事実 |
家族に車どうしの接触事故があった。
初めての事故で興奮していたのだが、話を聞いているとよく分からないことが出てきた。
雨が降る夜だった。
交差点の停止線の前で信号が青に変わるのを待っていた。青になったので、発進すると突然目の前に車の左側面 が見え、ブレーキを踏んだが接触して、相手はこちらのバンパーで側面をこすりながら横切った。
こちらはすぐに路肩に停車して傘をさし相手の車へ向った。
相手の車は、「まさか?止まるよね?行っちゃうの?」と不安になるほど先へ進んで行くが、やがて止まった。
でもドライバーが出てくる様子がない。
相手の車の助手席に近づくと、女性が出てきた。
運転席をのぞくと、中学生くらいの女の子がジャージ姿でうつむいて硬くなっている。
……と聞いて、「何、車は左ハンドルだったんだ。外車?」
「え?知らない……。でも運転席は右だったと思う。だから、助手席側から運転手を見ようと思って奥をのぞいたら、女の子が乗ってた。え~?おかしいよね、あれ?何でお母さんが助手席からでてきたのかなあ」
運転席のドアを開けて降りるのが危険なほどの交通量はまったくなく、席を移る理由はない。
なのに母親は、席を移ったんだと言う。
事故当日は、相手方が警察の介入を希望した。現場ではなく警察署で、それぞれの話を聞いてもらった。 |
しかし、後日の現場検証での母親の反応はまったく違ったものだった。
こちら側の証言を認め、相手方の過失で保険の話が進められた。
想像だけど、もし、相手方の運転者が無免許の娘だったら?
母親が運転していたことにして過失を認めず、裁判まで起こしたら、不都合な事実が表沙汰になる可能性が生まれ、母親も娘も面倒なことになる。
こちらが、相手方の運転者について「娘が運転席にいた」などと言い出せば、話はややこしくなる。
事故当日の相手方の強気の理由は、隠さなければならない重大な事実があることを意味している気がする。
一種のパニックだ。
でも家に帰って、冷静に考えたら……「無免許の娘に運転させた母親」は、かなりヤバイ。二人ともね。
20011 いつだったかなあ? |