661:壁紙に好きと幾たびつぶやいて
明日また明日を指折り待てど
君想うほど僅か恥ずかし

662:明日を見て今を選びしわが道を
行く手阻むなねたみそねみよ
我思うゆえ歩むわれなり

663:人一倍 寂しがり屋の くせに何故
孤独を愛す 振りをして泣く
握りこぶしの手に守り札

664:ほほつたう なみだよなぜに いてつかぬ
 むねにまでしむ このきたかぜに

なぜにとまらぬ ゆるせなきとて


665:はつゆきの うすくおおいし いただきは
シュークリームの ごとほほえまし

空と語らい 心すがすがし

666:獅子鳴きて 空の軌跡を 辿りぬれば
山の端に見ゆ 星のふるさと
また帰り来よ祈りとどけて

667:有明のつきぞ残るる初日の出
ひつじ雲まで語りきらめき
ああ、かわらじの明日あさって

668:柊の雪をはじきてその緑
南の風を引き寄する如
耐える姿ぞまた美しき

669:かけひきに悩むギャップのそのわけは
all or nothingの恋の理(ことわり)
all or allの我想いゆえ

670:部屋にさす陽の柔らかに出し庭
なぜに北風ほほを打つかな
なぜに山茶花耐えて咲くかな

671:明け烏告ぐる時ありしらずとも
夜にはかくれてしまうにかなし
世は真打の鳥を待てども

672:梅の花雪と桜を橋渡し
気づく人のみその香を知りて
北風の中顧みるかな

673:夜の帳なぜに夢路へ呼び招く
わがうつつにもあはれはありなん
うつつにのみぞ君のありなん

674:鉢陰のいたずらっ子のフェアリーの
魔法のごとき七色思い
霧吹く君に与えたもうぞ

675:梅ゆれて三寒四温の狭間にも
春待つ君に北風ぞ吹く
桃の色まだ頬にのみあり

676:われは今指差す方に未来あり
見えずの君ぞなぜに下向く
胸張るのみぞみゆ遠からじ

677:にびいろの陰のみ今は見えずとも
元の形は輝きけるを
背を伸ばしまた手に取れるかな

678:砂かぶり青き声援移り行き
メガホンの音響く夜空に
現れ散るは春告げる花

679:磨る墨の帳に負けぬ黒髪を
肩にしぼりておすまし顔の
あけぼの草を仰ぎ見る君

680:負け犬の君へ言葉を送るまい
何事いえどいいのよどうせ
意地張るほどに道に幸なき

681:僻み癖先入観の塊を
被害者になりあわれんでみる
ああ悲しかな何もかわらじ

682:春彼岸野に咲く綿毛吹きて行く
息継ぎはしる童の頬の
柔らかきに触れふるさとを思う

683:ああ悲し悲劇のヒロイン救われず
いや救わんと差し伸べし手を
努力もせずにふりほどくだけ

684:野を行きて花の朝露まんまるに
あつめてミラーボールの海は
いとしき君の万華鏡かな

685:何ゆえに悲劇の主役演ずるや
同情されて何をよろこぶ
何もせぬなら黙れ負け犬

686:古の人より伝う心意気
暑さ寒さも彼岸までとて
コートの襟をまだ立てる今日

687:夕べより眠らず何をするもなく
月の旅路に時を感じて
未だ見ぬ人生に笑みを浮かべん

688:人恋し探れど闇にあらねども
夜半の月見てただに急げる
夜は弥生も空かわらねど

689:ご近所に自転車こいでお買い物
襟をぬらした我が汗こそが
春を告げたるサインとなりぬ

690:谷川のゆるくやさしきせせらぎも
とき重なりて岩をも砕く
今は一滴の夢重なりて