691:さあ叶え、その手始めにペンをとり
ノート一杯夢埋め尽くし
ふと思い出す少年のころ

692:すずらんの花の向こうにI love you
皐月ついたち恋の生い立ち
思いいづるは伏目顔かな


693:重箱の隅をつついて背を曲げる
哀れ小者を我相手せず
また今日吼ゆるかさらば負け犬


694:母の日の丸く小さき花束の
香りほのかな夜の食卓
いつもと違うハミングの後

695:朝露をおしべめしべにまきつけて
花すずらんの白きカリヨン
妖精達の願い事きく

696:灼熱に追い詰められて角氷
いまだ頬張り痛きを隠し
笑顔涼しく剣を一振り

697:時つぐる鐘に目覚めぬ春すぎて
声なき熱き風に抱かれて
我そろそろとうつつに戻らん

698:大空を行くがごとくのきみにある
飛ぶだけでない光のむこう
風切るほどにみゆる夢かな

699:岩を打ち 砕き砕かれ 清水なる
逢うの瀬流れ またかえりみて
二人の待つは 明日の青空

700:夜の帳開けて帰るや星たちは
淋しからずや日とて同じく
山の端に出て山の端に消ゆ

701:いたづらに行き交ふ人の髪を上げ
君の仕業とみな解れども
問ふほどになく唐突の風

702:遠き恋は信じてもなお信じよと
人に言われてそうできればと
また言い訳が恋路すぼめる

703:もれいずる月影君の何知るや
我知らざるを知ると思へば
千里引き寄す夢あれと思ふ

704:しのびつつつれづれなるをメールして
なぜに言葉をかざらんとてや
ましかば君につたわらざらまし

705:宵闇がギアをトップに入れるころ
夕餉の仕度菜を切る音に
つられいづるか雲払う月

706:揺れながら汽車に揺られて見る車窓
いまだいまだの道行きなれど
この揺れ届くいや届かんや!

707:あおによし奈良にも海はまだありし
古のまた古よりの
貝殻語る野にも山にも

708:初日待つ 大つごもりも イブなれど
こたつひとつに 夕餉待つ皆
 慌て騒がず そばゆがく母


709:年賀状百里を越える思い込め
郵便受けを開く姿に
微笑みあれと願う挨拶

710:暮れ行くは終わり亡き世の定めとて
よきことのみを胸にとどめて
アップデートの更なる未来

711:我が誓い頭丸めて気合入れ
延期になりし夢引き寄せる
これまた日々のスパイスと思う

712:わびいれる坊主頭に北風が
その屈辱を凍て砕けよと
吹く気感じてあたたかきかな

713:髪型もコーディネートした服装も
替えて楽しむ余裕が生まれ
行け!信念で!来よ!新年よ!

ここより平成十六年

714:ザラザラとわずかに伸びし黒髪を
時にあらずと剃るかみそりに
すがすがしきをまだ認めがたし

715:頬伝う涙を分ける人もなく
一人茶を飲む湯呑みコトリと
気付き寄り添う猫あたたかき

716:雨やみて、花は耐えまた胸張れど
星1つなき空いずこまで
昔は今をおもわざりけり

717:コーヒーをダイエットだとブラックで
慣れぬ舌だと苦すっぱくて
心は恋のあまきを欲するに

718:ゆきどまり恋路にとかす光まち
知る知らぬとてひき帰しけるを
顧みゆるは新たなる道

719:君がため手渡す恋の羅針盤
今は見ずとも捨てるにあらず
涙かれ落つ未来にぞみる

720:空仰ぎ陽はすべての世てらせども
風にも秘密雨にも秘密
いつきこゆるや君の呼び声