松平山


【山  名】 松平山(マツダイラヤマ) 954m
【場  所】 新潟県阿賀野市(旧笹神村) 
【日  時】 2006年10月28日(日)
【メンバー】 単独
【天  気】 晴れ
【コースタイム】 
魚止めの滝登山口11:40〜山葵山12:40〜山頂13:40  山頂14:00-〜山葵山14:30〜登山口15:20

 登山口で仕度をしていたらお父さんが話しかけてきた。以前は良く山に登ったらしいが、今は花を見るのが楽しみだそうだ。お父さんと別れて登山道を河原に向かって下りる。道端には熊出没注意の立て看板が。あまり良い気持ちではない。丈夫な丸木橋を渡り、沢沿いにしばらく遡る。
 魚止め滝と松平山を示す道標から、尾根沿いに急登を登る。登山道にはクモの巣がかかっている。他に登った人は無いようだ。尾根を登りきるとUFOの着陸跡みたいな場所に出た。ここが山葵山らしい。ここから新潟平野が良く見渡せる。年のせいかこの様な景色を見ると意味も無く感激してしまう。山葵山からなだらかなアップダウンが、山頂に向かって続いている。落ち葉に埋まった快適な山道が続く。

松平山 丸木橋 紅葉のトンネル

 山頂近くで五頭山から縦走してきたらしい三人の男性とすれ違った。簡単に声をかけてすれ違う。紅葉のトンネルの中を歩いているようだ。時折、心地良い風が汗をかいた体に気持ち良い。。
 大きな看板が立てかけてある平らな場所に出た。看板には松平山山頂 標高953.9mと書いてある。以前に来たときはガスで周りが見えなかったが、今回は五頭の峰みねが遠方まで見える。山頂近くの木は葉が落ちて坊主になっており、晩秋が感じられる。誰もいない山頂でバナナ2本とセブンイレブンのオニギリを食べてから、景色を楽しみながら下山した。

松平山山頂 五頭山





大源太山


【山  名】 大源太山(ダイゲンタヤマ) 1,598m
【場  所】 新潟県湯沢町  登山ルート
【日  時】 2006年10月21日(土)
【メンバー】 田村氏同行
【天  気】 曇
【コースタイム】 
登山口7:50〜第一渡渉地点8:10〜第二渡渉地点8:25〜支尾根9:20〜西尾根9:30〜山頂10:30
        山頂11:30〜登山口13:30

 今回は、大源太キャニオンから見ると絵葉書のように美しい、東洋のマッターホルンと言われている大源太山に挑戦した。

 登山口の駐車スペースには千葉、埼玉等の他県ナンバー車が数台停まっていた。辺りはガスがかかり、目的の大源太山は全く見えない。刈り払いのされた登山道を行くと、直ぐに第一渡渉点に到着した。ここには建築現場で使うような仮橋が架かっており、問題なく渡れた。次の第二渡渉点にはロープが張られていたが、ロープにつかまるとかえって体勢が不安定になるようだった。ここで登山道を見失ったが、黄色いペンキで書いた矢印通りに沢を登ると、また登山道に出た。

登山口 第一渡渉地点 第二渡渉地点

 ここから傾斜がきつくなる。地面が濡れているので、落ち葉に隠れた木の根が滑る。南からの尾根と合流し、傾斜が緩くなる。前方に人影を発見。近づいて見ると熟年夫婦だった。あとで話を聞いたら、来年一ヶ月ほど、ネパールにトレッキング旅行をするそうだ。旅行会社を通さないので、一日一万円ほどで行けるそうだ。羨ましい。

頂上直下 崖下を覗く 大源太山山頂

 いよいよ勾配がきつくなり、岩だらけになってきた。何せ周りがガスで見えないので、どの辺りにいるか全く分からない。
 突然大勢の人が集まっている場所に出た。ここが山頂だそうだ。12、3人が座れるほどの狭い所で、槍の穂先に良く似ている場所だ。白いガスが流れる山頂は、まるで天上の国ラピタみたいだ。
 することが無いので何か食べる。田村さんは「日清のどん兵衛きつねうどん」を、私はセブンイレブンの「ねじりチーズパン」と「黒糖入り薄皮栗粒あんぱん」を食す。
 いつまでたってもガスが晴れそうに無いし、段々寒くなってきたので山頂を後にする。




御神楽岳


【山  名】 御神楽岳(ミカグラダケ) 1,386m
【場  所】 新潟県上川村  登山ルート
【日  時】 2006年10月14日(土)
【メンバー】 単独
【天  気】 快晴
【コースタイム】 
蝉ヶ平登山口6:50〜鉱山跡7:05〜湯沢出合7:45〜高頭9:50〜湯沢ノ頭10:40〜御神楽岳12:00
        御神楽岳12:15〜湯沢ノ頭13:10〜高頭13:50〜湯沢出合15:10〜鉱山跡16:00〜蝉ヶ平登山口16:15

 今回は春先に登ったコースと同じ蝉ヶ平コースにした。春先に来たとき、素晴しい紅葉が期待できそうなので、秋にもう一度来ようと決めていた。

 あすなろ荘の駐車場で一晩明かし、夜明けと共に蝉ヶ平登山口に車を走らせる。蝉ヶ平集落を抜け砂利道の林道をしばらく走ると、目的の蝉ヶ平登山口に着いた。他に車はいない。
 歩き出すと直ぐに右側からのしかかる様な崖が迫る。ここで落石に撃たれれば、遥か下の広谷川まで、一気に絶壁を滑り落ち一巻の終わりとなる。音を立てないように静かに抜ける。ここから10分ぐらい歩くと、慰霊碑が並んでいる廣谷鉱山跡に出る。ここで慰霊碑に手を合わせる。

落石が怖い 湯沢の出合 登山道(右側)

 広谷川沿いの道を歩き、沢を7,8本渡渉すると湯沢出合に着いた。特に最後の沢は、川床がコケのついた一枚岩になっていて、ちょっとバランスを崩すとスリップする。このコースで一番怖い所だった。この山は湿気が多いせいか、岩にコケが着いていて油断していると滑る。
 湯沢出合で一息入れていると、後から来たお父さんが追いついた。今日は高頭(コウツムリ)まで行くそうだ。ここから斜面をトラバースして尾根に取り付く。その前に最初の難関である高さ10mばかりの岩場が立ち塞がる。これでビックリしてはいけない。この先はこんなもんじゃないデンジャラスな場所が盛り沢山ある。危険なところにはロープが用意されているが、ロープを頼りに登っていったら切れそうになっていたり、今にも折れそうな細い木の根に縛り付けてあったり、余りあてにできない。

山伏尾根 こんな所もある 湯沢ノ頭

 岩だらけの峰を登ったり降りたりしているうちに高頭に着いた。ここで2,3人座れるような風通しの良い場所で少し休む。後から来るお父さんを待ったが中々来ないので先を急ぐ。先には見上げるような湯沢ノ頭が聳えている。ここは岩場も無く尾根道を淡々と登る。
 ようやく湯沢ノ頭(山伏峰)に到着。壊れた道標が地面に落ちているだけだ。先を見ると、遥か先に目的の御神楽岳が見える。もう11時近いので躊躇したが、気を取り直して先を急ぐ。この辺りから紅葉が始まっている。所々に岩場があり中々飽きないが、体力が限界に近いので、もうどうでも良くなってきた。
 漸く御神楽岳山頂に到着。山頂には室谷コースから登ってきた人が何人かいた。私は青息吐息で汗だらけなのに、室谷コースの皆さんは一様に爽やかな顔をしている。日向で昼寝をしている人もいる。室谷コースの方が楽なんだろうか。

御神楽岳(左上方) 御神楽岳 御神楽岳山頂

 山頂の紅葉は真っ盛りで素晴しい。水晶沢からのスラブ状のダイナミックな山容も感激もの。秋は日が短いので帰り時間が心配になり、早々に山頂を後にする。湯沢ノ頭を越え、高頭を越える頃にはだいぶ膝にきた。この岩だらけの尾根道を降りられるか不安になる。唯一の同行者である朝会ったお父さんは、高頭で引き返したらしい。このコースにいる登山者は私一人、何かあっても人の助けは期待できない。慎重に岩場を降る。
 何とか無事に湯沢出合に到着。例の恐ろしい沢も無難にクリアして、登山口に明るいうちに着いた。熊さんにも遭わず良かったですて。

雨乞峰 下山路 湯沢ノ頭



鳥甲山


【山  名】 鳥甲山(トリカブトヤマ) 2,038m
【場  所】 長野県栄村  登山ルート
【日  時】 2006年10月9日(月)
【メンバー】 単独
【天  気】 曇のち晴れ
【コースタイム】 
7:30切明登山口〜8:30梯子〜10:10白ーノ頭〜10:50カミソリ刃〜11:30鳥甲山山頂

