うつ病<1>


ファイザー株式会社が発行している「うつ病サポートブック」 ご存知ですか?
処方箋薬局で手に入るものです。

ストレスの多い現代社会でうつ病は、誰でも罹りうる身近な病気と考えられるようになってきました。実際、医療の場で、うつ病は「common disease(ありふれた病気)」として取り扱われています。
一方で患者さんのうつ病に対する理解は未だ十分とは言えず、精神科を受診することをためらったり、性格の問題であると考えてしまう人も少なくありません。医学の進歩とともに、うつ病は脳内の神経伝達物質がうまく働かない状態になっていることがわかってきており、治療により神経伝達物質の働きを改善する必要があると考えられています。自然に治ることはなく、ひどくなると日常生活に大きな支障をきたすようになります。

うつ病は、きちんと治療すれば治る病気です。

このサポートブックによると、「自然に治ることはない」と断言しています。
再発は、きちんと治療をしなかった本人の責任だといっています。
精神的・神経系の病気は、物事の考え方・受け取り方・対応の仕方に大きく起因すると私は思うのですが。

うつ病はどのような症状があらわれるのでしょうか?

心の症状
[抑うつ気分]
・気分が落ち込む ・憂うつだ ・悲しい気持ちになる ・なんの希望もない
[思考力の低下]
・集中力が低下し、仕事の能率が落ちた ・些細な決断ができない
・なんでも悪い方に考える ・自分を責める
[意欲の低下]
・今まで好きだったことや趣味をやる気になれない
・有人や家族と話すのも面倒だし、話していてもつまらない
・何をするにもおっくう(顔を洗う、着替えるといった基本的なことも)
・テレビや新聞を見てもおもしろくない

からだの症状
[睡眠の異常]
・眠れない ・朝、目覚ましよりも早く目が覚める ・寝た気がしない
[食欲の低下(ときに増加)]
・食欲がない ・何を食べてもおいしくない
・ダイエットをしていないのに、体重が1ヵ月で数キロも減った
 (食欲や体重は増加する場合もあります)
[疲労、倦怠感]
・からだがだるい ・ひどく疲れる ・からだが重い
[ホルモン系の異常]
・月経の不順 ・性欲の低下 ・勃起の障害
[その他の症状]
・頭や肩、腰、背中などさまざまな部位が痛む
・便秘 ・心臓がドキドキする

多いのは、からだの症状ばかりが目立つタイプのうつ病

頭痛や便秘、睡眠の乱れ、疲れ、体重減少などのからだの症状が目立ち、抑うつ気分などの心の症状があまり表に出ないタイプのうつ病が増えています。患者さんはからだの症状が気になるため、からだのどこかが悪いのではないかと思い、内科などを受診し、うつ病が見逃されてしまいます。このような状態は軽いうつ病のときに表れるといわれており、からだの不調に加えて、気分の落ち込みなどもある場合は、早めに医師に相談することが大切です。

私の父は自死(自死)で人生を終えました。長く椎間板ヘルニアを患い、自宅療養中だったのですが、仕事に対する責任感、家族に対する責任感で苦しかったのではと思います。私は同居していなかったため、様子がわからないのが残念です。

うつ病はどんなことが原因で起こるのでしょうか?

うつ病のきっかけとなる出来事の例
仕事に関すること 昇進、降格、失業、仕事の失敗、定年
健康に関すること 月経、妊娠、出産、事故、からだの病気
家族に関すること 子どもの就職・結婚、家庭内の不和
お金に関すること 貧困、税金問題、相続問題
結婚に関すること 婚約・結婚、異性関係
状況の変化 旅行、引越し、転勤
喪失体験 近親者との死別・別離、病気

父の自殺で、母は喪失体験のなかで仕事・家族・お金など諸々の問題を抱えました。でも、うつ病にはなりませんでした。悲しみ・落ち込み・不安・疲労は当然あったでしょう。でも、うつ病にはなりませんでした。だからといって、性格的に大ざっぱでいいかげんで悩まない人ではなく、たくさん泣いたり怒ったり落胆したりしています。

うつ病は、からだの中でどんな変化が起きているのでしょうか?

