「物」との縁

友人からのプレゼントが、いただいたその時には自分の好みにピンと来ないためにずっとしまっておいたりする。
使っていてもしっくりこないまま「せっかくだから」と思っていたのだが、知らない間にそのイメージが自分にフィットしているものがたくさんある。
送り主は、「あなたのイメージだから」と選んでくれたものだ。
今ではすべてが、今の自分が選びそうなものになっている。

「プレゼント」とは、本当に不思議で楽しい。
「pre-sent あらかじめ贈られる」
自分の手元に届く前に、それは存在している。

ある冬の寒い日。私は室内履きを毛糸で編んでいた。
知人が自分のアパートに帰ってきて、冷たい床を歩くイメージが頭に浮かんだ。
これを贈ったら喜ぶかなと思い、その一心で編んで郵送した。

室内履きはタイムリー過ぎると彼女を喜ばせた。
まさに「毛糸の靴下カバーがほしいなあ」と思いつつ郵便物を見ると、それが届いていたからだ。

彼女にとっては驚きだ。
思っていた物が、そこにある。

2009.9