「4人な日々-待ちぼうけ編」

「はいはい」

「いってらっしゃーい♪」

「なんでそんなに嬉しそうかな?」足元の荷物をひとまとめにしながら、コウキが尋ねる。

「いやー、アスリーンが嬉しそうだなーと」にこやかに手を振っているだいすけ。

「あぁ、そうですか」疲れた顔でテーブルに突っ伏すコウキ。

「お待たせしました〜。ココアと紅茶で〜す」

「またそんな甘そうなのを。ここは紅茶がオススメなのに」

「疲れてるときは甘いのに限るんだよ、そういうだいちゃんは?」

「最近はコレって決めてるの」

「だいすけさん、それにハマってるもんね♪」

『ねー♪』

 声を揃えるだいすけとウェイトレスに、コウキはげんなりと言った顔。

「ごゆっくり〜♪」ウェイトレスが席から離れていく。

「知り合いなのか?」

「うん♪マスターとも付き合いあるからね」香りを楽しんでるだいすけはすでに上機嫌だ

「ふ〜ん」

 生クリームののったココアのほどよい甘さに癒されつつ、コウキは思い出したことを話し出す。

「聞いた?医療チーム増強の話」

「確か…本格的に病院を別途作るとかってやつ?」

「そう!それ。しかも理由が最近けが人が多いからってのも聞いたか?」

「いんや。それってコウキのせいか?」にんまりと笑うだいすけ。

「なんでだよ」呆れ顔で応じるコウキ。

 1拍置いた後でちょっと心配そうに、だいすけが尋ねる。

「黒旋使ったんやろ?」

「あぁ。多少しびれたりするけど、体には後遺症は残らないから平気」

「俺よか、だいちゃんだろ」

 今度はコウキがだいすけの左腕を指差す、そこには真新しい包帯が巻かれていた。

「ん?これ?」

「あの時は驚いたよ。まさか戦闘中に、アスリーンの赤魔法がかするなんて」

「別に気にしてないしw」

「当たったときまで、そうやって笑ってるんだからスゴいわ」

「しかもアスリーンの理由が『だってだいちゃん、動くの早いんだもん』だしな」

 心底呆れたと言わんばかりに、コウキは額に手を当てる。だいすけは笑顔のまま紅茶を飲んでるだけだ。

「ったく、アレじゃ俺とフィーアも危ないし」

「そのうちアスリーンが、パーティ殺しの異名を取るんじゃないか?」

 コウキのからかう口調にだいすけはいたって冷静だ。

「それはないな」

「なんで言い切れる?」

「だって、フィーアたんとは仲良いからアスリーンが間違っても当てることはないし」

 しばし思い出すかのように、コウキが考えこむ。

「ふむ。確かにあの時、フィーアが離れてから魔法が放たれてたな」

「でしょー」どこか誇らしげに胸をはって、だいすけが応じる。

「実質あたりそうなのは、おいらとコウキぐらいw」

「こわっ!それリアルに怖いって!!」

「だろ」にっこりと笑うだいすけ。それを聞いて真剣な顔でコウキは対策を考える。

「黒旋で1発なら、なんとかしのげるけど」

「あぁ、魔法も削り取れるんだっけ?」

「まぁな。ただし、そのあとしばらくは通常弾しか撃てなくなるけどな」

 実際に戦闘中にその可能性を考えて、コウキの顔が青ざめる。

「もしくは、フィーアの領域掌握でタイミングを計ってもらうか」

「おいらは気合でカバー?」だいちゃんの笑顔も微妙に引きつった。

「だいちゃんもフィーアに教えてもらえば良いだろ」苦笑するコウキ。

「それが一番無難かなぁー」

「そもそもアスリーンの赤魔法が改善されればいいんじゃないか?」

「それは無理。だって天然だもん」

「いつものこと、いつものことw」全然堪える様子のないだいすけ

「そりゃ、そうかもしれないけど」心配なコウキとしては、少しでも危機感はもって欲しいようで。

「って、そうやってそれがいつものことになってるから。病院って話になるんじゃないの?」

「キノセイキノセイ」

「だいちゃ〜ん、片言になってるよ」

「キットベツノリユウダヨ、ウン」

「説得力ないし」

 コウキの推論が正しいかはべつにして、だいすけもそれを引き合いに出され多少こたえたのか黙り込む。
 しばし、それぞれの飲み物を楽しみながら、ゆっくりと流れる時間に身を任せた。

 

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