 早朝、秋山郷の中心を流れる中津川右岸に沿って国道406号線を切明に向かって急ぐ。切明にあと一息というところで突然、通行止めの看板が道路を塞ぐ。迂回路なんてありゃしない。泣くなく、今来た道を屋敷まで戻る。屋敷で対岸に渡り、登山口に急ぐ。登山口には自動車が10台ほど停まっていた。渋川、練馬などさまざまなナンバーがある。
 装備は昨日の夜用意したので、速やかに仕度して出発する。昨日までの雨で道がジメジメして滑る。30分くらいで尾根に出た。すぐに鉄のアブミが上から下がっている垂直の岩場が現れた。鉄でできてると言っても、華奢な造りなので壊れないか心配だ。それと上からぶら下がっているだけなので、ゆらゆら揺れる。このアブミを登らなければ先には進めない。頼りないアブミに命を託す。何とか岩場の上部に出た。山の上部はガスがかかり先が見えない。嫌な気分だ。

切明登山口 白ー 例のアブミ

 段々と傾斜が緩くなりいよいよ山頂と思うと元気が出る。やっと到着して見ると何と標識には鳥甲山ではなく、「白ーノ頭⇒鳥甲山まで2.6Km」と書いてある。ここは白ーノ頭だったのだ。ガーン。急に元気が無くなった。でも気を取り直して先を急ぐ。ここから鞍部までだいぶ降りる。折角登ったのに損をした気分になる。
 長さ5mほどの馬の背に出た。土でできているので滑りそう。下を見ないで通り過ぎる。ホッと安心したのもつかの間、アップダウンのある幅40cmの岩山の上を歩く。左右、どちらに落ちても命は無い。ここがカミソリ刃と言われる所だ。ヒエー。クサリがあるが支柱がぐらぐらしていて、間違っても体重をかけられない。
 何とか地獄の一丁目を過ぎると紅葉に染まった鳥甲山が現れた。あとは背丈2m以上ある竹藪の間を歩いて山頂に着いた。
 山頂は木立のため思ったほど眺望が効かない。それでも野沢温泉上の原スキー場、志賀高原、苗場山、佐武流山などが見える。60〜70才のお父さん、お母さんばかり15、6人ほど。皆さん良く食べるし、良くしゃべる。元気だねー。

ガスに隠れた白ーノ頭 カミソリ刃(後方は鳥甲山) 山頂

 帰りは登ってきた道は怖いから、屋敷に下りようということになったらしい。私は写真を撮りたいので復路を降りる。「気をつけてねー」と言うお母さんたちの声援を背に山頂を後にする。所々で写真を撮りながら降りたが、2時間半くらいで切明登山口に着いた。
 帰りに自動車で屋敷登山口を通りかかったら、山頂で話をしたお父さんが道端に休んでいた。切明登山口に置いた自動車を取りに行きたいと言うので、お父さんを乗せて切明登山口まで戻る。自動車の中でお父さんは「屋敷コースは藪で周りが見えないのと、単調なので全く面白くなかった。切明コースの方が良かった。」とブツブツ言っていた。

苗場山と大岩山 切明コース



焼峰山


【山  名】 焼峰山(ヤケミネヤマ) 1,086m
【場  所】 新潟県新発田市 
【日  時】 2006年9月22日(金)
【メンバー】 単独
【天  気】 晴れ
【コースタイム】 
10:45登山口〜12:30師走峰〜13:05焼峰の頭

 今回は滝谷コースでなく、距離が短い加治川ダムコースを選択した。ツーリングを兼ねて登山口の加治川治水ダムまでバイクを走らせた。加治川ダムには人影が無かった。チョットサビシイ。
 登山口から直ぐに急登となる。危険な所はロープが用意されているので助かる。しばらく人が入っていないせいか、蜘蛛の巣が沢山ある。それを木の棒で払いながら進むが、油断していると顔にべったりとついて気持ち悪い。(最近はキモイというらしい)
 まだ紅葉には早いためか、誰も登っていないようだ。急登が続くので疲れるが、効率良く高度を稼げる。遠くに先の尖ったピークが見える。方向からしてきっと北股岳だろう。湯平に行く道が上流に続いている。そういえば湯平にしばらく行っていないな。

登山口 北股岳、湯平方向 師走峰

 所々、峰の名前を書いてある標識が立ててある。この峰みねごとに歴史的背景があるのだろう。ウーン。このコースは思ったより見通しがきかない。淡々と登るだけだ。
 突然、黒い大きな動物がヤブに逃げ込んだ。こちらもビックリしたが奴もビックリしたのだろう。今年はあちこちで熊の出没が毎日と言って良いほど新聞に載っている。クワバラクワバラ。そういえばさっきはマムシもいたっけ。気をつけなくっちゃ。
 何だかんだと言っているうちに、山頂に付いた。ヤッパリ誰もいない。折角なので絶景を楽しむ。周りの山々を見ながら縦走路を頭に描く。あまり腹も空いていないので、梨1個と梅干3個を食す。オイチイ。
 帰りは一時間半ほどで登山口まで降りた。

焼峰の頭(後方は北股岳、大日岳)




門内岳


【山  名】 門内岳(モンナイダケ) 1,887m
【場  所】 新潟県黒川村  登山ルート
【日  時】 2006年8月17日(木)〜18日(金)
【メンバー】 単独
【天  気】 17日(晴れ) 18日(曇)
【コースタイム】 
5:00登山口〜6:50湯沢峰〜7:30滝見場〜8:10五郎清水〜9:40梶川峰〜10:50扇ノ地紙〜11:40門内岳
9:30門内小屋〜11:30丸森峰〜12:30夫婦清水〜〜15:00飯豊山荘


 喧騒と灼熱地獄の都会から逃げ出して、久しぶりに真夏の門内岳に登った。そこには気温18度の爽やかな世界が広がっていた。

8月17日(木)
4:40頃、飯豊山荘駐車場に到着。速やかに仕度を整え、梶川尾根の登山口から登り出す。相変わらずの急登だが、早朝の涼しい空気のなので気持ちが良い。湯沢峰を越え梶川峰にさしかかる。滝見場から石転び沢が良く見える。所々雪渓が割れている。そうとう危険な状況だ。
 ここから最後の急登が始まる。太陽が背中をじりじりと炙る。

隣の丸森尾根 滝見場から石転び沢 梶川峰

 五郎清水の手前で男性二人連れとすれちがう。漸く五郎清水に到着。水場には中年のご夫婦が休んでいた。ここの水は冷たくてほてった体には最高だ。気を取り直して急登を登る。太陽を避けて木陰で何度も休む。いい加減嫌になった頃、梶川峰の頭に到着。漸く門内岳が姿を現す。小屋も良く見える。ここから少しは暖登となるがまだまだ厳しい。草原の間を縫って進む。時期が遅いのか花はあまり見えない。
 扇ノ地紙の標柱に到着。いつ見ても変な名前だ。ここを左折してしばらく行くと目的の門内岳だ。小屋手前の水場でビニール袋に今夜の水を汲む。この袋は人間ドックで黙っていただいてきたものだが、丈夫で中々重宝する。チョロチョロ水なので満タンにするにはえらい時間がかかった。

あの有名なxxカブト 門内岳山頂 門内小屋

 水を抱えて小屋に到着すると、小屋の前で3人のお父さんがワイワイいいながら缶ビールを飲んでいた。堪らず一缶700円の缶ビールを購入し仲間に入る。どういう訳かチーズと柿の種もいただく。あっという間に700円のビールを飲んでしまった。これでは物足りない。もう一本購入する。金を払えば何本でも呑める。最近は山の上も金しだいだ。今度は落ち着いてじっくりと呑む。話を聞くと小屋の管理人さんと交代の人らしい。
 小屋の周りは数々の草花が咲き乱れている。ビールを呑んだせいか眠くてしょうがない。小屋で少し横になる。気がつくと18時過ぎで周りはすでに薄暗くなっていた。新潟の町は黒い雲に覆われ、稲光が見える。管理人さんのラジオはあちこちで停電があった事を放送していた。暗くなってきたので野菜カレーとアルファ米でささやかな夕食とする。今晩は他に宿泊者は無し、貸切じゃ。一人涼しい静かな夜を過ごす。最高じゃ。ネズミが周りを走り回るのを除けばだけど。

マツムシソウ・・・ 夕暮れの日本海を望む


8月18日
(金)
 目を覚ますと既に明るくなっていた。夜、ネズミに頭をかじられなくて良かった。外に出ると雲の間から朝日がさしていた。ガスっているのでまたシュラフに入りウトウトする。8時ごろ、取り合えず、「マルちゃん 昔ながらの中華そば」を食す。
 明日は天気が悪そうなので今日、丸森尾根を降りよう。周りはガスで見えない。尾根道を忠実に辿り、地神山北峰まで行き、そこから丸森尾根に向かう。下降するに従いガスが晴れて暑くてしょうがない。夫婦清水で上半身裸になり、清水で汗だらけの身を清める。別に目的は無いのだけど。後はダラダラと歩き飯豊山荘に着いた。

