2006.02.18-2006.03.18のWeb拍手御礼

遙か3オールキャラで【文章修行家さんに40の短文描写お題】(週代わりで10題ごとUP)
「65字以内で可能な限り具体的描写」が大目標、キャラはお題13とお題40以外は純粋にアミダで決めました。
叩いてくださった皆様、本当にありがとうございました!

お題配布サイトさま

 

 01. 告白(将臣/60字)

昔から事あるごとに「将臣くん大好き」と言っていた彼女は、いまごろ誰を見つめているのだろう。
敵陣から、還内府はにがく笑う。

 

 02. 嘘(譲/61字)

なんでもありませんよ、といつもの笑みを返せば、望美は安堵の表情を見せる。
だから今日も、伝えられない想いと悪夢をのみこんだ。

 

 03. 卒業(九望/57字)

筒を手に駆けてくる少女を抱きとめる。
大学の入学式までは一緒に過ごしましょうね、と微笑む彼女の頬にくちづけを贈った。

 

 04. 旅(敦盛/52字)

死出の旅路とはかくも長いものか。
生者と共に歩む敦盛には、そのかがやきは眩しすぎて、時折逃げ出したくなる。

 

 05. 学ぶ(頼朝/50字)

雪の中に置き捨てられて、父の非情な背中を見送ったあの日の誓い。
武門とはかくあるべきだ、情など要らぬ。

 

 06. 電車(弁慶/59字)

「馬より早いんですか?でもそれは勿体ないですね、君との時間が減ってしまう」
「そういうことをさらっと言わないでください」

 

 07. ペット(弁慶/60字)

愛玩動物のことだ、と神子の説明を受けて軍師は微笑んだ。
「僕にとっては動物よりも、君のほうがずっと、可愛らしい存在ですよ」

 

 08. 癖(リズヴァーン/56字)

「先生」「答えられない」
「先生」「答えられないと言っている」
「私、先生の声が聞けるだけで嬉しいです」「…………」

 

 09. おとな(朔/63字)

銃口を向けるその人を、信じられない思いで見つめた。
彼女には理解できないことを割り切った、つめたい瞳を持つ人は、自分の兄だった。

 

 10. 食事(知盛/60字)

膳が並ぶ宴よりも、馬の脇でかじる糧食のほうが似合いだ。
戦いの中に在る己こそが真実の姿だと、勇将は誰よりもよく知っている。

 

 11. 本(ヒノエ/58字)

乱雑に扱わないでくださいね。
散らかし魔の叔父の整理を手伝わされて、ついた溜め息に草紙の上の埃がふわんと舞い上がった。

 

 12. 夢(九郎/55字)

伸ばした手の先で消えた少女。
飛び起きて名を呼ばわりかけ、それが己のいだく恐れだと知った。
帰すと約束、したのに。

 

 13. 女と女(政子/60字)

分かりますわ、わたくしもあの方を愛しておりますもの。
一途な女ふたり、ゆずれない想いを胸に、護りたい存在をかけて対峙する。

 

 14. 手紙(白龍/57字)

あちこち汚れた紙に、たどたどしい大きな文字。
笑顔いっぱいに差し出す幼子の頬についた墨を、望美は笑って拭ってやった。

 

 15. 信仰(敦盛/61字)

あれほど願った浄土よりも、今は彼女の存在のほうが救いをもたらしてくれるのだ。
そっと息をつく彼の瞳は、やがて血の色に染まる。

 

 16. 遊び(ヒノエ/53字)

女、酒、海。どれも彼にとってはかろやかな、楽しむべきものだ。
たったひとつ、あの風変わりな神子姫を除いては。

 

 17. 初体験(弁慶/60字)

こんな危険なはかりごとに、自分以外のひとを巻き込むことになるなんて。
割れた鏡を指し示す少女に、一瞬、目頭があつくなった。

 

 18. 仕事(将臣/63字)

望美にまとわりつく幼児の姿に、自分にもそんな相手がいるなと思い返した。
仕方ない、早く帰ってかまってやらないと、泣くなあいつは。

 

 19. 化粧(九望/59字)

朔にやってもらったんですよ、似合いますか。
少女は紅くいろどられた唇から、そんな愛らしい言葉を朴念仁に向けてささやいた。

 

 20. 怒り(九郎/62字)

