予知夢?

中学2年生の頃だったと思うが、その頃仲の良い女の子の同級生と交換日記をしていた。
今時は交換日記なんて、しないね。携帯メールで済んじゃうしね。
彼女も絵を描くのが好きで、お互いにノートには文章と文字を書いていた。

ある夜、「明日はノートをもらえる日だな。楽しみだなあ…」と思いながら眠りについた。

そして、夢を見たのだ。
彼女がノートに絵を描いている様子だった。
私が彼女を外側から見ているのではなく、彼女の視線は、私の視線だった。

彼女の視線は、ノートに注がれている。
彼女の目を通して、私もノートを見ているようだった。
彼女は絵を描きはじめた。肌色の、フェルトペンで…女の子の横顔だ。その絵は、今でも何となく頭の隅に残っていて、ぼんやりと思い出せる。

翌朝、その夢を覚えていた私は、彼女が私のいるクラスにノートを持って入ってくるのを楽しみに待っていた。そして、彼女がノートを持って来てすぐに私は言った。

「ねえ、夕べ夢を見たんだよ!淳ちゃんが肌色のペンで女の子の横顔を描く夢」

それを聞いた彼女は、とてもびっくりして、ノートを放り投げるようにして帰ってしまったのだ。
何か、悪いこと言ってしまったのかと思いながらノートを開いて彼女のページを見た私は、寒気を感じるほど驚いた。

まさに、「夢で見た絵」そのものが、そこに描かれていたのだ。

その後、落ち着いた彼女は、地元のラジオ局にその話を投書した。
私は番組から電話で話を聞かれ……。
もともと、「不思議世界」には興味があったためか「ESPカード」なるものを自分で作り、透視力を試してみたが、まったく普通の人と変わらない。
訓練すれば磨かれるかも…と、しばらくやってみたが飽きてしまった。

その後はもう、何にもなかった。
でも、なぜそんな夢を見ることができたのか……
「早く彼女のノートが見たい!」という強烈な思いが、彼女の視界を私に見せてくれたのかもしれない。
〝念〟とは、すごいものだね。