脳内の神経伝達物質の働きが低下した状態になっています。

脳内には神経細胞から神経細胞に情報を伝達する"神経伝達物質"という物質があります。この中の『セロトニン』と『ノルアドレナリン』は、気分や意欲、記憶などの情報伝達をコントロールし、こころとからだの働きを活性化しています。うつ病では、なんらかの理由でセロトニンとノルアドレナリンの働きが低下し、情報伝達がうまく行われなくなるために、気分が落ち込んだり、意欲が低下したりして、うつ病の症状があらわれるようになると考えられています。

「なんらかの理由」で働きが低下する。結局、何だかよくわからないというのが本当のところです。
医学では明記できないようです。そこのところは、薬でコントロールすれば、症状は良くなるということがわかっているだけです。本来は自力でコントロールできるのですが、あまりに辛かったり長くストレス下に置かれると、自力でもとにもどることが困難になるのでしょう。異常な状態が長いとそれが通常になっちゃうのです。そこで、薬の力を借りるのです。

うつ病には、どのようなくすりがありますか?

SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
うつ病の原因となっているセロトニンのみに作用するため、副作用が少ないという特徴があります。しかし、飲み始めに、消化器系の副作用があらわれることがあります。症状の多くは1~2週間ほどで自然に消えていきますが、気になる時は医師に相談してください。

SNRI セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
うつ病に関係している脳内神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリンの両方に作用します。

三環系抗うつ薬
うつ病を改善する効果をもつのですが、一方でくすりがセロトニン以外のアセチルコリンという神経伝達物質にも作用するため、これによる抗コリン作用という副作用があらわれることがあります。主な副作用としては、便秘、排尿が困難になる、口が乾くなどがあります。

四環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬の副作用である抗コリン作用を少なくすることを目的に開発されたくすりです。

自分に合う薬が判明するまで、あれやこれやと試されるのでしょうか? 身がもちませんぞ。
内科で「SSRIを飲んでみない?」と言われたのには驚きました。うつ病という診断も出せないのに、無責任な発言だと思いました。

くすりを服用中の注意

◎抗うつ薬の効果はすぐにはあらわれません。
抗うつ薬は速効性のある薬ではないため、効果があらわれるまでには2~4週間かかります。くすりを服用してもすぐに症状がよくならないからといって、勝手に服用をやめてはいけません。

◎症状がよくなっても、自分の判断で服用を調整してはいけません。
症状がよくなったのは、くすりによってコントロールされているためです。勝手にくすりの量 を減らしたり、やめたりするとまた症状が悪化してしまう可能性があります。

◎くすりの量が増えても、心配はありません。
抗うつ薬は、少量から徐々に増量していくのが一般的な方法です。病気が重くなっているのではありません。

◎心配なことは、遠慮せずに医師に相談してください。
抗うつ薬を服用すると、はじめに軽い副作用がでることがあります。しかし、しばらくすると自然になくなります。副作用が長く続く場合や、気になる場合は医師に相談してください。

◎くすりの服用を突然中止してはいけません。
抗うつ薬は突然、服用を中止すると頭痛やめまいなどの症状があらわれることがあります。服用を中止するときには、徐々に飲む量 を減らしていきます。飲み忘れによる中断にも注意してください。

製薬会社にはおいしい病気だとさえ思えます。
くすりの量が決まったら3ヵ月ほど飲み続ける。症状が安定した状態でさらに半年ほどくすりを飲み続ける。症状がよくなった状態が続いてきたら、3~6ヵ月かけて徐々にくすりの量を減らす。それは順調にいった場合で、回復に波があればくすりは増えたり減ったりするのでしょうか。

治療中の生活で気をつけること

・回復をあせらない
うつ病はよくなったり、悪くなったりを繰り返す病気です。回復をあせらず、医師の指示に従って、休養とくすりの服用を続け、根気よく治療に向き合うことが重要です。

