『増補落語事典』未掲載演目・不完全リスト

『増補落語事典』は1973年の増補改定以降、新しい項目が追加されていません。
もともと同書には新作落語(とりわけ昭和・戦後以降の作)の掲載はごく少数でしたが、
この40年の間に寄席や落語会で口演される機会が増えた未掲載演目は、多数存在します。

ここでは、そういった『増補〜』に掲載されていない主な演題を集めてみました。
演者が複数いる講談種や浪曲種、落語界で広く伝わっている新作落語、
また『増補〜』掲載から漏れた有名小咄などを対象としています。

新作落語については、選択基準のボーダーラインがとても曖昧で難しいのですが、
おもに世代や東西を越えて伝わっている落語を中心に掲載していきます。随時追加。

色つきの演題はバレ噺。また作者未確認の新作は<未>の表記をつけています。

なお、本項に限り音源コレクションとは無関係です。ご了承ください。(最終更新12/11/17)

 落  語
演  題 別  題 種類・作者 ひ  と  こ  と
荒   茶 荒大名の茶の湯
/荒茶の湯
(講談種) 落語『茶の湯』とは一風違った
歴史ものの地噺
池 田 屋 <未> 幕末が舞台の地噺
一 文 笛 3桂米朝 1950年代に米朝が自作自演。
上方はもちろん東京でも演者多数
魚 根 問 『やかん』の前半。
魚の根問だけで一席にもなる
馬 大 家 鈴木凸太 2円歌から4小せん他に伝わる
恨 み 酒 織田正吉 桂枝雀が演じた高座がCDにも
英 会 話 英語会話 粕谷泰三
(3三遊亭円右)
現在も芸協で演者が多い
江戸の夢 宇野信夫 CD『円生百席』所収
小田原相撲 雷電小田原相撲 (浪曲種) 京山幸枝若の十八番。
4金馬・小朝らがやる
親 の 顔 立川志の輔 動画サイトに上がっているためか
アマチュア落語家が古典落語同様に
口演している記録をよく見かける
ガーコン 歌は世につれ、他 川柳川柳 川柳の独壇場の歌謡曲ネタだが
最近は5小せんが戦前歌謡の
蘊蓄をたっぷり入れて演じている
君よモーツァルト
を聴け
桂三枝(6文枝) 高座で実際にモーツァルトの
「アイネ・クライネ・マハトムジーク」
をBGMに使用するのがミソ
葛   湯 有崎勉(柳家金語楼) 金語楼が5今輔のために書いた由
国 訛 り 日本全国の方言比べの漫談。
談志から門弟などに広まっている
月 給 日 3三遊亭円歌 3円歌の出世三部作のひとつだが
給料が振込の現在では難しい?
五 人 男 5古今亭今輔 芸協では若手から大御所まで
代々伝わっている新作芝居ネタ
小猿七之助 (講談種) 神田伯龍のレコードに惚れた
談志が移殖、得意ネタのひとつに。
現在は一門に広まっている
小判一両 宇野信夫 これもCD『円生百席』所収
匙 加 減 (講談種) 宝井琴調から林家正雀に、
また正雀から大阪の4文我に伝わる
里 帰 り 毒   薬 林鳴平
(5春風亭柳昇)
フランス小咄が原案で、
原作は益田太郎冠者。
4金馬らもやっている
五月雨坊主 村上元三 彦六の正蔵がやった新作を
9扇橋もやったという
七 面 堂 3春風亭柳枝の速記を元に
8円蔵が復活させた
芝居の喧嘩 (講談種) どんどん盛り上がってストンと切る
寄席向きの短い講談種
ジャズ息子 川柳川柳 雲助・小朝が高座にかけた記録も
授 業 中 3三遊亭円歌 3円歌の出世三部作のひとつ。
上方の福団治は『小学生』の題でやる
女給の文 女郎の文/ラブレター 1柳家蝠丸 1蝠丸の実子・10文治の他、
志ん生・談志らもやった
しりとり都々逸 <未> 都々逸がたくさん登場する
寄席向きの短いネタ
除夜の雪 永滝五郎 米朝以外演じ手がいなかったが
立川談春が口演した
水   神 菊田一夫 CD『円生百席』所収。
「円窓五百噺」の演目中にもある
寿司屋水滸伝 柳家喬太郎 喬太郎作品は数が多いので
代表として『寿司屋〜』を挙げときます
生徒の作文 <未> もともとは芸協で広まった新作。
伸治(10文治)→4小せんのルートと、
とん橋(桃太郎)→志ん五のルートで
落協にも伝わったそうな
背なで老いてる
唐獅子牡丹
桂三枝(6文枝) 三枝(文枝)の創作落語は
本人や弟子を通じて、
東京にも何作か伝わっている
宗aの滝 (講談種) 志ん生〜志ん朝がやった名人噺
徂徠豆腐 出世豆腐 (講談・浪曲種) 江戸の儒学者・荻生徂徠の
若き日の逸話が落語化された
桂三枝(6文枝) 東西で演じられる三枝創作落語
叩 き 蟹 (講談種) 講談種。甚五郎の逸話のひとつ
鼓 ヶ 滝 西行鼓ヶ滝 (講談種) 西行法師の逸話
妻 の 酒 有崎勉(柳家金語楼) この二作の他に、6三升家小勝の
『妻の釣』という新作もあるが別話
釣りの酒 有崎勉(柳家金語楼)
電報違い 1三遊亭円歌 初代が作り、2代3代と
