「4人な日々-合流編」


さっきまで黙っていただいすけが、何かを吹っ切った笑顔で告げた。

「大体、アスリーンのそれを気にしてたら、寿命がいくつあっても足りないよww」

ケタケタと笑う。

「あっ!」

「ん?」

絶句するコウキに、いぶかしむだいすけの背後で…

「だいちゃん、そんなこと思ってたんだぁ」

「へぇ〜〜〜」

「いやいや、んなことないって!」

「黒旋はどこだったかなぁと」

コウキが左腰のベルトから弾を探す。

それもそのはず、すでにアスリーンは謳い始めており、掲げられた赤魔法が急速に大きくなっていく。

「アスリーン、でかいよ、、、タメが長いですよ。もしも〜し」

「我はすべてを視るものなり。領域掌握」

「コウキ。そこから5メートル以上離れて」

「うわ汚ねぇ。二人とも!おいらだけ?」すかさず対応するふたりに対し、だいすけは右往左往。

「はいよ」

「だいちゃんのばかぁあ〜〜〜〜〜」どがーん

焦げてる(ぷすぷす

放たれた赤魔法は見事にだいすけのみを直撃した。

「フィーア、治癒は?」「無駄だと思うけど?」

「反省するまで治してあげないよ〜だ」舌を出して、焦げただいすけにトドメをさすアスリーン。

「いや・・・その前に死ぬって・・・・」ガク

「じゃあ、そのままで。ご愁傷さま」「お大事に〜」コウキとフィーアもあっさりと引く。

「みんな冷てぇよ!」バタ

「あ、死んだ」「アスリーン、いいの?」

「いいのいいの。そのうち勝手によみがえるから」そっぽを向くアスリーン。

「んなわけあるかぁあぁあ!」言ったとおりにだいすけが猛然と立ち上がった。

「ほらよみがえった」

「おぉ〜、さすがアスリーン」

「だいちゃんのことはお見通しだよ」

「いいな〜」フィーアがジト目でコウキを睨む。

「なに?」コウキは訳もわからず、あとずさる。

「べっつに〜」

「ニヤニヤ」

「なんだよ!」

「また始まったよ。だいちゃん」「まぁ仲のいい証拠だ。うんうん。」

「いいもん、別に」

「ほらほらコウキ、フィーアたんがスネたぞ」

「冷蔵庫のアレ食べちゃおう〜」

「なっ!!ちょっとまて!」

「あたしにもちょうだ〜い」「いいよ〜」

「わ〜い、だいちゃんも一緒に食べようね〜」

「うんうん。残念だな〜コウキは食べられないのか〜」

「だから待てって!アレはもとから俺の・・・」

「コウキさんなんか言ってるけどいいの?フィーアちゃん」

「しらな〜い」

「ま、コウキだししゃーないわなw」

「くっ、アレだけは・・・」

「わかった、フィーア。こないだのシフォンケーキうまかったよな?」

「・・・それがぁ?」ニヤリ

「でたよ〜悪魔の微笑みが〜」

「アスリーンはいらないんだね」

「うそうそ!フィーアちゃんうそだよ〜」

「まてまて、人数ぶんか!?」

「ニヤニヤ」

「まさか違うなんて言わないよね」にっこり

「ぐっ、・・・わかった」

「だいちゃん、ヘルプ」ボソ

「しゃーねぇなぁ」ボソ

「なんか男ふたりがこそこそやってるけど?」

「キノセイキノセイ」

「だいちゃん。カタコトだよ」

「どう思う?アスリーン?」

「あのカタコトはやましいときなんだよね〜」

「このアホ」あっさりとバラすだいすけの尻に、コウキの蹴りが当たる。

「いてっ。もとはといえばコウキのせいだろ!」抗議するだいすけだが、コウキも引かない。

「最初はだいすけだろ!」

「おいらじゃねーって!」

「なに〜」

「なんだとー」

「なにしてるのかなァ〜?」焦れてちょっと不機嫌入ったフィーアが振り向く。

「ほっといてケーキ食べよ。フィーアちゃん」アスリーンがやんわりなだめた。

「そうだね〜、ふたりで4人分でもいっか〜」

「太るよ」ボソ

「あっ、馬鹿!」

 だいすけのひと言が空気に溶けた瞬間、ふたりの体感温度も下がった気がした。

スラッ!「雷弾」