・重大な決断は先延ばしに
うつ状態のときは、考えが悲観的になっています。仕事を辞めるなどの重要な決断は、しばらく棚上げしておき、すぐに決断をすることは避けましょう。

・ゆとりのある生活を
なんでも100%で完ぺきにしないと気がすまない性格がうつ病の誘因となります。少し手を抜いて、八分目くらいをこころがけるようにしましょう。

・自分だけで抱え込まない
すべてを自分1人で抱え込もうとすると、過度な負担がかかります。任せられることは、家族や友人、同僚など周囲の人を信頼して、甘えることも大切です。

・アルコールの量に注意する
お酒やビールを飲むと、一時的に気分が晴れた感じがしますが、うつ病が治ったわけではありません。また、眠るためにアルコールを飲む人がいますが、かえって眠りを浅くしてしまいます。抗うつ薬の作用に影響を与えることもありますので、アルコールと一緒に服用することを避けてください。

うつ病の状態で職場にいると、周りは好意的な人ばかりではない。はじめのうちは、または表向きは理解ある様子を示していても、緩慢な動作や処理能力の低さに我慢できなくなって、その人を避けるようになる。その人への影響を怖がって、休憩中の会話さえできなくなる。うつ病の人は周りに助けてもらってとか、少しは甘えてとかいうが、簡単にそういうベストな環境を手に入れられる人ばかりではない。
収入が減って保険料が払えなくなり、保険証がないから病院に行けない人もいる。保険証があっても毎月の治療代すら出せない人もいるかもしれない。

そこで、新聞記事をご紹介します。

2009年12月26日 中日新聞「話題の発掘 ニュースの追跡」
うつ病 薬頼み 再考論

10年で2倍 患者100万人
 厚生労働省の発表によると、うつ病が大半を占める「気分障害」の患者数が初めて百万人を超えた。うつ病を「心の風邪」ととらえて完治を目指すと、治療は服薬に偏り、長期化すれば薬漬けにもなりがちだ。そこで、患者らが集まって「完治ではなく、うつ病と付き合っていこう」と発想の転換を図り、自身の病気へのかかわり方を見つめ直す試みが広がっている。(岩岡千景)

薬普及と患者増が比例
 厚労省は今月初め、全国の病院や診療所を利用した患者の状況を調べる「患者調査」の結果 を発表。三年に一度の全国調査だ。

 この調査で気分障害の2008年患者数は104万1千人で、初めて百万人を超えたことが分かった。気分障害にはうつ病、そううつ病、気分変調症などが含まれるが、ほとんどは、うつ病で、気分障害とうつ病の患者数はほぼ同じという。
 気分障害の患者数は、1996年には43万3千人、99年は44万1千人とほぼ横ばいだったが、2002年には71万1千人、05年には92万4千人に急増。この十年間では二倍以上に増えている。
 その背景として、まず指摘されるのは長引く不況と、それによる雇用情勢の悪化だ。
 昭和大医学部の岩波明准教授は「失業給付の期間が一年と短く、失職すれば社会的に救済されにくいわが国では、個人にとって雇用の重みが大きい。このため不況下の今、長時間労働を受け入れざるを得ず、働きすぎてうつ病になる人が非常に多い」とみる。
 横浜労災病院の江花昭一心療内科部長も「経済的な先行き不安や就職活動の失敗などから気分の落ち込みを訴え、来院する人が目立つ」と話す。
 また、抗うつ薬の普及と患者増との関連を指摘する声もある。
 患者調査で気分障害が急増した分岐点は、99年から02年。96~99に1%以下だった年間増加率は、99年以降は10%を上回る勢いだ。
 「なぜうつ病の人が増えたのか」の著書があるパナソニック健康保険組合の冨高辰一郎メンタルヘルス科部長は、99年に日本で選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)が抗うつ薬として発表されたことを重視する。「精神疾患の休職者数も99年ごろを境に急増した。この薬が導入されると、うつ病の患者や休職者数が爆発的に増える現象は、英米仏など欧米先進国でも共通 して起きている」と指摘。

