■胃カメラガイド■

ワタクシマッドナース鈴川が、胃カメラの受け方を講議します。
あくまで看護婦さんの視点から。

まず、はじめに心構えから。
胃カメラで死ぬ人はまずいません。小学生の子でも楽々飲んでます。リラックスしましょう。

前の日までに必要なこと。
夕食は少し早めに食べるようにして下さい。夜8時から9時までに食べ終わりましょう。 食べたものが残っていると前日食べたものがまる解りで恥ずかしいですし、 胃壁も綺麗に見えません。せっかく色々準備して検査を受けるのに、 不充分な準備のためにちゃんと胃壁が観察できないのは勿体無いですし、 もし、食べたものが潰瘍とか癌とかを隠していたのなら、大変なことになります。
それから、お酒は飲まないこと。
辛いでしょうが、永遠に飲めないわけじゃありません。1日2日ぐらい我慢しましょう。 たばこも同様です。胃が痙攣しますし、嘔吐反射も強くなります。

当日、病院に行くまでに必要なこと。
男性は、ほとんど問題ありませんが、女性は注意すべき点があります。
まず、上下別れたものを着ること。
つまり、病院にはワンピースとかひらひら着て来んなってことです。
検査の前にする注射の時とか、メチャメチャ面倒です。TPOを考えましょうね。
そして、化粧は控えめに。いくら化粧を濃くしないと人前に出られない人でも、 特に口紅はべったり付けないように!具合が悪くなったのを発見しにくくなりますし、 なにより、マウスピースやスプーンに口紅がべったりついてみっともないです。
一番大切なのは飲食しないこと。
たばこも吸ったらいけません。前日に吸ってはいけないのと理由は同じです。
うがいや歯磨きはOKなので、清潔にして行きましょう。

いよいよ病院に着きました。前処置をします。
その病院病院で、前処置は違いますが、
1.胃の動きを抑え、胃壁を観察・撮影しやすくする注射(主に肩に筋肉注射)。
2.じゃまな胃の泡を消して、見やすくするシロップ。
3.のどの麻酔(スプレータイプとシロップタイプがあります)
が基本的。注射は心臓病・緑内障・前立腺肥大症の人はしないことがあります。
また、このほかに鎮静剤を使うこともあります。
胃カメラを受けるのが初めての人は、看護婦さんや医師に自己申告をして下さい。 (麻酔に使うキシロカインという薬にアレルギーを持っていることがあり、初めて使う時には注意が必要なのと、 検査を受けている間の声をかける割合を増やしたりして援助したりするからです。)

いよいよカメラが口の中へ!
直前にもう一度麻酔をして、カメラを噛まないようにするマウスピースというものを噛みます。 (カメラを胃に挿入してから噛んでもらう病院もあるようです)
カメラが口の中に入ってきて、ちょっと違和感とゴム臭がするかもしれませんが、気にしないようにしましょう。
慌てず騒がずゆっくり深呼吸してみましょう。カメラが入るのは胃です。呼吸はできるので、 口でゆっくり深く呼吸するのがポイント。息を止めると「ゲーッ」となりやすいのです。
そして首の力を抜く。なかなか難しいですが、呼吸とともに大きなポイントです。
とにかく首ってあの太さの中に、骨、気管、食道、筋肉などなどがトコロ狭しと入っているワケです。 ちょっと力を入れようものならあっという間に咽頭が圧迫されて「ゲーッ」てなものです。 カメラが入っているなんて意識せずに、(もし枕があれば)枕に頭の重さは全部預けて首から上はだらーんとしているのが、理想的。
なーに、ちょっと太めのアレをフェラする苦しさを考えたら、たいした苦ではありません。(下品)

カメラがのどを過ぎてしまったら
1.力を抜いて
2.ゆっくり口で息をして
3.できれば目を開けて(少し遠くを見る感じで。病院によってはカメラの画像を見られるところもあるようです)
を心掛けて、らくーにしていて下さい。
胃の中に空気を入れて膨らませて見ていくので、ちょっとゲップしたくなるかもしれませんが、ゲップは我慢した方がヨイです。 (ゲップしてしまうとまた空気を入れ始めるので、時間も長くなるし、ゲップが嘔吐反射の「ゲーッ」を呼ぶことがあります。)
検査中は絶対に唾液を飲み込まないようにして下さい。食道にはカメラが入っているため、飲み込もうとしても飲み込めず、 まず間違いなく気管に入ってしまい、思いっきりむせます。

胃の中を見終わったら
カメラが抜けて終わり、ですが、もし医師が「終わりますからねー」と声をかけてくれるようだったら、 カメラがのどを通り抜ける間は息を止めた方が楽です。
終わったら、唾液を飲み込まないように注意。気管に入ると激しくむせます。(のどに麻酔がかかっているため、情け容赦なく唾液が気管に入ります。)

あとは落ち着いて、医師の説明を聞きましょう。
解らないことは具体的に聞いてみましょう。質問が具体的だと、医師の答えも具体的ですよ。

お疲れ様でした。飲食は麻酔が切れてから、どうぞ。
当日は消化の良いものを食べるようにして、お酒は飲まないように!(出血することがあります。)


5〜6年前、ワタクシが看護学生の時分、胃カメラを受けました。その時は、大変つらくて、もう二度と飲むものか(涙)と思ったものでしたが、まさか、その数年後に胃腸科に勤めるとは夢にも思いませんでした。
とにかくその頃にこんなアドバイスがあったらなぁと、そんなことを考えながら作りました。
まあ、いまとなっては、循環器内科の開業医で胃カメラを飲もうとするなんて、考えられないことですがね。例えるならば、眼を診てもらいに皮膚科に行ったようなもんです。・・・あの頃は無知だった。

ワタクシが日々検査介助をしていて思うのは、胃カメラを苦しく受ける人に特徴があるということです。
代表的なのは、以下の通り。
・胃カメラに必死になっちゃって、全身に力が入っちゃう人
・ヘビースモーカー(のどを通る時、嘔吐反射が強い)
・医師や看護婦のアドバイスが素直に聞けない、アドバイスどおりにできない人

以上です。 かくいうワタクシも数年前までは胃カメラを苦しく受ける人だったんだけどねーハハハ。・・・健闘を祈ります。
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