イサカアワーズ:アメリカ・イサカ
 マイケル・リントンの提唱するLETSのように口座を集中管理するタイプではなく、紙幣を利用している点が特徴。
○導入の背景
 街の中心にコーネル大学があるイサカ市は人口27,000人ほどの田舎町だ。1991年当時、失業率は3.2%とニューヨーク州の中でも最も低い数値でしたが、最貧層に位置する人々も多く存在していた。ポール・グロバーを中心とした人々は、その原因を大企業が地域の能力や貨幣を吸い取る現行の経済システムにあると考え、地域コミュニティ内での経済を促進するためイサカアワーという地域通貨を発行した。
○システム
イサカアワーはイサカ市の中心部から約20マイル(約32キロ)四方でのみ流通する紙幣で、Two HOURS、One HOUR、Half HOUR、Quarter HOUR、Eighth HOURの五種類からなる。1アワーは10USドルに相当する。この10USドルというのはイサカ市のあるトンプキン郡の一時間あたりの平均賃金。紙幣は偽造防止のために透かしを入れるなど普通の紙幣ときわめて似た造りになっている。
アワーの発行量や時期、融資などは隔週で行われるIthaca Reserve Boardという地域通貨管理委員会において決められる。委員会はコミュニティの住民から選ばれた九人の評議委員で運営され、運営のための基金も設立されている。
イサカアワーズに参加したい住民は委員会の発行しているタブロイド判の機関紙『HOURTOWN』に付いている申し込み用紙に、自分が提供できる物やサービスを書いて事務局に提出します。登録された会員は1ドルの入会金を支払って一アワーを受け取る。

委員会は好きなだけお金を印刷できるが、次の四つの条件以外には発行は行わない。

@誰かが新たにメンバーに加わる。(個人会員は1人1アワー。ビジネス会員は2アワーズ)
Aメンバーがコミュニティに貢献する事業を起こす際のローンを組む。
ローンの総額は全発行額の5%までとして、1つの案件に付き50〜1200ドルに相当するアワーズが無利子で融資される)
B教会、学校、病院などコミュニティ機関に対して寄付をする。
C継続的に機関紙に広告宣伝を依頼したメンバーに対するボーナス。(8ケ月ごとに1人1アワー)

○実験経過
1991年11月の開始当初は約40人が参加し、384アワーズが発行された。1994年末の時点では参加者は800人にも増え、約4800アワーズが発行され、200以上のローカルビジネスが参加するまでに成長した。1991年から1998年までに行われた取引は1万件以上にのぼり、その経済効果は150万ドルにもなっている。現在では500店近い地域企業が参加すしている。
アワーで取引できるものは、ベビーシッターや老人のケア、マッサージ、カウンセリング、診療、弁護士活動、会計処理、自動車や家の修理などサービス業のほか、農産物や雑貨の直販、小売店、スーパーマーケット、レストラン、映画館、アパートの家賃支払いなど1000種類を超えている。
また、Alternative Federal Credit Unionという銀行ではローンや各種の支払いに使用することも可能。銀行では利用者から受け取ったイサカアワーを掃除やリサイクルの収集、パソコンのメンテナンス等、サービスの対価として地域の事業所に支払っています。広報誌によれば「このシステムは貨幣の流通速度を上昇させることによってコミュニティ内で賃金が年平均2万ドルの仕事を何百も産み出している」とある。

この地域では米国の他の地域よりも小規模な有機農法を行っている農場が多くあり、イサカではこのような農家を助けるためにファーマーズ・コーポラティブがイサカアワー委員会から寄付を受けてシーズン前に作物を先買いするというプロジェクトも運営している。シーズンの前に現金を受け取ることで農家は種付けや農機具のメンテナンスなどをすることができる。
地域通貨
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