朝日(門内小屋から) お花畑 丸森尾根




杁差岳


【山  名】 杁差岳(エブリサシダケ) 1,636m
【場  所】 新潟県関川村 
【日  時】 2006年7月8日(土)
【メンバー】 単独
【天  気】 8日(曇) 9日(曇のち雨)
【コースタイム】 

6:10彫刻公園ゲート〜6:50登山口〜7:202号橋〜9:10カモス頭〜9:50権内ノ峰〜10;50千本峰〜12:10前杁差岳〜13:10杁差岳山頂〜13:20杁差小屋
6:30杁差小屋〜6:40杁差岳山頂〜7:10前杁差岳〜〜8:00千本峰〜8:40権内尾根〜9:20カモス頭〜7:302号橋〜11:20登山口〜11:55彫刻公園ゲート


 無い!GPSに電池が入っていない。電池を充電したまま入れるのを忘れた。忘れてきたのはこれだけではなかった、昨日買ったばかりの自転車のワイヤー錠を家に忘れてきた。ドウショバ。GPSは無くても何とかなるし、自転車はその辺りに隠しておけば良いか。
 今回は文明の利器、自転車を使った。上手い人が使えばマウンテンバイクだが、私が乗ればただの自転車だ。それでも、彫刻公園のゲートから登山口まで40分ほどで着いた。歩くより大分早いと思う。

登山口 2号橋 ノウゴウイチゴ

 自転車を茂みに隠し、第一橋を渡り、少し尾根を登り右にトラバースして第二橋に出た。ここからから急登が始まる。背中が日光に照らされるので暑い。頭の先から全身が汗だらけ。カモス頭に着くと中俣川の方から冷風が吹き上げて来た。神様のお恵み、ありがたい。
 峰みねには、驚くほど大量のトンボが飛んでいた。おかげで、うるさい虫はいなかった。トンボが発生すると虫がいなくなるらしい。
 ガスで周りが見えず、何処を歩いているか全く分からない。所々道標があるので迷うことは無いが、トンネルの中を歩いているようだ。それでも何とか杁差小屋に到着。
 早速、水を取りに行く。小屋にあったスコップとコメリで買ってきた10リットルのビニール容器とビニール袋、缶ビールを持って水場に下りる。変だ、いつもと様子が違う。沢がすっかり雪渓で埋まっている。とりあえず持ってきたビールを雪渓に埋めて冷やす。埋めた場所が分かるように目印を立てる。こういうことは良く頭が回る。我ながら感心してしまう。

前杁差岳を振り返る 前方に浮かび上がった杁差岳 杁差岳山頂

 さて肝心の水探しだが、スコップをピッケル代わりにして広い雪渓をウロウロするが、雪渓がズーと下まで続いており水が取れるような所は全く見当たらない。こんなことは初めてだ。しかしビールは冷やせたし、残雪を溶かせば水が得られるので良しとする。
 小屋に戻ると熟年三人連れが到着していた。足の松尾根から登ってきたそうだ。他に宿泊者は無かった。日が高いが、取り合えず一人で乾杯する。食料袋を探すと即席焼きそばがあったのでツマミにしてビール500ml缶を呑む。疲れたので17時ごろ寝た。

杁差小屋 水場 門内岳

 5時ごろ起きてみると相変わらずガスっている。取り合えず「マルちゃん 昔ながらの中華そば」を食す。中々美味。3人連れから記念写真を頼まれた。食事を中断してカメラマンとなる。3人連れが出発し、一人っきりになったので下山する。長者平で登ってくる男性とすれ違った。往きも帰りもこのルートで会った人はこの人だけだった。(後から考えるとこの人は、頼母木小屋に泊まり、朝早くここまで見学に来たような気がする)
 小屋を出るとき、水筒には0.7リットルほど水があったが、登山口に着いたときにはスッカリ無くなっていた。チョット危なかった。反省ジャ。

ヒメサユリと前杁差岳

 登山口に下りて、自転車に跨って走り出したとたん、凄い雨が降ってきた。たまらず道路端の木陰に避難する。しばらくすると小降りになったので、対向車に注意して山道を飛ばす。運転を誤ると右側を流れている東俣川にダイビングだ。彫刻公園ゲートに着いたときには、後輪のはねで全身が泥だらけになっていた。



北股岳(飯豊連峰)


【山  名】 北股岳(キタマタダケ) 2,024m
【場  所】 新潟県新発田市 登山ルート
【日  時】 2006年6月3日(土)
【メンバー】 細野氏
【天  気】 快晴
【コースタイム】 

5:40飯豊山荘〜6:10温身平堰堤〜7:30梶川出合〜8:00門内出合〜8;50本石転び出合〜10:40梅花皮小屋〜11:15北俣岳山頂
12:50梅花皮小屋〜14:10門内出合〜15:30温身平堰堤〜16:00飯豊山荘


 前日の21時頃、国民宿舎梅花皮荘の駐車場に着いた。駐車場の端っこに細野氏の青のX−TRAILが止まっていた。中は真っ暗で寝ているようだ。起すと悪いので静かに隣に停める。新発田で苦労して探し求めた六角棒レンチでアイゼンのネジを外し、登山靴に合うように調整する。六角棒レンチを売っているところを探すのに40分もかかった。

6月3日
 窓を叩く音で目を覚ました。早起きの細野氏だった。時計を見るとまだ4時半だ。 
 何でも細野氏は昨晩、車の中で寝ていて金縛りになったそうだ。誰かに押さえ付けられ身動きできなかったそうだ。丁度、私が着いた頃だそうで、その誰かが私だと言った。ほんとかいな。焼肉の食べすぎじゃないの。
 簡単な朝食を摂り飯豊山荘まで移動する。すでに車が10台ほど止まっていた。早々に仕度をして出発する。温身平を右に折れて堰堤に到着。この堰堤は土砂で埋まってかっての美しさは無くなった。ここから梅花皮沢左岸の山道に入る。まだ雪が消えたばかりらしく、枝が寝ているので装備が引っかかり歩きにくい。時々、道が分からなくなりウロウロする。何とか梶川出合手前辺りから雪渓に入る。     

国民宿舎梅花皮荘 温身平より 梶川出合い付近


 涼しくて気持ちが良い。大きなクレバスも無く歩きやすい。空は真っ青、雪渓の先に北俣岳が白く光っている。先週は雨で悲惨だったけど、今日は当たった!!順調に高度を上げる。

 突然黒い物が4,5個程、前方100m先の斜面を転がり落ちてこちらに向かってくる。直径は60センチはあるだろう。1個であれば逃げようがあるが、複数の場合はどうしようもない。「ラクー!!」と下部にいた細野氏に声をかける。後は神経を集中し落ちてくる岩を避けるだけだ。じっと上部を見つめ身構える。「ナオのマウテンワールド」もこれで終わりか。オーマイゴッド!!

門内の出合い 最後の急登 小屋直下

 ところが落石はいつまでたっても現れない。途中の傾斜が緩くなった所で止まったようだ。ラッキーじゃ。命拾いをした。そこまで登ってみると大きな岩がゴロゴロしている。こんなのがあたれば体がバラバラになってしまう。

 落石に注意してしてブッシュの影でアイゼンを付ける。ここからこのコース最大の難関、落石、滑落が待ち受けている。ここで落石に襲われたら逃げようが無い。それでも上を見上げて落石に注意し急いで通り過ぎる。
 漸く梅花皮山荘直下にたどり着いた。ピッケルで穴を掘り持って来た缶ビールを埋めて冷やす。細野氏を北俣岳に登ろうと誘ったが断られたので、一人で登る。中腹から残雪を登る。見覚えがある鳥居に到着。360度の展望だ。登って良かったよ。写真を撮り、急いで細野氏とビールが待っている梅花皮山荘へ雪の急斜面を駆け下りる。埋めたビールを掘り出し細野氏と待望の乾杯を行う。風があるが日に照らされてポカポカと温かい。天国じゃ!!

