メタゲームは有効か?


 メタゲーム―――トーナメントに出ようとする人たちの間では常識のような言葉です。トーナメントでのデッキタイプの勢力バランス(ここでは「メタ」と表記)を把握し、その情報をいかして勝ち抜けるデッキを作ること、と青峰は認識しています。
 第一段階であるデッキの勢力分布の把握のためには、実際にトーナメントに出たときの情報収集、あるいはネットでのビッグトーナメントの上位デッキをチェックすることなどが必要になります。
 第二段階のデッキ作成は、一番楽なのは、サイドボードをメタにあわせて用意することです。その次はメインデッキをに手を加え、一番気合いを入れると、デッキタイプそのものを変えることになるでしょう。
 青峰もメタゲームを意識してデッキを調整したりしていますが、たまに疑問に思うことがあります。「メタゲームはホントに有効なのか?」と。勝てないヘボプレイヤーの愚痴に近いものがありますが、以下に少々その考えを整理してみようと思います。

1.メタゲームの本質的な問題>>>メタゲームの性質上、全員がメタを強く意識して、デッキを構築・選択すると、当日のトーナメントではまったくデッキの勢力バランスが変わってしまうことがあり得ます。今度のトーナメントではAタイプのデッキが多いだろうから、自分はAに強いBデッキを持っていこう。そしてそう考えた皆がBタイプのデッキをもってゆく。中にはさらにその先読みをしてBデッキに強いCデッキを持っていく人もいるかもしれません。でも、そのCデッキがAデッキに弱いとしたら。MTGはジャンケンだとよく言われますが、メタゲームもジャンケンではないでしょうか。みなが先読みし始めると、訳が分からない状態になります。

2.対戦確率の問題>>>また、トーナメント全体では想定した通りのメタになっているのに、自分の対戦相手は、想定したデッキタイプとまったく違うものばかり。よくあることです。当然のことかもしれません。百人程度のスイスドロートーナメントでも、実際に対戦する相手は全体の一割未満です。この程度の規模ではその抽出サンプルが母集団の正規分布を正確に反映することはむずかしいでしょう。

3.メタゲームを考慮していないプレイヤーの存在>>>トーナメントに参加するのはメタゲームの準備をぬかりなくやってきた人たちばかりではありません。普段カジュアルプレイをしている人がたまあにトーナメントにでも出てみようかと軽い気持ちで普段のデッキででてきたりすることもあります。そういうメタゲームの外に立っている人たちと対戦する場合、事前にメタゲームをしていても何のメリットもありません。

4.仮想敵の絞り込み>>>一回戦で負けると、「地雷の海に沈む」こともあります。 地雷というのは少し意味が違うかもしれませんが、ここでいいたいのは事前のメタゲームであえて無視した仮想敵ということです。メタゲームの結果、やるべきことは強いデッキを仮想敵として焦点を合わせることです。故に、負けスタートだとメタゲームから外れたデッキを相手にすることが多々あります。これではメタゲームをした意味がありません。

5.メタゲームの情報の早さ>>>また、毎週トーナメントに通っていたりすると、一週間でメタがまるっきり変わったりすることもあります。前述の本質的な問題からメタが一周している場合もありますが、現在は以前に比べ情報伝達スピードが格段にあがっているので、最新の外国の選手権結果などもすぐにメタゲームに反映されます。情報を見落とすと出し抜かれます。また、情報的には古くても雑誌の特集などもメタに影響を与えることがあります。

 いろいろとメタゲームについての否定的意見を並べてきましたが、メタゲームそのものを完全に否定するつもりはありません。メタゲームでしっかり結果を出している人も多いでしょうし、それに誰でも試合には勝ちたいと思います。古来より情報を制することは勝利の条件でした。メタゲームに取り組むことは勝ちたい人から見れば当然のことでしょう。
 ただメタゲームが有効になるためには、それを徹底してやることや、参加者全員がメタゲームを念頭に置いているトーナメントであること、などの条件があるようにも思えます。
 メタは存在する。ただし、うつろいやすく、とらえどころがない。それでもハイレベルトーナメントでは顕在化しやすい、と言っておきましょう。

 どうやら、青峰にはあまり必要ないかもという気がしてきました。なんたら選手権予選やプロツアー・グランプリ予選にはまず出ないし、情報収集は中途半端で、その分析は三流ですから。青峰のようにふつうのトーナメントに出る人は、それほどメタゲームに神経質にならず、自分の使いたいデッキをプレイすればいいのではないでしょうか。
 メタゲームってむずかしいですから。



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