LETS−地域交換交易制度−:カナダ・コモックスバレー
○導入の背景
1981年から82年にかけて、カナダは深刻な不況に陥った。利息は公定レートで14%、ハウス・ローンで18%というインフレで、とくにコモックスバレーはカナダのバクーバー島にある人口約五万人程田舎だから都会よりもより一層状況が悪くて、どこを向いてもお金がない。
お金がないのだったら、お金をつくってしまえばよい。リントンは周りの仲間に呼びかけ、お互いが提供できることをリストにし、それらを交換し合うことで、不況の中でも互いの生活を支え合うことができるような相互扶助のしくみを立ち上げた。
○システム
LETSはあらかじめ登録した会員同士が、会員にのみ通用する地域通貨を使って、会員間で提供し合える財やサービスを取引しあうネットワーク。
すべての参加者が「0」からスタートし、商品・サービス提供時に受け取る「クレジット」(+)と、商品・サーヒスを購入した際に発生する「コミットメント」(一)を、各参加者の口座に記録することで運営される。
リントンの描く地域通貨は、単に個人間や、コミュニケーションにおけるボランティア的活動を交換するためだけにデザインされたのではなく、プロとして生計を営む個人事業者も、小売店やサービス業などのリテールも、地域に工場を持つ大企業も、すべてが参加可能な地域通貨を構想している。
「システム」
@登録した会員が自分名義の口座を開設してゼロ勘定からスタート。
A事務局が定期的に会報やインターネットの千ムページで誰がどのような財やサービスを提供できるか、また、誰がどのような財やサービスを求めているのかを会員に知らせる。
B各会員はその情報をみて、欲しいものがあれば相手に連絡を取り、価格などの条件を交渉する。
C取引が成立すれば、その結果を運営団体に報告し、各会員の口座に記録される。
(会員には定期的に口座の収支が報告される)
※コモックスでは、誰でも自由に新しいシステムを始められます。今でもコモックスバレーにはたくさんのシステムが併存しています。メインに使われるのは、バレー・システムやコートニー・システムとか2、3種類だけですが、年に数回しか使われないものもあれば、女性だけのウーマンズ・システムもある。誰かが新しく作って使ったまま、誰も引き受け手がいなくて二度と使えないこともおこるが、それは一時的にスローダウンしている状態だと考える。
○実験経過
1985年、G7に対抗してワシントンで行われたThe Other Economics Summitで、リントンによってLETSが大々的に紹介され、イギリスやニュージーランド、オーストラリアやフランスなどに導入された。しかし、その導入目的はLETSの心理的効果によってもたらされる人間同士の信頼の回復、そしてコミュニティの再生である。リントンが始めたLETS は経済的効果を重視したものであるが、他の国ではコミュニティの再構築、生活水準の改善、技術の習得などを目的としている。
コミュニティ重視型のLETSが全世界的に普及していく中で経済効果重視型のLETSは限定的な広がりしかみせない。その理由としては、第一に、ビジネス関係者にとってLETSでは取引の度に記帳し事務局に報告しなければならず面倒であったこと。第二に、規模に自ずと限界があり、利益を目的としたビジネス関係者はLETSに参加したメリットを感じにくかったことが考えらる。
○コミュニティ・ウェイ(現在のコモックスバレーの地域通貨)
主として個人間の取引から成り立っていた初期のLETSを発展させ、地域の企業やNPOにも地域通貨を広げるためにリントンが行った仕掛けが「コミュニティウェイ」と呼ばれている。
コミュニティ・ウェイは、地域内でダイナミックに地域通貨を循環させることで、NPOの活動資金獲得、住民個人による社会貢献、企業のマーケティングという3つのことを同時に可能にする。
<カフェからNPOまで>
現在、コミュニティ・ウェイ・プログラムには、インターネットカフェ、レストラン、スーパーマーケット、雑貨店、ホテル等、を含めて40以上の地域企業が参加している。ICカードが取り入れられ、地元の商店やレストランでの商品購入にも利用できる。また、コモックスバレー周辺で活動するNPOも約20団体参加している。

例えば)
生鮮食料品店の「カントリーマーケット」では100ドル以下の買い物で10%、100ドル以上では20%。
レストランの「ユニオンストリートグリル」では25%。
理髪店の「シックスストリートバーバー」では40%といった具合に、購入代金の一部を地域通貨で支払うことができる。
「コモックス青少年音楽センター(CYMC)」が事務局を務める夏の音楽祭の主な運営費用は政府の補助金や民間企業によるスポンサー、学生への講習に対する受講費から捻出しているが、地域通貨による寄付も約4000ドルある。これを利用して、CYMCに寄付を行った個人に対して、寄付額と同額の地域通貨を返礼として交換するなど、個人からの寄付獲得につなげている。
託児施設を運営する「児童保育協会」では、地域企業から寄付された約8000ドルの地域通貨を、近隣スーパーの食品・日用雑貨の購入や、レストランでの公用の食事の支払いなどに利用している。
地元ケーブルテレビが行うチャリティ番組で、視聴者の寄付に対して地域通貨を交換する呼びかけを行うなどの試みも行っている。
NPOの運営するコモックス・レクリエーション・センターは、子ども向けのスポーツ教室や児童保育サービスなど、提供するプログラムも充実しており、同センターが提供する各種プログラムはすべて地域通貨で利用することができる。
マイケル・リントン
LETS(LocalExchangeTradingSystem)創始者。1945年スコットランド生まれ。カナダ在住。1982年に地域通貨が世界中に広がるきっかけとなるLETSを考案する。以来一貫して、LETSの発展と改良に従事。世界各地での立ちあげに協力してきた。大学で物理、経営、教育を学んだ後、工事現場、漁師、運転手、スキー・インストラクターなどの職を転々としてきたが、コンピューター・コンサルタントを仕事としているときにLETSを発案した。
地域通貨
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