂョキヂョキと切り出した。私の金切り鋏は、長い直線が切れるように刃に「逃げ」の作ってあるタイプで、このような作業にはうってつけなのだ。薄板の切り口は大体怪我の元なので、革手袋をはくことは忘れない。
切り出したトタンを、マフラーと吊りバンドの間に差し込んで、巻きつける。10cm近く重なるが、まあいいだろう。針金で仮留めしておいて、重ね目にリベットを打つための穴をあける。マフラー本体を削らないように要注意である。よく切れるドリルをゆっくりまわしてやれば何のこともない。リベットはステンでもいいのだが、手持ちに短いステンのがなかったので、鉄のポップリベットを使った。
リベットを打ったら、巻いた板の縁をハンマーとプライヤーでマフラーの縁に折り込むようにかぶせて、固定する。折り返し部分は周長が小さくなるので、板が余って多少「しわ」がよるが、しわはプライヤーでつぶしてやることで、かえって強く固定できる。
巻き込んでから、再びエンジンをかけ、ガス漏れやビビリのないことを確認し、完了。トタンなので、塗装は必要ない。これでまた何年かはもつだろう。
革手袋の指先にきれいに切れ目が入っていた。手袋はいててよかったー。
それに、ずっと寝そべって上向いて作業していたので、腰は楽だったのだが、首が凝ってしまった。トシだな。

腰をかばって休み休みではあったが、それでも夕方までになんとかまあケリをつけることができた。 電話で車検の予約を取って、あとは本検査だ。

翌朝、車検。 車検場では、例によって、いつもの手順で検査が進められた。
今回、前席の後ろのパーテーションバーがないことを指摘された。実はそのバーをつけると、体のでかい私は適切な運転姿勢で座れない(2本ある上のバーが背もたれを邪魔する)ので、付けたためしはないのだ。実際、リアシートをすべてたたんだときでなければ、前席後ろのバーは法的にも必要ないし、今回もリアシートはたたんでいなかった。で、いつもは下のバー用の穴に「突っ張りポール」を渡して、そこにチョークバッグなどつるして、リアシート用の小物入れにしていたのだ。
「でも」と検査官は続けた。今回だけは突っ張りポールをパーテーションバーとして見なします「けども」、次からは積むだけでも積んでおいてください、と。まあ新車では付いているわけだし、車検なのだから無理もない。次から気をつければすむのだからよしとしよう。
下回り検査では、検査官が直したマフラーに手をかざしてガス漏れを調べていた。もちろん問題なし。
検査官にハンコをもらって、窓口に書類を出して、待つことしばし。例によって担当官の後の機械から新しい車検証が出てきて、窓に張る検査標章のステッカーといっしょに渡されて、
「ご苦労様でした」
と言われて、おしまい。今年もまだ9時20分。支局の駐車場で検査標章のステッカー貼り替えて、さ、仕事行くか。


ちなみに、今回の車検のための費用は、

自賠責\14,400-
重量税\18,900-
受検手数料\1,400-
申請用紙代\40-
オイル(4リッターx2本)
使ったのは6.5リッター
\2,058-
オイル添加剤モリファイト\609-
オイルフィルター\1,123-
トタン板\892-
その他の消耗品、オイル、グリス、バッテリー液、ペンキ
などは保有在庫を使用

\39,422-

・・・だった。今年は安くあがったなあ。


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