北股岳 一つ峰および二つ峰 北股岳山頂(後方は大日岳)

 下山時の小屋下の急坂にはさすがに緊張する。アイゼンに雪が付き油断すると滑落する。滑落して下方に点在している一抱えもある岩に衝突したらあの世行だ。また上方からの落石にも注意しなければならない。

 下山の途中、「露天風呂に入ってから、焼肉と生ビールで一杯というのはどうだい。」と言う細野氏の甘いことばに負けて、もう一泊することに決定。明日は日曜日だし、マアーーイッカ。



守門岳(大岳)


【山  名】 守門岳(スモンダケ) 1,432m
【場  所】 新潟県旧栃尾市 登山ルート
【日  時】 2006年5月28日(日)
【メンバー】 栃尾山の会の皆さん
【天  気】 曇のち雨
【コースタイム】 5:50入塩川登山口〜7:30三角点〜8:00〆掛小屋〜9:35雨晴清水


5月27日(土)
 辺りが夕闇に包まれた頃、ロウソクの炎に導かれ巣守神社の階段を上がる。今年は2年ぶりに守門岳山開きが巣守神社で執り行われる。祭壇の前には神主さんをはじめ、地元の関係者の方々が列席している。
 神主さんが恭しく祝詞をあげ、その後関係者の方々が玉串奉天を行い、お神酒をいただき終了となった。ゾロゾロと入塩川集落開発センターに戻るとすでに宴会の用意がされていた。集落のお母さん方が作った山菜の手料理が並んでいる。私にはウドの白和えが美味であった。宴会が終わったのは9時ごろ。寝袋に包まって朝まで熟睡だった。

巣守神社 巣守神社の境内 塩谷川を遡る

5月28日(日)
 5時前に起床。遠くで雷の音がする。行ける所まで行くらしい。自動車で登山口まで行く。だが明日は恒例の山頂での安全祈願祭は行われないとのこと。残念ジャ!!今回は最長ルートの入塩川コースを行く。塩谷川沿いに渡渉を十数回繰り返し遡る。思ったほど水量は無く、登山靴でも十分だ。三角点を過ぎると残雪歩きとなる。ブナの若葉色が爽やかだ。

〆掛小屋 ガスが立ち込める 幻想的なブナ林

 三角形の〆掛小屋に到着。山頂からガスが降りてきた。とり合えず雨晴清水まで行く。ガスが立ち込め視界が15メートルほどになった。これ以上進むと危険なので、ここで引き返す。みんなで固まって下山する。〆掛小屋てまえ辺りから雨が強くなってきた。〆掛小屋の中にあったブルーシートを雨避けに張って昼食を摂る。塩谷川の増水が心配なので早々に出発する。来たときと同様、何回も渡渉してやっと登山口の堰堤に到着。雨は益々激しくなりここで解散となる。


御神楽岳


【山  名】 御神楽岳(ミカグラダケ) 1,386m
【場  所】 新潟県上川村 登山ルート
【日  時】 2006年5月21日(日)
【メンバー】 単独
【天  気】 5月21日(日)快晴
【コースタイム】 6:45駐車場所〜7:10鉱山跡〜8:10湯沢出合〜9:00稜線〜10:30高頭(こうつむり)〜11:15湯沢頭
       12:00湯沢頭〜15:00湯沢出合〜駐車場所16:00

  沢を10回近く渡渉し、足を滑らせれば命が無い沢沿いの山道を歩き、やっと湯沢の出合いに着いた。ここまで1時間ほどかかった。この道は集中豪雨になれば、沢が増水したちまち寸断されるだろう。ここからやっと山登りが始まる。左手に湯沢頭が林の向こうに見える。このルートはあまり人が入らないらしく、道が消えかかっていて、登山道というよりも獣道に近い。油断すると道がわからなくなる。基本的に登山道は、この峰をトラバースするように切ってある。この辺りの岩は濡れていてやけに滑る。前方に高さ10メートルほどの岩壁が立ち塞がった。頼りのロープを探したが、切れて足元に落ちている。ガーン!!道はこの上に続いているらしい。両手両足で攀じ登る。

鉱山後 湯沢出合から湯沢頭 湯沢頭

 やっと尾根に出た。正面に湯沢頭が圧倒的な迫力で聳えている。外国に行ったことは無いが、外国の山みたい。写真タイムとする。両側がスッパリと切れ堕ちた岩だらけの痩せ尾根が続いている。新潟の山でこれだけ岩尾根があるのも珍しい。ここの岩は溶岩が固まった岩らしく、しっかりとしたホールドが無い。岩山だけれど岩登りではない。脇の小枝に捉って登る状態だ。所々、馬の背になっているが、今日は快晴、無風なので楽チンだ。でも足を滑らせた瞬間に、確実にあの世行きだ。人によって天国か地獄の違いはあるが。下を見ないようにして通り過ぎる。
 時々凄まじい雪崩の音が響き渡る。これにやられたらイチコロジャ!!気の抜けないコースだ。

主稜線への登り 湯沢出合から 笠倉山

 主稜線に出る手前50mがいやらしい。雪庇が堕ちるときに土も一緒に持ってゆくので、1枚岩のスラブ状になっている。当然、登山道も消えている。ここで足を滑らせれば止める手だては無い。そのまま数百メートル落下となる。脇の小枝を掴んで、少ない足場を探して登る。
 先ほどから頭上を県警らしきヘリコプターがグルグル旋回している。あまりに良い天気と絶景に感激して、奇声をあげていたので、遭難者と間違われて通報されたのか。と言ってもほかに人はいないのだけれど。下手に手足を動かすと勘違いされてえらいことになりそうなので無視をしていたら、諦めたのか飛び去っていった。また静かな世界が戻ってきた。
 虫の集団が顔の周りを飛び回る。持ってきた防虫スプレーをそこらじゅうに吹きかけるが効きはしない。油断すると噛みつかれ、腫れて痒くなる。これにはまいった。

湯沢頭 御神楽岳(左側)と雨乞峰(右側) 帰り道

 主稜線に出てから少し歩くと高頭(こうつむり)に到着。室谷側から涼しい風が来るので助かる。前方に湯沢頭が立ちはだかる。ここからも時々岩場が出てくる。馬の背を歩く状態なので捉るところが無い。ここで強風に吹かれたら辛いものがあるだろう。湯沢頭への登りは倒木が道を塞いでいたり、道が消えかかっていたりしている。
 やっと湯沢頭に着いた。てっきり、ここが御神楽岳の山頂だと思っていたが、湯沢頭の標識があるのでガッカリしてしまった。御神楽岳が圧倒的な迫力で前方に立ち塞がっている。山頂まであと1時間はかかるだろう。景色を楽しみ過ぎて、御神楽岳山頂に登る時間が無くなってしまった。快晴のもとで絶景を十分に楽しんだのだからよしとしよう。残念だがここで引き返す。
 岩場はどこもそうだが、下りが難しい。
ここのようにしっかりとしたホールドが無い馬の背のような痩せ尾根を、後ろ向きに下りるのは怖いものがある。まして濡れていたら数倍難しいだろう。この山は湯沢から室谷に縦走するのが正解かもしれない。



大日岳


【山  名】 大日岳(ダイニチダケ) 2,128m
【場  所】 新潟県鹿瀬町 登山ルート
【日  時】 2006年5月3日(水)〜5日(金)
【メンバー】 単独
【天  気】 5月3日(水)快晴
【コースタイム】 5:50川入キャンプ場〜7:20中十五里〜9:20剣ヶ峯取り付き〜10:40三国小屋〜12:30種蒔山〜13:10切合小屋〜13:50草履塚〜14:20御秘所〜16:00本山小屋

【天  気】 5月4日(木)晴れのち快晴 風強し
【コースタイム】 6:30本山小屋〜7:20御西小屋〜9:05大日岳山頂〜10:30御西小屋〜12:50本山小屋〜15:00切合小屋

【天  気】 5月5日(金)晴れのち曇 風強し
【コースタイム】 5:50切合小屋〜6:30種蒔山〜7:30三国小屋〜8:20剣ヶ峯〜10:20御沢小屋跡〜10:40川入キャンプ場

  残業を終えて車に飛び乗ったのは、20時を過ぎていた。雨の中、真っ暗な磐越道を飛ばし、登山口のある福島県山都町川入に急ぐ。遊びには高速道路を使わないポリシーだが、今回は時間が無いので特別だ。津川ICで高速道路を降り、R49を西会津に向かって走る。真っ暗なのでカーナビが頼りだが、注意しないと、とんでもない山の中に連れて行かれ、雪で行き止まりとなる事がある。この時期、カーナビは油断ならない。それと川入から御沢キャンプ場まで除雪してあるか不安だ。除雪してないと30分は歩かなければならないし、肝心の駐車場所が無い。
 一ノ木のいいでのゆを過ぎると急に道が細くなり、沢沿いに凸凹だらけの道が続く。雪崩に怯えながら、対向車も無い真っ暗な道を慎重に走る。30分も走った頃、川入集落に着いた。灯りが消えヒッソリとしている。飯豊鉱泉の脇を通り、御沢キャンプ場に向かう。幸運にも除雪されており、砂利道をヘッドランプを頼りに進む。22:30分過ぎ、御沢キャンプ場に到着。雨は上がっており、星空の下で眠りに落ちる。

5月3日(水)快晴
 天気予報のとおり快晴だ。軽い朝食をとり御沢の登山口に向けて歩き出す。今回は虫がいなくて助かる。どうも先行者がいるようだ。笹平辺りで先行者に追いついた。背中にスキーを担いでいる。大阪から来たとのこと。昨日は御沢の登山口でツェルトで寝たそうだ。何となく植村直巳氏に似ている。

 地蔵山をトラバースして今回の難所の一つ、剣ヶ峯の取り付きにさしかかった。ほぼ全体に雪は付いているが、所々亀裂が入っている。関西のお兄さんは沢筋からまいて中央ルートを登ってゆく。斜度があるし雪が軟らかい事もあり、亀裂を越えるのに難儀した。雪と岩場が交互に出てくるのでプラスチックブーツでは少々不安定だ。

剣ヶ峯取り付き 剣ヶ峯中腹 三国小屋から(後方奥は飯豊本山)

 ようやく三国小屋に到着。関西のお兄さん、福島のお父さん、若いお兄さんと雑談に盛り上がる。三国小屋から種蒔山に向かって切れぎれの雪庇が続いている。こんな所をどうやって行くのだろう。トップバッターには若いお兄さんが先行した。2番手には私。隠れクレバスに落ちればそのまま冷凍人間になってしまう。駒返し辺りで雪庇が手前に張り出している。若いお兄さんはエスケープルートを探しているが見つからないようだ、ピッケルを打ち込み、力任せで攀じ登る。ここをやっとのことで越える。種蒔山を越えると切合小屋が良く見える。今日はここで泊まっても良いが、まだ日が高いので本山まで行くことに決定、寄らないで通り過ぎる。
 草履塚まで広い雪の斜面をダラダラ登る。御秘所を越えて御前坂の登りに取り付く。もう11時間は歩きとおしだ。体力は限界に近づいている。飲み水を作るため雪をビニール袋に詰め込む。16:00時、ようやく本山小屋に到着。長かったぜ!!

