三姉妹のある日常:三人はプリティで急々如律令
ニオイの元を捜すぅ?
と、早速鼻を押さえて抗議したのがナカミ。
だって、みんな困ってるって言ってたデスよ、
と、縁の下に首を突っ込んで返したのがシサ。
昨日は違う事を頼まれたって言ってなかった?
と、妹のあられもない姿に渋面しつつ問うたのがクギリ。
ペットを捜して欲しい人もいマスよ。
というシサの声が上から降ってくる。
まさか…引き受けたの?
貯水タンクにスカートで登るなや、と思いつつクギリが心配する。
私、ペット捜しのほうがいいなぁ。
はしごに腰かけて脚をプラプラさせながら退屈そうにナカミが言う。
結論から言うと
給水タンクからセキセインコを喉に詰まらせたペルシャ猫の腐乱水死体を発見したことで、一気に三件の事件を解決した三姉妹。
ぶっちゃけありえな
「こっちだよ〜。
と、ナカミが入り組んだ路地をスイスイ抜けてゆく。
「何処まで行くの〜?
シサが黒いビニール袋を抱えて泣きながら追いかける。
「シサ…あまり力いっぱい抱えちゃ…
猫が型崩れするから、と言いたいのをぐっとこらえるクギリ。
いいこと考えちゃった。というナカミが走り出して20分。
シサがいい感じでへろへろになってきた頃。
路地裏にそぐわない派手な門の前でクギリは絶句した。
ここは香港。有為と無為の交錯する混沌の街。
「師父は留守ある。
派手な門をくぐると、そこは乱雑な部屋だった。
部屋に居たチャイナ服の娘は、先の台詞を言ったきりそっぽを向いてしまった。
「あいやー。どうしよっか。
と言うが早いが、適当なところに腰かけるナカミ。
「ここ…何?
不安気に袋を抱きしめるシサ。
「…
クギリは無言で思案している。
ただ、シサには袋を手放すように言った。
「待っても帰って来ないある。出直すよろし。
そんな三姉妹に、チャイナ娘は肩越しに手を振って駄目押しする。
「まして、反魂が望みとあらば尚更ある
「でも、この前は
おじさんの言う事聞いてくれたら呪殺だろうが反魂だろうがやったるけんのぅと言っていた。
と、ナカミが言った。
「好。呪殺ならするある。
チャイナ娘は人形を取り出すと、おもむろに針を刺した。
壁の裏辺りからちょっと断末魔が聞こえる。
「あ、あのォ…呪殺はいいから反魂のほうを…
シサが控えめに依頼すると、壁の裏から声がする。
「そしたらお姉ちゃんのほうでもおじさんは一向に…
やめて人形
人形やめて
しかし魂のセクハラはチャイナ娘の針連打と、
いつの間にか参加していたクギリの釘で阻止されたりシ
「反魂をするには条件があるある。
「尸と魂。
そして、吾輩に身を委ねる覚…
やめて五寸釘
師父とやらは壁の裏からさっき出て来て命乞いしまった。
「で、誰を甦らせるのかね?
微妙に威厳が足りないが師父のオッサンは威を正した。
「あの、この子たちなんデスが…
袋からモザイクの掛かった猫と鳥を出したシサ。
「むうん。屍はあるが、魂はどうするかはァ!?
その時、ナカミが人形に酷い事をした。
ので、オッサンは股の付け根を押さえて痙攣した。
「この際、今にも口から出てきそうな師父の魂を使うといいある。「猫は…私が
猫に化けたチャイナ娘と、おっさんの魂が入った鳥をそれぞれの依頼主に戻した三姉妹。
「と、言う訳で、もうニオイも無くなると思いマス。
シサの報告に、クライアントも大喜びだ。
「ィィ!!
お礼も兼ねて、御姉妹の方もご一緒に夕食をいかが、と言う話になった。
邸に案内され、クライアントと談笑。
「何がでるかな〜
ナカミ、スタンバイ完了。
しかし、邸が慌ただしい気配に。
「アラスイクナイ!!
「そ、それが…
メインディッシュのタンドリーチキンが逃げ出しまして…
「ハァ!?
「しかも暴れまくってるんで…
「ナ、ナンダッテー!?
食堂のガラスを割って芳ばしいチキンが乱入してきたのはその時だった。
チキンは叫んだ。
「その胸で死なせてくれベイベボグワッ!?
狙い誤たず三姉妹に向かってダイブしたチキンだったが、
五寸釘に貫かれて在らぬ方向へ飛んだ。
「…何だか何処かで会った様な…?
とっさに撃退したものの、疑問符が付きまとうクギリ。
「あれはもしや、先の道士なるオッサンでは在るまいか…?
「その通りあるにゃー
クギリのつぶやきに答えたのは、
釘に貫かれて痙攣したチキン、をくわえたシャム猫だった。
あ。
ネタ切れです。
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