 抜剣と同時にその剣身に緑魔法をこめるフィーアに、アスリーンも長めの詩に入るため自らの怒りを高めていく。

「へ〜。だいちゃん、ケーキより赤魔法が好きなんだね〜」ニヤ

「あれ?もしかして禁句?」滝のように汗を流すだいすけの横でコウキは慌てながら退路を確認。

「逃げるぞ!だいちゃん」

「がってんしょうち!」

 脱兎のごとく走り出すふたりを、2対の眼光が正確に追う。

「迅れ!雷よ」剣を振りぬくフィーア、地面を雷が這う。

ジャァアッ

「ぎゃぁあああああ」

「いっけ〜」限界まで絞り込まれた赤魔法が、アスリーンの両手から尋常じゃないスピードで放たれる。

「次食らうとまぢで死・・・・・」

「ぎゃぁあぁあぁ」

「天罰覿面!!」「俺はなにも言ってないのに…」

「だいちゃんの罪はコウキさんの罪だよ〜」

「ひでぇ」ガク

「・・・・・・・」

返事がない。ただのしかばねのようだ

 

すっかり人垣に囲まれた外側を1組のカップルが通っていく。買出しの帰りなのか食料品の袋を両手に抱えて。

「ねぇねぇ、網走〜」

「うん?」とくに重そうな袋を下げた網走は、にぃなの声に振り向く。

「あの人垣の向こう。フィーアさんとアスリーンちゃんじゃない?」

「どこ?本当だ、なにしてるのかな?」遠目でもふたりが怒ってるのがわかるのだが。

「あっ、なんか運ばれてくよ」その言葉に視線が移動する

「いっ!?」

「・・・にぃな行くよ」

「えっ?なんで?なんだったの!?」

「明日にはわかるから」ふたりは何事もなかったかのように、その場を離れた。

 

「さっそく入院患者がふたり!?」白衣を着込んだ女性が搬入口に走りこんできた。

「そうみたいですね〜」それをのんびり眺めてた看護士が、前を歩いて案内していく。

「うわ〜こりゃ酷いな」

「予想通りというか、なんというか」女性医師はふたりを見るとため息をついた。

「先生、知ってるんですか?」

「これの左腕を治療したのは私だし、そっちのも何かと怪我をするからな」

「なにやればこうなるんでしょうね」不思議そうに新任の看護士が尋ねる。

「レーヴァテイルの逆鱗に触れたんだろ、どうせ」口調はいつものことだと言わんばかり。

「戦士とレーヴァテイルって複雑ですねぇ」

「というか、このふたりが馬鹿なだけだ」

「なるほど。参考になりました!」

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「ねぇ、ちょっとやりすぎたかな?」

「大丈夫だよ!あのふたりならいつものことだし♪」

「あら?こんなところで会うなんて珍しいわね」

『カスカさん!?』

「どうして、ここに?」

「・・・・・・えっとね」じゃっかん言いよどむカスカ。

「うん、なになに??」

 カスカの躊躇を気にせず、興味津々といった風にアスリーンが続きを促す。

「…クロウがまた入院したの」顔を見合わせるふたり。

『また!?』声も重なった。

「あっ、べつに相変わらず大したことないの!!ただちょっと過労で…」

「・・・・・・・」

「あっ!」

 腕に点滴の針を刺して顔色もよくないのだが、毅然と立っているクロウがそこにいた。

「また飲まず食わずで仕事に没頭してたんじゃないの〜?」

 アスリーンのからかいに、反応したのはカスカで恥ずかしそうに俯いて

「…せ、正解」

 隣り合って座るふたりをひと睨みするとクロウはきびすを返してスタスタ歩いていってしまった。

 慌ててカスカも後を追う。

「こわっ!」ボソ

「ごめんね、ふたりとも。また学園で」

「うん♪ばいば〜い」「またね!」その背中にふたりも声をかけた。

っと、カスカが振り返って戻ってくる。

「言い忘れてたわ。コウキとだいすけさんに、お大事にって伝えて」

「それじゃ」

 優しく微笑んで、カスカは去っていった。

『む〜』残されたふたりはなんとなく、あの心配りが羨ましいような、悔しいような複雑な気分だった。