種蒔山の登り 御秘所から大日岳 本山小屋

5月4日(木)晴れのち快晴、風強し
 風が強いが今日も晴れだ。本山小屋に不要な装備を置いて、軽身になって出発する。昨夜の説得が効いたのか、関西のお兄ちゃんも大日岳に行くという。彼はスキーで私は歩きで大日岳に向かって、御西の雪原を進む。
 御西小屋には誰もいない。 大日岳を前にして一息入れる。山頂付近に笠雲がかかっている。強風が吹いている証拠だ。あの急登で強風にあおられると辛いものがある。

御西小屋(後方は大日岳) 関西のお兄ちゃん 大日岳山頂から牛首山方面

 中腹から上部は雪の付き具合で斜度50度位に感じられる。表面がザラメで10センチ下が氷化しておりいやらしい。ピッケルがあまり効かず、体を支える物は自分の足だけだ。ヒエー。顔を上げても雪壁しか見えない。頭上を雲が速いスピードで通り過ぎる。
 なんとか急登を上り終えると関西のお兄ちゃんは腰を下ろしタバコを吸っていた。こんなに風の強いところで良く火がついたもんだ。山頂から降りてくる人に会った。「水晶峰からだ」と言った。反対側から登ってきたらしい。色々な人がいるもんだ。とりあえず山頂まで行くがガスでサッパリ見えない。下山ルートが心配で早々に戻る。下りは足元が見えないので登りよりももっと怖い。山が風除けになり助かる。

大日岳山頂 下山ルート 大日岳

 御西小屋の前で関西のお兄ちゃんと別れる。彼は石転び沢を降りるのだと言う。彼と別れ、気が緩んだせいか、無性にビールが飲みたくなってきた。アルコール禁断症状が始まった。昨晩、関西の兄ちゃんに虎の子のビールをやった事を後悔した。あのビールを返してくれー。本山小屋で昼飯を食べると禁断症状はいくらか治まった。装備を回収して切合小屋まで歩いた。今晩はアルコール無しの味気ない晩飯だ。夜半から始まった風の音と寒さでうつらうつらして朝を迎えた。

5月5日(金)晴れのち曇、風強し
 今日も晴れているが昨日以上に風が強い。天候は下り坂か。隠れクレバスが怖いので、雪が硬いうちにと思い早く出たが、すでに軟らかくなっていた。他人の足跡を辿り何とか三国小屋に到着。これからが問題の剣ヶ峯だ。ここも下が見える分、登るより降りるほうがずっと怖い。中央ルートを忠実に降りる。それから長坂を駆ける様にして御沢の登山口まで降りた。




巻機山


【山  名】 巻機山(マキハタヤマ) 1,967m
【場  所】 新潟県南魚沼市 登山ルート
【日  時】 2006年4月29日(土)
【メンバー】 単独
【天  気】 快晴
【コースタイム】 5:40駐車場所〜6:20桜坂〜7:18ピーク1128〜7:50展望台付近〜9:10ニセ巻機山頂〜10:00巻機山山頂


 朝食の用意をしてたら、突然どこかのお父さんが近寄ってきた。何でも、「登山口の桜坂まで林道が除雪されていないので、どこから登ればよいかわからない」そうだ。いつもならすでに除雪は終わってる時期だ。さっそく現場調査に行く。確かに150mほど先で除雪は終わって、その先は2m程の雪が行く手を塞いでいる。これは一大事、桜坂までは車で数分で行ける所だが、歩くと30分程度かってしまう。今回はスキーを諦める。何はともあれ朝飯を食べないことには始まらない。急いでサッポロラーメン味噌味を食す。
 別に道案内を引き受けたわけではないが、お父さんはそのつもりらしく、私が準備を終わるのを待っている。私も積雪時に桜坂まで歩いたことは無い。ウーンこれは責任重大。ワタシャ、ガイドじゃないんだけど。

登山口の清水集落 桜坂の八重桜 左手が清水峠、右手が谷川岳方面

 とりあえず駐車場所を見つけなければならい。「ここのバス停に停めておこうよ。今はシーズンオフなので、そんなにバスは来ないよ」。このお父さんの甘いささやきに同意して、バス旋回場所の端っこに置かしてもらうことにした。ところが、悪巧みは神様がお見通しだ。近所のお母さんが現れ、「ここには停めないで」と言われてしまった。。お母さんの一言で二人の悪巧みはもろくも崩れ去り、スゴスゴと下の国道脇に自動車を移動する事になり、なおさら車を停める位置が遠くなっしまったお父さんは、しきりに残念がっていた。

 除雪終了地点から、雪の上に微かに残っている足跡を辿って桜坂を目指す。林道を辿れば良いのだが、その林道が雪で埋まっているので良くわからない。雑木林の中を迷走する。何とか満開の八重桜が三本植えてある桜坂の橋に着いた。ここまでくればもう安心。後は正面の尾根を登るだけだ。

展望台付近 築地のお父さん ニセ巻機山

 最初の急登で15人ほどの団体さんとスキーヤー2人を追い抜いた。今日はスキーを置いてきたので身軽で調子が良い。登るにしたがい景色が良くなり、お父さんは「今日は当たったとか最高とか」しきりに感激していた。
 ニセ巻機を右に巻くようにして登っていくと、雪の割れ目があちこちに口を開けている。中を覗いて見ると深さ3m程もある。落ちたら自分の力だけでは脱出できないだろう。ここにはまったらマイライフのジ・エンドじゃ。しかし巻機山に行くにはここを避けて行くことはできない。割れ目が狭くなっている所を選んで慎重に跨ぐ。
 後から「アッ」と言う声がした。振り向いてみるとお父さんが腰まで割れ目に埋まっている。しばらくもがいていたが、何とか一人で這い上がった。突然、今度は私が穴の中に腰まで吸い込まれた。「ゾッ」としたが足が引っかかって抜け出した。ここは隠れクレバス地帯だ。この後も、2、3回割れ目にはまったが何とかここを抜け出す。こんなことで山岳保険のご厄介になりたくなーい。

奥のピークが割引山 クレバス地帯 中央が巻機山

 ニセ巻機に着くと、やっとお目当ての巻機山が見えた。相変わらずノペッととした山だ。走るようにしてニセ巻機を降りる。左側にあるはずの避難小屋は雪下で所在も分からない、山頂に近づくと冷たい強風が待っていた。油断すると足をすくわれる。風下に少し下り風を避ける。お馴染みのイグルーモドキをつくり昼食とする。
 色々話をしてみるとお父さんは、寅さんで有名な柴又の向かいの松戸市に住んでいて、築地で働いているそうだ。どおりでタオルで鉢巻をしていたわけだ。でも仕事は厳しく、夜中働いて昼間寝ている生活らしい。とても楽しい人で、何でかんだと話が弾み、気がついたら1時間半も山頂にいた。

左から谷川岳、中央が万太郎、仙ノ倉



鍋倉山スキー


【山  名】 鍋倉山(ナベクラヤマ) 1,288m
【場  所】 長野県飯山市 登山ルート
【日  時】 2006年4月15日(土)
【メンバー】 単独
【天  気】 快晴のち晴れ
【コースタイム】 5:30駐車場所〜5:55田茂木池〜6:10尾根取り付き〜7:10急登終わり〜山頂7:55


 行き止まりになったような、ならないような、暗くて良くわからないがここに駐車する。ここは温井集落をのはずれ、この辺りは今でも、1〜2m程の積雪がある。街灯が一つポツンと辺りを照らしている。何だかワビシイ。夕飯は三条の国道8号線沿いのすき家で、奮発して牛丼の野菜サラダセットを食べてきた。することが無いのですぐに就寝とする。