「心の風邪」と啓発活動進む
 日本で発売されているSSRIは現在、「ルボックス」「パキシル」「デプロメール」「ジェイゾロフト」の4種類。
 冨高氏は「発売とともに製薬会社を中心に、うつ病啓発活動が進められる」という。啓発活動は 1.うつ病は風邪のように誰でもかかる 2.適切な治療で治る 3.早期受診が必要 …と呼び掛ける。病院で受診すると、服薬を勧められ受診者は、うつ病患者に数えられる。休養を勧められると、休職者も増えていくという構図だ。

「病気と暮らす」考え方 ストレス対処法、身につけ
 だが、薬に過度に頼りがちな現状に疑問の声も出始めている。現在、抗うつ薬として広く使われているSSRIは脳内の神経伝達物質セロトニンの安定を図るとされる。
 「誤解だらけのうつ治療」などうつ病に関する著作が多いジャーナリストの上野玲氏は「セロトニンなどが不安定化して起きるという、うつ病の発病メカニズムは仮説にすぎない。抗うつ薬が効かないとは言わないが、『万能薬』ではなく、薬さえ飲めば治るものではない」と指摘する。
 さらに「電子カルテに向かい、患者の顔も見ずに『薬を出しておきましょう』という医師もいる」と、投薬に偏りがちな現状を批判する。
 現在のうつ病治療は服薬と休養が基本で、それで回復する患者も多い。日本では軽い症状の段階から薬が投与されるのが一般的だが、欧米では軽症者に対して薬を積極的には勧めていないという。
 冨高氏は「軽症うつ病の人には、まず本人の話を聞き、休養を勧め、自己療養の仕方を説明し、不眠などがあれば少量の睡眠薬などで治療を始めるのがいい。精神的に健康度が高い人がストレスの重なりで、うつ病になった場合は無理のない生活に戻すだけで自然回復する確率は高い」と話す。
 また、上野氏は「セロトニン仮説が本当だとしても、お金に困っているとか、職場でパワーハラスメントを受けるなどの環境要因が加わった時にうつ病を発症する。個人の生活環境を改善しなくてはならない」と、環境要因にも目を向ける必要性を説く。
 こうした中、同氏は、患者が自らを見つめて、改善策に気づく場をつくる試みに取り組んでいる。「うつコミュニティ」を組織して秋田県と東京都、愛知県、京都府、大阪府で患者の会を開催。会は自由参加で月一度開き、自らのうつ病体験などを語り合う。

生活環境改善 患者同士学ぶ
 今月5日には、松山市で初めて開催。二十代から四十代までの男女10人が参加し、「自分と同じ苦しみを抱える人に会い、孤独感から解放された」という安心感や、「ウォーキングで体力を回復している」対処法などについて語り合った。
 仲間同士で話すことで、患者は共感や安心感を得るとともに、うつに向き合うヒントを見いだす。「医者と薬に頼るばかりでなく、他人や仕事との距離や生活の仕方を自ら変えようと気付いていく」と上野氏。「長期化や再発も多い。うつ病を心の風邪ととらえて回復を目指すより、うつ病と付き合い、暮らしていく考え方が必要」と発想の転換を説く。
 また、沖縄共同病院の蟻塚亮二心療内科部長は回復の方向性について「中には10年も、うつ病を抱える人や再発する人もいる。うつ病の回復に対する見解は精神科医の間でも分かれるが、症状をゼロにするのではなく、発病時と同じストレス状況に置かれても、対処できる能力を身に付けることではないか」と指摘。
 「ストレス対処力を付けるには、かつての価値観と距離を置き、物事を違うものさしでみることが大事。今までと違う人生の軌道に乗り換えるのは患者自身であり、薬よりも患者が治療の主人公にならないと、うつ病は治らない」として提言する。「うつ病になって、いろいろ思い悩むのは一生懸命に生きている状態ともいえる。患者も周囲も肯定的にとらえて、うつ病と付き合ってほしい」