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神子の幸いは私の幸いなんだよ。
私の神子は清浄だから、どこにいてもすぐにわかるの。 「神子、神子!」
呼びかけると、神子はいつも笑ってくれる。龍のころに見た、あの小さな白い木と同じ。今の私よりはもうずっと大きいけど……神子はあの木を『さくら』だと教えてくれた。 「どうしたの白龍?」 「あのね、譲がぷりん、できたって。一緒にたべよう」 「ほんとに白龍は、蜂蜜プリンがお気に入りなんだねえ」 うん。譲のぷりん、すき。でも神子はちがうの? 「神子はぷりん、すきじゃない?」 「え? ううん、そうじゃなくて。でも白龍が欲しいんなら、半分あげようか?」 ああ、私の言の葉、やっぱり神子に伝わってない。ぷるぷると首を振ると、神子が頭を撫でてくれた。 じゃあ、ごはんを食べれば、このもやもやも、のみこめる? 「神子、ごはん、食べたい」 神子が声をたてて笑った。 「よっぽどおなかすいてるんだね〜! いいよ、今日は特別に、私の分のプリンあげる」 ねえ、神子。神子はどうしたら、この上ない幸いを得てくれるの?
神子の幸いはぷりんじゃない。 わからない。ひとのこころはむずかしいね。 「神子、これあげる」 ひとの感覚に拠る美醜は、私にはよくわからない。私に分かるのは、気の流れが滞っているか整っているか、それだけ。けれど神子は私の神子だから、滞っているものよりも、整っているものをあげたい。そのほうが私には快く感じられるし、きっとそれは神子もおなじだと思うから。 「……白龍、さっきから、どうしたの? いろいろと持ってくるけど、なにか理由があるの?」 これもちがうみたい。さっき川底で見つけた澄んだ石を、私はがっかりしてにぎりしめた。 「―――ううん、だめ」 「白龍?」 この答えはきっと、神子にきいても、わからない。 「あ、白龍! あんまり遅くまで、一人で出かけてちゃだめだよ〜」 だいじょうぶだよ、神子。神子の気をいつでも感じているから、私は決してまよわない。 ―――あ。 ずうっとほしかった、その満たされたきれいな色。神子の優しい気が、私を満たす。
ひとの身ってどうしてこんなに、歩みがおそいのだろう。ひとの形でもある私の今のからだは、とても小さい。それは私に力がないからで、それはとてもかなしい。でも神子がいつでも笑って頭を撫でてくれるから、今のからだも、きらいじゃないよ。 「―――まあ、白龍。ごめんなさい、大丈夫だった?」 「ううん……いいの、急いでいるから」 「あ、待って。望美のところに行くつもりなの?」 「うん」 朔はしずかに笑った。私の神子の日輪のような笑顔とはちがう、でもやっぱりきれいな、笑顔。 「……今は、だめよ。邪魔をしちゃいけないわ」 「じゃま?」 じゃま。―――妨げ。 「どうして?」 私の問いかけに、朔は指をたててくちびるに当てた。 「声をたてないと約束できるなら、連れて行ってあげるけれど」 「おねがい、朔。つれていって」 「いいわ。でも、話しかけてはいけないわよ。声をたてないようにね」 「……うん」 ほんとうは、神子に話しかけてはいけない、と言われたこと、とても悲しかった。 「───って、え、やだそれ違いますー」 「そうなのか……? お前の世界とやらは、ずいぶんと変わっているんだな」 神子が声をたてて笑った。その笑顔を受けている九郎も、笑っていた。神子と九郎は、諍うこともいっぱいあるのだけど、今はとても仲良しみたい。何より、神子が一番の幸いを得ているのが分かるから、だから私はとてもうれしい。 「……さあ、戻りましょう」 「うん」 朔が手をひいてくれて、私はそのまま神子と九郎のもとを離れた。でも、離れてもずっと感じる。あったかい幸いの気。 「朔は神子が九郎といるの、知っていたの?」 「そうね」 朔が小さく笑った。 「あの二人にあてられるのが厭だから、逃げてきたところだったのよ」 その後の仲裁と惚気に巻き込まれるのもね。
了 |
**ひとこと**
80000Hit申告のぴーにゃさまへのプレゼントSS、リク内容【弁慶or朔がうんざりするほど甘い九望】。
…で、これのどの辺が九望だと主張するつもりなんですか管理人さんよ…。九郎に至っては台詞一行だよ!?
正直白龍がチビ状態の時にこの親密度(ゲーム違)は有り得ないんですが、ちびを書きたかったので。(言い切った)
今回に限ってはいけない人は出せなかった。奴を出すと問答無用で九郎が照れて地雷を踏むからな!
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