街灯の向こうの山が鍋倉山です 板倉町に抜ける道路(冬季間不通) ブナの実

 今日は雪が凍っているうちに登頂しようと午前4時に起床して朝飯を食べ、仕度をして、午前5時半に出発した。久々に頑張ってしまいました。遠足の日は早く目が覚める様なもんですか。この辺りは早く雪を融かすために重機でひっくり返してある。まるで雪崩の跡のようだ。雪のブロックは硬く凍っているので、足を滑らしブロックの角にでもぶつけて、打ち何処が悪ければ大怪我をするだろう。
 どうも周りの景色が地図と合わない。雪で道路が埋まっているせいだ。とりあえず田茂木池を目指して進む。
 大きなキャタビラの跡が付いている除雪中の道路に出た。除雪終了地点から広い雪原が開けている。雪に埋まっている田茂木池を右に見て、正面に見える鍋倉山に向かって真っ直ぐ進む。大きな建物をすぎるといよいよ急斜面に取り付く。この急勾配をジグを切って登るのは辛そうなので、板をリックに付けたままツボ足で登る。南向きの斜面のせいか、クラストしていない、足が潜り登りづらい。急登に耐えているとやや傾斜が緩くなってきた。リックから板を下ろしシールを付けて登る。素晴しいブナ林の間を、景色を楽しみながら登る。

雪で埋まった田茂木池 ブナの巨木 山頂にて(後方は妙高山と火打山)

 せっかく山頂に着いたと思ったら、ガスで周りが見えない。風も強く、ガスが速いスピードで流れる。この山は山頂が禿げているので風を避ける場所が無い。急遽、雪のブロックでイグルーモドキを造る。効果バツグン。やっと落ち着いて腰を下ろす。時計を見るとまだ午前8時を廻ったところだ。昼飯にはまだ早い。持ってきたバナナ2本食す。オイチイ。
 時々、ガスの切れ間から周りが見える。西には妙高、火打、東には毛無山、その奥に苗場山が、北には関田山脈が県境に連なっている。ここは景色の良いところじゃ。昔、この山脈を越後と信濃の人達が難儀して越えたのだろう。そんなことを考えながらこの山脈を見ていると感慨深い。

長野と新潟の県境に連なる関田山脈

 誰も来ないし、だんだん寒くなってきた。荷物を片付けて山頂を後にする。ブナの林を快適に滑る。こんな気持ち良いところあったのじゃ。最高じゃ。ルートを間違えないように田茂木池を目印に降りる。急斜面を慎重にこなし、雪原に滑り降りた。後は広い雪原を滑りマイカーと再開した。

 今回は新潟県を飛び出し、お隣の長野県との県境にある鍋倉山にオジャマした。この山は知っている人は知っているが、ブナの大木と山スキーで全国的に有名らしい。ここはブナの杜ジャ。
 




白太郎山スキー


【山  名】 白太郎山(シロタロウヤマ) 1,003m
【場  所】 山形県小国町 登山ルート
【日  時】 2006年3月25日(土)
【メンバー】 単独
【天  気】 快晴
【コースタイム】 6:50登山口〜8:20 766ピーク〜9:00山頂

 無い。いくら探してもサングラスが無い。こんな雲ひとつ無い晴天の雪山を歩くのに、サングラスが無ければ雪目になってしまう。一昨日の夜、酔っぱらってから仕度をしたせいだ。そういえば、冒険家植村直巳氏が、厚紙をメガネの形に切って、中央に横に長く切れ目を入れて使っていた。写真で見たことがある。 ハニワもしくは宇宙人見たいで、異様な雰囲気だった。これを作って見ようかと思ったが、人が居ない秘境ならいいけど、こんな所で人に見られたら恥ずかしい。ということでサングラスはアッサリ諦める。まあ何とかなるだろう。

 まだ問題がある。この辺りの山側はどこも道路から直ぐに崖になっていて、とても登れそうに無い。唯一、他よりも傾斜が緩やかなところを見つけたが、登れるかどうか分からない。それと車を停めるところが無い。道路の両側は、1m程の雪の壁になっているし、民家の敷地には停められないし。しょうがないので、道路がチョット広くなったところを見つけ、駐車する。車の通行には支障が無いだろう。

 車を道路脇に停めて仕度をしていると、軽トラに乗ったお父さんに声をかけられた。「ここに車を停めても良いか」と聞いたら、「ここは車はあまり通らないから良いよ」みたいなことを言った。地元の人からお許しが出たのでこれで大丈夫。ついでにこの崖を登れるかと聞いたら、「大丈夫だ」とアッサリ言われてしまった。ほんとに大丈夫だろうか。

中央が白太郎山 問題の崖 白太郎山山頂(後方は飯豊連峰)

 ここを登らなければ始まらない。とりあえずスキーをザックに括りつけ崖を登る。氷化した斜面をキックステップで登る。思ったより順調に最初の難所をクリア。杉林に入ると勾配は緩くなった。暗い杉林を抜けるとブナ林になる。古いトレース跡があるが、他に足跡は無い。今日は私が一番乗りらしい。カモシカらしき足跡やら猟師のカンジキの跡とかいろいろ賑やかだ。雪目にならないように、直射日光を避けて木立の中を行く。ピーク766からは右側の雪庇沿いに登る。暖急が交互に現れるので、スキーは背負ったまま登る。
 山頂には雪を掘って円卓が造ってあった。最近、造った物らしい。西には真っ白な飯豊連峰が、東には朝日連峰が白く輝いている。素晴しいっチャ。絶景を独り占めじゃ。まだ昼食には早いが、円卓に坐り軽い食事を摂る。今日は定番のいなり寿司が、売り切れていて買えなかったので、マーガリン入りのコッペパンと牛乳のヘルシー食だ。

中央の白いピークが西朝日岳、右よりのピークが大朝日岳、右端が祝瓶山

 しばらく居たが誰も来ない。食事もしたし、景色も堪能した。ソロソロ帰り支度をする。スキーをはいて待望の滑降開始。表面に薄く新雪が載ってその下が氷化している。中々いい感じだ。ブナの木にブチ当たらないように滑る。念のため山岳保険に入ってはいるが、ケガには気をつけよう。尾根を間違えないように、向かいの徳網山を目印に下りる。   
 林間コースを楽しんでいるうちに見覚えのある杉林に到着。ルートを間違えなくて良かったよー。スキーを担いで杉林に入る。杉林を抜けると問題の崖に出た。上から見るとなおさら怖い。スキーをザックに括りつけて降りても良いが、かえって危なそうだ。スキーを履いて、慎重に滑り降りると車を停めた道路に出た。まだ、10時過ぎだ。家に帰って奥さんの車のスノータイヤでも、取り替えようかな。



米山


【山  名】 米山(ヨネヤマ) 993m
【場  所】 新潟県柏崎市 登山ルート
【日  時】 2006年3月18日(土)
【メンバー】 単独
【天  気】 晴のち曇
【コースタイム】 6:30登山口〜8:00 711ピーク〜9:00山頂手前ジャンクションピーク〜9:30山頂

 国道8号線を左に折れて脇道に入った。ナビにも無い道だ。民家も無いし、すれ違う車も無い。暗いのでどこを走っているのか全くわからない。しばらくして心細くなった頃、前方に民家らしき灯りが目に入った。近づいてみると、杉の木立に囲まれた、いまどき珍しいカヤブキの家だ。まさか鬼ババアの家では。辺りはシーンと静まりかえっている。5、6台停められる空き地を発見。とりあえず車を停める。ほかに車はいない。
 さて問題の登山口を探さなくては。ところが聞きたくても人がいない。こんな夜遅くウロウロしていると、不審者と勘違いされ、警察に通報されるかもしれない。実は、以前にある所のバス待合室で寝ていたら警察に通報され、駆けつけたお巡りさんに職務質問されたことがある。登山口は明日探すことにして、今日はここで泊まることに決定。シュラフにもぐりこむ。静かでばかいいですて。

登山口の看板 711ピーク 711ピークから山頂

 5時半起床。「日清のラーメン屋さん旭川しょうゆ味」食す。装備をととのえてから登山口を探す。車を停めた所からチョット先に何かの看板が目に入った。なんとそれは捜し求めていた登山口の看板ではないか。車を停めたすぐ近くにあった。体力、気力は衰えたが、土地感は衰えていなかった。良かった良かったよ。

 看板の案内どおりに家と家の間の道を入って行くと、雪の上に足跡がいくつも付いている。多分このルートで間違いはないだろう。ようやくホッとする。雪に埋もれた林道をショートカットして尾根に取り付く。最初のうちはヤブが煩かったが、しばらく行くと疎らになってきた。711ピークに到着。ここから俄然見晴らしが良くなる。山頂の小屋も見える。
 ここから先は痩せ尾根に雪が載っていて、馬の背というよりも、ラクダの背のようになっている。それが下に向かって、ずっと先まで続いている。足を踏み外せば大ケガは免れない。ヒエー。
 だが新潟から遥々ここまで来て、スンナリと帰るわけにはいかない、覚悟を決めてラクダの背に乗る。やっとラクダの背が終わったと思ったら、ブナ林の急登となる。ここを無難にクリアすると山頂が目前に迫るジャンクションピークに出た。風が強くなったのでヤッケを着る。暖かいよー。あとは周りの景色を楽しみながら、尾根伝いに歩き山頂に到着した。

