初級サイカ原論


 《サイカトグ/Psychatog》1青黒 1/2 クリーチャー−エイトグ
「あなたの手札からカードを1枚捨てる:サイカトグはターン終了時まで+1/+1の修正を受ける。
あなたの墓地にあるカードを2枚ゲームから取り除く:サイカトグはターン終了時まで+1/+1の修正を受ける。」

 ここしばらく、スタンダード環境でサイカトグデッキの強さは目を見張るものがあります。青峰が参加するトーナメントでも、上位はほとんどサイカトグだったりします。
 実は、当初わたしはサイカトグデッキがそれほど強いとは思っていませんでした。しかし、何度か対戦してようやくその強さを実感するようになりました。デッキはシナジーに満ちあふれていて、その動きは芸術的とさえ言えます。特に《激動/Upheaval》からのサイカトグはおそろしいほどのダイナミズムを見せ、無敵に近いものがあります。それでいて次のターンこちらが一マナ除去スペルを使っても、《魔力の乱れ/Force Spike》「対象の呪文1つのコントローラーは@を支払わないかぎり、その呪文を打ち消す」でカウンターするという芸の細かさ(何度これに泣いたことか!)。

 そこで、どうやればサイカトグをやっつけることができるか、です。
 ふつうにいけば、スピードを追求したビートダウン、それにバウンス呪文を無効化するアンタッチャブルクリーチャーの投入。といったところがわかりやすいのですが、ここではちょっとちがう面からアプローチしていきたいと思います。
 確かにサイカトグは一撃必殺に充分なほど大きくなります。しかし、それは瞬間最大風速的なものです。目を覆いたくなるほど大きくなるのはほとんどの場合、1ターンだけなのです。それは何を意味するのか。
 つまり、サイカトグの脅威はクリーチャーとしてのものではないということです。どういうことかというと、ふつうクリーチャーが直接ダメージ呪文より相手に脅威を与えるのは、それが場にでている限り永続的にダメージを与え続けることができることによります。つまり、毎ターン、戦闘ダメージを発生させ累積させていくことが可能なわけです。けれど、パワーやタフネスの小さいクリーチャーは除去呪文や、ひとまわり大きいクリーチャーによって容易に排除されうるため、戦闘ダメージを累積させることができません。では、サイカトグは? パワー1,タフネス2とかかれているとおり、単なる弱小クリーチャーにすぎないのです。その弱小君がぶちきれたとき、1ターンだけX点火の玉になる。それが真実なのです(笑)。
 そして、火力スペルの物理的限界は、クリーチャーの累積戦闘ダメージより小さいのが一般的です。

 では、サイカトグは1ターンにはたしてどれだけのダメージを発生させうるのか。これが問題になってきます。
 さまざまなパターンが考えられるのですが、できるだけありがちなパターンで考えてみたいと思います。
 まず、デッキの枚数は60枚。サイカ側の最終ターン(ライブラリーはゼロ)、サイカ側の手札は前のターンに《嘘か真か/Fact or Fiction》を撃ったため11枚。サイカ側の土地は、少し前に激動を撃ったため、4枚のみ。墓地のカードは44枚。(相手側にはサイカをブロックする手段も除去する手段もないと仮定します。)
 このリソースをフルに使った場合、
  手札11枚を捨てることで、+11(→墓地は55枚に)
  墓地を2*27回リムーブすることで+27
足してパワー39、タフネス40の巨大サイカトグの出来上がりです。何だよこりゃって感じです。4体のサイカトグが場に並んでいたとしても、総ダメージは41に微増するだけであることを付け加えておきましょう。
(デュエル中に与えるダメージを考えるなら、既に墓地にあるカード44枚もそれまでのターンに手札から捨てることで+44だけパンプアップされてる可能性もあるとは思いますが……詳しくはわかりませんw)
 サイカトグデッキは手札と墓地のリソースにより、《サイカトグ/Psychatog》のパワーを補っていることから、例えばパワー5である《マハモティ・ジン/Mahamoti Djinn》が4体入ったデッキよりも、累積可能ダメージははるかに小さいのです。

 とすれば、ライフ増加デッキを使えば、光明が見えてくるような気がしませんか。41−20=21。おお、なんと20点ほどライフを増やしておくだけで、サイカトグはあなたのライフを削りきることができなくなるのです。ビバ回復!

 ライフ回復といえば、白のお家芸。例えば以下のようなカードを使ってみてはどうでしょうか。

インスタント・ソーサリー
《生命の噴出/Life Burst》「対象のプレイヤー1人は4点のライフを得て、そのあと、すべての墓地にある生命の噴出カード1枚につき4点のライフを得る」(4枚投入すれば40点回復!)
《ジェラードの知恵/Gerrard's Wisdom》「あなたは、あなたの手札にあるカード1枚につき2点のライフを得る」
《先祖からの貢ぎ物/Ancestral Tribute》「あなたの墓地にあるカード1枚につき、あなたは2点のライフを得る」(しかもフラッシュバック付)
クリーチャー
《慈悲の天使/Angel of Mercy》「〜が場に出たとき、あなたは3点のライフを得る」
《ティーロの信者/Teroh's Faithful》「〜が場に出たとき、あなたは4点のライフを得る」
《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》「〜が場に出たとき、あなたは4点のライフを得る」
《サマイトを総べる者アタリア/Atalya, Samite Master》「「あなたはX点のライフを得る」ただし、このXは白マナでしか支払えない」
《祖神に選ばれし者/Ancestor's Chosen》「〜が場に出たとき、あなたはあなたの墓地にあるカード1枚につき1点のライフを得る」
《ジェラード・キャパシェン/Gerrard Capashen》「あなたのアップキープ開始時、対象の対戦相手1人の手札にあるカード1枚につき、あなたは1点のライフを得る」
エンチャント
《プレインズウォーカーの笑い/Planeswalker's Mirth》「対象の対戦相手1人は、その手札のカードを一枚、無作為に選んで見せる。あなたはそのカードの点数で見たマナ・コストに等しいライフを得る」

 ・・・ライフいっぱいでうはうはになること間違いありません。あとは相手のライブラリー切れで勝利はあなたに手におとずれます。おっと、サイカトグデッキ以外にも勝つために、ジャッジメントはルールを曲げて、こんなエンチャントも用意してくれています。

《忍耐の試練/Test of Endurance》「あなたのアップキープ開始時に、あなたのライフが50点以上ある場合には、あなたはこのゲームの勝者となる」

 ライフを増やしてあなたもサイカトグを泣かせてみませんか。(上記の計算はあくまで1パターンを想定したものなので、その際はできるだけ多くのライフを増やすことをお奨めしますw)  



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