戦場の跡に散らばるむくろは、敵も味方も入り乱れている。
その無念の表情を看取るたび、はやく戦を終わらせなくては、と九郎は思う。

 

 21. 神秘(泰衡/58字)

神の力などと関わり合うのは厄介だが、それしか勝つ手がないのなら致し方ない。
泰衡は遠目に、白龍の神子の姿を透かし見た。

 

 22. 噂(景時/62字)

人の噂は七十五日。
それを過ぎると忘れ去られるのではなく、周知の事実となる。だから
「秘密にしておいてくれないかな、望美ちゃん」

 

 23. 彼と彼女(朔/64字)

神子、と呼ばわる低い声は、かつて自分にもあったもの。
脳裏にやどるかの神の面影は、色褪せることなく今でも少女をいとしみ、さいなむ。

 

 24. 悲しみ(譲/60字)

自分が死にかけていること、その痛みよりも、
涙をこぼして取りすがる望美の表情のほうが心を揺らした。
ああどうか、泣かないで。

 

 25. 生(リズヴァーン/58字)

あのひとの命があるのなら、それだけでいい。
幾億の運命もこの命も、ぜんぶぜんぶ、彼女のために使い切れるならそれが本懐。

 

 26. 死(清盛/65字)

すべてを失うと思っていたのに、すべてを手に入れた。
永遠を手に入れたのだと、不帰路をさかのぼった平家の長は、思い違いをしてしまった。

 

 27. 芝居(銀/60字)

恭しい言葉、紳士らしい振る舞い。
劇の中でしか見たことのないような言動を惜しみなく向けられて、望美は今もときおり赤面する。

 

 28. 体(白龍/52字)

いきなり伸びた背丈に、周囲は戸惑う。
でも、もっと戸惑っているのは、今日も頭をぶつけてさすっている当事者。

 

 29. 感謝(将臣/58字)

夢に見たままの笑顔で少女が手を振る。
花びらの向こうにそれを見とめて、生きててくれてありがとな、と胸の内につぶやいた。

 

 30. イベント(九郎/59字)

中秋の名月だから、と呪詛探索の合間の祭事でにぎわう邸の濡れ縁。
そう言えばあいつの名だな、と今更に気づいたうつけが一名。

 

 31. やわらかさ(リズヴァーン/53字)

剣を構えさせ、型を直してやっているさなか。
風にふわりと舞った長い髪の、その動きが、師の目をひととき奪った。

 

 32. 痛み(敦盛/64字)

傷を負うことより、あなたの涙を見るほうがつらいのだ、とささやかれた。
しゃらりと鎖を鳴らして拭ってくれる、その指先すら赤く染めて。

 

 33. 好き(景時/63字)

「ほんとにお休みの日は洗濯ばっかりなんですね」
「そうだね〜もう癖だから」
「手、がさがさですよ、はい傷薬」
触れた指はあたたかい。

 

 34. 今昔(いまむかし)(銀/56字)

神子様、と呼ぶ彼の無機質な声に、少女は泣き伏す。
ついさっきまで、あんなにも優しい色を込めて呼んでくれていたのに。

 

 35. 渇き(九望/58字)

息苦しさに涙がにじむ。
ようやく唇をはなした男の、普段は絶対に言わないような台詞には、ひどく飢えた響きがこもっていた。

 

 36. 浪漫(譲/56字)

ほら、銀河鉄道みたいだね。
星空の下でふたり、異世界の者にも兄にも分からない会話ができるのを、少し誇らしく感じた。

 

 37. 季節(ヒノエ/65字)

夏だけじゃない。
春は橙の花、秋に押し寄せる魚が海を銀色に染め、冬の寒さは那智の滝をも凍らせる。
「だからおいでよ熊野に、オレの嫁に」

 

 38. 別れ(知盛/60字)

じゃあなと笑って身を投げる男を、神子は声もなく見送った。
彼と自分を何よりも隔てているのは、立場ではなくこころの在りよう。

 

 39. 欲(景時/55字)

「オレには守りたいって思うものがあるんだよ」
そう言うと望美はにっこり笑って、私もたくさんありますよ、と返した。

 

 40. 贈り物(九望/65字)

いきなり小さな箱を渡されて、見上げると「こっちを見るな馬鹿」と怒鳴られた。
真っ赤な顔に、その気持ちだけで十分だ、と笑みがこぼれた。

 

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