ラクダの背 登山ルートを振り返る ジャンクションピーク

 とりあえず米山薬師様に道中の安全を祈願する。これは日本三薬師(日向、越後、三河)の一つとして世に知られている米山薬師様だそうだ。山小屋を覗いたが誰もいない。山頂には私一人だけらしい。風が強いので風の当たらない場所を探し、米山薬師様のお堂の裏を借りる。まずは、鮭とばとビールで乾杯する。春の日本海を眺めながらのランチは格別ジャ。

 ここから下を眺めていると、10数年前、長野に単身赴任していた頃を思い出す。金帰月来で週に2回、真夜中、雪の日も雨の日も柿崎の国道8号線をマイカーで通った。ここを通るときは、いつも真夜中だったので、米山は見たことは無かった。今、こうして米山山頂から国道8号線を眺めていると、その頃が思い出され感慨深い。
 帰り際に荷物をいっぱい背負って登ってくるお父さんに会った。目が合ったのが運の付き、どこから来たのかと言われたので、新潟からと答えたら、「なーんだ、俺は岩室からだ」と言った。「なーんだ」の意味が良くわからないが。何でも、山小屋で酒を飲むためリックに沢山詰めてきたらしい。「小屋に泊まると次の朝、影富士ならぬ影米山が見れる。ただし、運が良ければの話だが。だから泊まれ」と言われたが、急に言われても、寝袋も食料も無いし、無理でござんす。
 下りは、ワカンを付けたので快適に歩けた。尾根から降りるときに雪が緩んでいて、何度もずり落ちて、止めるのにピッケルが役に立った。

山頂にて(後方は米山薬師堂) 山頂小屋(後方は火打三山) ナーンダのオジサン

[この旅の感想]
 国道8号線を走ると、左手の山肌を削って山頂近くまで続く大規模林道が見える。手前中央にももう一本ある。痛々しいほど山肌は傷つけられ、霊峰米山の景観を台無しにしている。私は地元の者ではないので、詳しい経緯は分からないし、どうこう言える筋合いのものではないが、山登りやハングライダーなどの遊びのために、山の景観を台無しにするような大規模林道を作るのはもう止めよう。大規模林道を作る理由はいろいろあるだろうが、トラ刈りになった山が可愛そうだ。





守門岳スキー

【山  名】 守門岳(スモンダケ) 1,433m
【場  所】 新潟県栃尾市 登山ルート
【日  時】 2006年3月4日(土)
【メンバー】 細野氏同行
【天  気】 快晴
【コースタイム】 8:20二分除雪終了地点〜10:17保久礼小屋〜12:50守門岳山頂

 二分の除雪終了地点には、すでに車が4、5台停まっていた。装備を整え、高さ2mほどの雪壁を乗り越え歩き出す。先行者のトレースが守門岳に向かって続いている。大平集落に続く林道をショートカットして、尾根に取り付く。雑木林の中をしばらく進み、左から来る林道に出る。林道に出ると風が強くなり寒くなったのでヤッケを着る。さっきまで山頂は黒い雲に覆われていたが、段々と姿を現してくる。天候は回復しているようだ。

右後方が山頂 豪雪に埋まる保久礼小屋 ブナの霧氷

 2時間ほどで保久礼小屋に到着。2階がやっと雪面から顔を出している。屋根には3mほどの雪がのっていて重たそうだ。
保久礼小屋から登りにかかる。保久礼小屋の上部にあるはずのキビタキ小屋が、雪に埋まっていて影も形も無い。二階建てのキビタキ小屋が埋まるのだから、4m以上の積雪ということになる。
 いやに左足が重いと思ったら、何と厚さ10センチほどの雪がベッタリと板に張り付いて、下駄を履いたようになっている。始業点検をサボったせいだ。今日に限って、シールワックスも持ってこなかった。こうなればしょうがない後は体力勝負だ。板を外してリックに括りつけツボ足で登る。トレースがしっかりしているのであまり足が潜らず助かる。感謝感謝。

 森林限界を越えると冷たい西風がもろにあたる。地吹雪でトレースが所々消えている。山頂手前のピークを越えると膝下ほどのラッセルとなる。ラッセルに疲れ、再びスキーを履く。寒さのためか、シールに雪が付かない。ラッキー。
 細野氏が「腹へった」を連発するがこんな状況では飯を食う場所も無い。とりあえず山頂まで行くことにする。

森林限界 もう一息で山頂 守門名物、大雪庇

 山頂に近づくにしたがい気温が下がり風も強くなり、地吹雪状態になってきた。寒さで水筒の水も凍ってしまった。ようやく山頂らしき場所に到着した。これ以上進むと雪庇から落っこちそうだ。隣の中津俣岳に向かって巨大雪庇が伸びている。南側には青雲岳、袴岳が真っ白に光っている。素晴しい眺めだ。
 昼飯を食べたいが、寒くてそんな状況ではない。早々に記念写真を撮って滑り降りる。ところがスキーが全く滑らない。スキーの滑走面を見ると、水滴が凍ったような物がビッシリ付いている。これはナンジャイ。ストックのグリップで擦り落とす。

山頂の風景 山頂にて(後方は袴岳と青雲岳)

 とりあえず風が弱まる所まで滑り降りる。先ずはインストラクター細野氏が真っ先に飛び出す。思い思いにシュプールを描く。雪質は適当に軽く滑りやすい。足に疲れがたまっていて息が切れる。樹林帯に飛び込むと風が弱まった。ここで待望の昼食とする。スコップでベンチを作る。ようやく飯にありついた。
 昼飯の後、太いブナの木々の間をすり抜けるようにして保久礼小屋まで下る。ここからスキーを担いで少し登ると、後はなだらかな林道を滑り、除雪終了地点に無事、到着した。シーハイル!!



粟ヶ岳


【山  名】 粟ヶ岳(アワガダケ) 1,293m
【場  所】 新潟県加茂市 登山ルート
【日  時】 2006年2月25日(土)
【メンバー】 単独
【天  気】 快晴
【コースタイム】 6:20第一貯水池〜6:45第二貯水池〜7:40分岐〜9:00栗庭ノ頭〜9:30砥沢小屋〜10;20北峰〜10:30中峰〜10:40山頂

 除雪終了地点に着いた。第一貯水池駐車場の300m手前だ。積雪は1mほど。他に車はいない。まだ周りは暗く、三日月が粟ヶ岳を照らしている。状況が分からないのでワカン、ピッケル、アイゼン、ストックを全てリックに括り付け歩き出す。これだけあれば大丈夫だろう。

 30分ほどで第二貯水池に着いた。ここから幅1m程しかない堰堤の上を歩き、50m程先の対岸に渡るわけだが、なんと、そこに1m程の雪が載っていていて、まるで馬の背の様になっている。ここで足を滑らせばマイライフが一巻の終わりとなる。山に登る前からビビッてどうする。堰堤を慎重に渡る。そこから貯水池の脇を少し歩き小さな沢を渡渉すると、急登になる。すぐに尾根に出た。尾根歩きが延々と続く。雪が凍っているので歩きやすい。ここの尾根道はほとんど雪庇の上を歩いている状況だ。
 いよいよ撮影ポイントに到着、愛機NIKON F80Sのシャッターを切る。・・・ん。様子がいつもと違う。止まってしまった。電池切れらしい。根性が無いやつだ。リックの中を探すと電池が1個出てきた。残念ながら電池1個ではカメラは動かない。スンナリ諦める。
 栗庭ノ頭への急登が始まる。ここでピッケルを取り出す。途中から強風になる。雪面はクラストしており足を踏ん張っていないと足をすくわれる。こんな状況ではアイゼンをつける事はまず無理。取り付きでアイゼンをつければ良かったですて。ピッケルのブレードを雪面に突き刺し体を引き上げる。

栗庭ノ頭取り付き辺り 北峰手前(後方は守門岳) 粟ヶ岳山頂(後方は守門岳)

 砥沢小屋は殆ど雪に埋まっており、屋根だけがわずかに雪面から出ていた。入口も埋まっているが、僅かな隙間から出入りできる。小屋の脇でアイゼンを付ける。これでひと安心。
 北峰の急斜面は完全にクラストしており、足を滑らせれば止まらないだろう。強風に雪煙が舞い上がる。枝に付いたエビの尻尾が、太陽光線を反射して、キラキラと輝く。下界からは想像もできない真冬の世界だ。

 北峰をトラバースして、中峰に到着。スノーシューで登ってくる人に会った。スノーシューにはMSRと書いてある。ハイヒールの様に踵が上がる器具が付いていて、急斜面でも歩き易いようになっている。構造上、登るときは楽だが、下りは難しいらしい。試してみたいグッズだ。