代々の円歌が演じている
徳ちゃん 1柳家三語楼 大正時代の安遊廓が舞台。
笑いが多く、寄席での演者も多い
読書の時間 桂三枝(6文枝) これも三枝創作落語のひとつ
都々逸親子 都々逸坊や 粕谷泰三
(3三遊亭円右)
今なら「川柳親子」?
酉 の 市 3円馬から4円馬に伝わり、
4円馬の高座はCDにもなった。
6円生も若い頃にやった由
頓間の使者 山田洋次 映画監督の山田洋次が
5柳家小さんのために書いた落語。
現在6小さん・花緑らが継いでいる
長屋の算術 5柳亭燕路 かつては4三遊亭円遊がやった。
現在は柳家喜多八が演じる
涙をこらえて
カラオケを
桂三枝(6文枝) 三枝創作落語のひとつ。
広い舞台だとより映える?
成田土産 5今輔が珍しく演じた艶笑ネタ。
2円歌もやったとのこと
人形の目 人形丁稚 2春団治から露の五郎
(五郎兵衛)に伝わった艶笑噺
人情八百屋 (講談・浪曲種) もとは講談『白子屋政談』の発端。
この噺を広めた談志は
浪曲(春日清鶴)から移殖したとか
猫と金魚 高沢路亭(田河水泡) 漫画家としても名高い水泡の
落語作家としての代表作
バスガール 有崎勉(柳家金語楼) 芸協では前座の口慣らし用の噺
噺家の夢 落語家の夢 <未> 4円遊が十八番にしていた。
現役では喜多八らがやる
瓢箪屋政談 (講談種) 円窓が講談から移殖
ぺたりこん 三遊亭円丈 現在柳家喬太郎が口演する。
師匠のさん喬が演じたことも
ぼやき酒屋 桂三枝(6文枝) 三枝創作落語のひとつ
マキシム・ド・
のんべえ
三遊亭白鳥 白鳥作品の中から代表として
真 二 つ 山田洋次 山田洋次が5小さんに書いた落語
ま め だ 豆   狸 三田純一(純市) 秋が舞台の新作。
米朝から一門を中心に伝わる
目   玉 山田洋次 山田洋次が5小さんに書いた落語
夕立勘五郎 (講談種) 志ん生がやった短い噺。
現在は志ん輔が持ちネタにしている
幽霊タクシー 鶯春亭梅橋 戦後夭折した鶯春亭梅橋の作
幽霊の辻 小佐田定雄 落語作家・小佐田定雄の第一作。
桂枝雀のために書いたもの。
東京の柳家権太楼も演じている
嫁 取 り 有崎勉(柳家金語楼) おもに芸協で演じられる金語楼作品
ラーメン屋 夜鷹そば屋 有崎勉(柳家金語楼) 芸協を中心に演者が多い新作。
『夜鷹そば屋』は五街道雲助が
舞台設定を江戸時代に代えたもの
旅行日記 1林家正楽 芸協で演者の多い旅ネタ。
落語協会では柳家喜多八がやる
力士の春 春風亭昇太 春風亭昇太作品の代表として
浪曲社長 永滝五郎 3円歌の出世三部作のひとつ
綿屋火事 上方の林家染丸一門に伝わる
お座敷向けの艶笑噺。
展開が『にせきん』と似ている
 小  咄
演  題 別  題 種類・作者 ひ  と  こ  と
生 梅 干 お姫様の出る艶笑小咄。
5小さん・先代馬の助の音はCDにも
顔   寸 8雷門助六がやった仕草噺
軽 業 師 米朝の『続いろはにほへと』所収
かわらけ町 6円生でしか聴いたことがないが
数種類の音源で聴くので加えた
黄金ッ原 『定本艶笑落語』に掲載。
他にも同書掲載の小咄は多数
事故と猿 (仮題) 家族の乗った乗用車が事故って、
同乗していたペットの猿に事情聴取。
小咄というよりジョークだけど
寄席などでは比較的よく聴く
テームズ河 イギリスの小咄。米朝の艶笑集
『いろはにほへと』所収
手は他人か 米朝の『続いろはにほへと』所収
床屋のおしぼり (仮題) 3桂米朝? 桂米朝が作った小咄、というのを
どこかで読んだ気がする
ね ご と 寝ていた夫婦の女房が、寝言で
「うちの人が帰って来た」というと…
『いろはにほへと』所収
鼠の嫁入り (仮題) 志ん生や円菊がマクラでやった。
2012年に桃黒亭一門のCD
『ニッポン笑顔百景』の歌詞に
この小咄が丸々盛り込まれている
バ ナ ナ 以前立川談志が、2三遊亭円歌の
物真似でよくやっていた仕草小咄
鼻 の 下 「美人は鼻の下が長い」
というと女中がやってきて…
「円窓五百噺」の口演記録に
一席ものとしてこの題がある
火消しのかか 飲み屋で客の男が半鐘の音を聞き、
急いで帰ろうとするので理由を聞くと…
『いろはにほへと』所収
一 人 者 二人ですることを一人で…
米朝の『続いろはにほへと』所収
指   輪 ロシアの小咄。米朝の艶笑集
『いろはにほへと』所収
夕 立 屋 夕 立 や 志ん生・10馬生の口演が印象深い


<このページの更新記録>
・2012/11/4 公開開始
・2012/11/17 『宗aの滝』『成田土産』『マキシム・ド・のんべえ』『恨み酒』『かわらけ町』追加。『里帰り』『授業中』のひとことを一部修正。




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