血液検査で うつ病診断
中日新聞2011年8月31日(水曜日)
広島大、世界初 客観指標を発見


 採血することで、うつ病を客観的に診断できる有力な指標を世界で初めて発見したと広島大大学院医歯薬学総合研究科の山脇成人教授や森信繁准教授のグループが30日、発表した。成果 は米科学誌プロスワン電子版に掲載された。
 神経細胞を成長させるタンパク質の一つ、脳由来神経栄養因子(BDNF)の遺伝子に起きる「メチル化」という化学反応の過程を調べる。
 グループによると、うつ病は基準にそって、気分の落ち込みや意欲低下の症状から問診などで診断され、糖尿病の血糖値や高血圧の血圧値のような明確な指標は未開発。
 今後さらにデータを集め制度を高めるのが課題だが、社会問題化している自殺の原因ともなっているうつ病の客観的な診断や抗うつ薬の効果 予測に役立つと期待される。
 グループは北海道大や名古屋大、大分大などからうつ病患者20人と、うつ病でない18人から血液の提供を受け、BDNFを作る遺伝子の30数カ所のメチル化を解析した結果 、患者特有のパターンが見つかった。
 費用は1人15000円程度と見込み、2日間で結果が出るという。今後、抗うつ薬投与や病状変化と、メチル化の程度の変化の関連性も調べる。