 ここからやっと粟ヶ岳山頂が見える。風が強いがそれを除けば快晴のもと、周りの山々を眺めながらの快適な散歩を満喫する。
 山頂からは、眼下に広がる大パノラマ。西には大昔の大噴火の跡が見てとれる守門岳、その向かいの浅草岳、魚沼の山々、米山、妙高、北アルプス。北を見れば弥彦、角田、雪を頂く佐渡の山々。東には、白山、真っ白な飯豊連峰、尾瀬の燧ヶ岳。来て良かったですて。
 お腹が空いたので風を避けて北峰の斜面で昼食を摂る。時折枝に付いたエビの尻尾が風でカラカラと乾いた音をたてて落ちる。陽があたるので暖かい。お弁当の内容は近所のセブンイレブンで買ってきた筋子のオニギリ、ゆで卵、バナナなど、どれもどおって事は無いが、何という贅沢じゃ。

北峰 雪に埋まった砥沢小屋 砥沢小屋直下

 名残惜しいがいつまでもここにいる訳には行かない。そろっと帰ることにする。急斜面の上、クラストしているので、滑落しないようにアイゼンの爪を効かして慎重に降りる。何とか栗庭ノ頭の取り付きまで降りた。後は傾斜の緩い尾根道を雪庇を踏み抜かないように歩くだけだ。温度が上がったので足が潜り歩きにくい。折角持ってきたのでワカンを付ける。これで持ってきた物は全部使った。
 なにかと帰り道は長く感じられる。ようやく第二貯水池の堰堤に付いた。また恐怖の堰堤を渡らなければならない。雪が軟らかくなっているのでなおさら怖い。なんとか無事に堰堤を渡り、長い林道を歩きマイカーに再会した。グラッチェ!!


二王子岳


【山  名】 二王子岳(ニノウジダケ) 1421m
【場  所】 新潟県新発田市
【日  時】 2006年1月21日(土)
【メンバー】 単独
【天  気】 晴れのち曇
【コースタイム】 10:40南俣〜11:40二王子神社〜14:50P1202〜15:50二王子神社〜17:00南俣

 昨晩は久しぶりに新潟駅前で痛飲してしまった。最終バスにやっと飛び乗って帰ってきた。朝、起きてみると久しぶりの青空が広がっている。頭が痛いが、山が呼んでいる。適当に登山用具をリックザックに投げ込んで、二王子岳に向けて車を走らせる。
 南俣に着いてみると車が5、6台停まっていた。地元の人の邪魔にならないように駐車する。リックザックにワカンを括り付けて、王子神社に向けて歩き出す。踏み跡があるので楽チンだ。二王子神社まで1時間ほどのアルバイトだ。雪が無ければ車で10分ほどで着く行程だ。

今日の目標、二王子岳 二王子神社手前のタイコ橋 二王子神社

 ニ王子神社に到着。来る途中で買ってきたイナリ寿司を食す。オイチイ。神社で安全祈願をして、ワカンを履いて登り始める。昨日の酒が残っているのか体が重い。杉林を抜けると雑木林をトラバース気味に登り、右の尾根に取り付く。深さ30センチ程のところにザラメの凍った層がある。多分、正月に温度が上がった時にできたのだろう。表層ナダレに気を付けなければ。人の気配を感じ周りを見回すと、前方にスキーヤーを発見。左の沢を降りていった。
 平らな場所に出た。左手にニノックススキー場が見える。スキー場の音楽がここまで聞こえる。心強いが何となく複雑な気持ちだ。前方の斜面にスキーのシュプールがあちこちに付いている。今度来るときにはスキーを持って来よう。
 二王子岳の山頂はもう直ぐだ。しかし時間切れとなり、山頂を目前にして引き返す。虎の子のリンゴを一つかじる。西の空が急に暗くなり雪が降ってきた。薄暗い、雪降る山を一人で降りる。
 1時間ほどでニ王子神社に着いた。神社の前を急ぎ足で通り過ぎ、車を止めてある南俣に向けて急ぐ。南俣に着いた頃にはスッカリ暗くなっていた。すでに、車は一台もいなかった。サビシイ。

山頂に続く尾根 積雪は3.5mニ王子岳



五頭山


【山  名】 五頭山(ゴズサン) 912m
【場  所】 新潟県笹神町
【日  時】 2005年12月23日(金)
【メンバー】 単独
【天  気】 晴れのち曇
【コースタイム】 11:40駐車場〜12:00登山口〜13:45長助清水〜14:50山頂手前〜16:00登山口〜16:20駐車場

 昨日は台風並みの暴風雪と新潟県下越大停電があったばかりだが、駐車場には数台の車があった。村杉温泉から駐車場までしっかり除雪してあった。こんな日でも除雪してくれる地元の人達に感謝感謝。

登山口 長助清水手前 山頂に続く尾根

 後から何処かのお母さんが登山口までついてきた。登山口に着いてみると、登山口から先は誰も行った人はいないらしく踏み跡全く無し。積雪は60〜70センチほどか。
 私がカンジキを付けている間に、痺れを切らしたお母さんはラッセルをして登り始めた。一瞬ラッキーと思ったが直ぐに諦めて引き返してきた。こうなったらショウガナイ、頼りになるのは自分の足だけだと覚悟を決めて登り始める。深いところで膝下ほどのラッセルだ。直ぐに汗が噴出す。
しばらく急登に耐えていると最初のピークに出た。腹が空いてきたので風を避け窪地で阿賀野市姥ケ橋のセブンイレブンで買ってきたいなり寿司を食す。じっとしていると直ぐに体が冷えてくるので先を急ぐ。昨日の吹雪で踏み跡は跡形も無く、頼りは所々枝に下がっている目印と当てにならない勘だけだ。何としても長助清水までは行こうと心に決める。

カモシカ 山頂に続く尾根 五頭山山頂

 ウサギのものと思われる足跡があちこちに付いている。なんだかホットする。何処からかヒョーーヒョーー弱々しい鳴声がする。初めて聞く鳴声だが声の主が見つからない。
 いつもは他人が付けてくれた道を漫然と歩いて登っていたので、今回は様子が違いまるで別の山のようだ。
前方に長助清水の杉の木が見えてきた。何となく元気が出て、坂を登ると長助清水に着いた。杉の枝には雪がビッシリ着いている。時計を見るとPM2時前だ。まだ日は高い。タイムリミットをPM3時と決めて、行けるところまで行こうと山頂を目指す。

 長助清水を過ぎると気温がぐっと下がる。積雪も多くなり、雪質は粉雪となり周りの木々には樹氷がビッシリと着いている。天気が良ければ素晴しい景色だろう。ここからは尾根が広いのでルートが良く分からない。枝が邪魔にならない歩きやすい所を歩く。
向かいの斜面に何か動くものの気配を感じた。良く見ると大きなカモシカが何かを食べている。五頭山で初めてカモシカを見たよ。ラッキーじゃ。
 左側が切れ堕ちた痩せ尾根にでた。雪庇を踏み抜くのが怖いので尾根の右側にルートを取る。山頂は直ぐそこだ。ところが山頂を目の前にしてタイムリミットになってしまった。午後の3時だというのに薄暗くなってきた。残念ながらここで引き返す。
 今日は思いがけず快適な山歩きを満喫した。五頭山を独り占めだったよ。グラッチェ!!


倉手山


【山  名】 倉手山(クラテヤマ) 952m
【場  所】 福島県小国町  登山ルート
【日  時】 2005年11月13日(日)
【メンバー】 単独
【天  気】 晴れのち曇のち雨
【コースタイム】 9:00登山口〜10:15山頂 11:00山頂〜12:00登山口

 新発田ICあたりで財布を忘れたことに気がついたがもう遅い。ポケットを探すと100円玉2枚と小銭が少々出てきた。投げ無しの金で関川のコンビニでオニギリ2個を買う。途中で食料を買うつもりでいたのでこれが今日の食料のすべてだ。

 新潟を出るときは良い天気だったが、登山口に着いた頃には飯豊山の稜線はガスがかかっていた。気乗りしないがせっかく来たので倉手山々頂を目指して登る。直ぐに急登となり落ち葉で滑りやすい。40分ほどで稜線に出る。右手に山頂が見える。紅葉の盛りは過ぎている。チョット下り登り返すと山頂に出た。上空は雲が速いスピードで移動している。正面の飯豊山は7合目辺りから上部は雪で真っ白だ。上部はガスがかかり良く見えない。残念。


 しばらくすると空が暗くなり飯豊山荘の方から風がドドーと吹いてきた。風にのって小雨もパラついて来た。遠くで雷鳴がする。今日は雷注意報が出ているとテレビで言っていた。こんな所では逃げ場が無い。急いで荷物をまとめ山頂を後にする。登山口に着いた頃から本降りになった。財布が無いので梅花皮国民宿舎の風呂にも入れない。空きっ腹を抱え、一路自宅に帰る。





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