2008年12月25日

北海道がブラックバス一掃を宣言


 2007年5月28日、北海道はブラックバスの生息を確認した3カ所の駆除がすべて終了し、ブラックバスは北海道から一掃されたと宣言した。2001年のバス初確認以降はじまったブラックバスの駆除には、延べ7年間を要したことになる。

 今後も北海道ではモニタリングの継続、バスの違法放流や釣獲情報に対する早急な対策、外来魚の密放流禁止の普及啓発などが継続される。

 北海道ではブラックバスが確認された場合、『生息調査を行うとともに、生息が確認された箇所では、地元関係者と協議し、「撲滅」を目指した捕獲(駆除)を行う。』との方針が2001年7月27日付で発表されており、またバスが未確認だった時点から既にブラックバスとブルーギルの移植放流を禁止する方向で動いていた。こうした断固たる姿勢こそが、ブラックバスの一掃へと導いたのであろう。

 バスを根絶させ一掃を宣言するまでにはこうした方針によって「より早い対応」がなされた事に加え、全国で初めて導入された「電気ショッカーボート」による駆除効率の向上も大きい。電気ショッカーボートは魚を一時的に感電麻痺させ、魚種を目視で確認しながら網で掬うためバスのみを捕獲でき、在来魚の混獲を防止できるメリットもある。

 また多くの稚魚が確認された余市ダムの事例は、冬季間に通常より水位を下げたことによる低水温で結果的に(稚魚の)越冬生残に失敗させることができたなど、条件的に恵まれていた例でもあるだろう。

 北海道でバスが確認された当初、ブラックバスは容認できないとする釣り人からも「残念ながら根絶は不可能だろう」とか「根絶は無理、あきらめるしかない」などという悲観的な意見があったし、実際にメールや当サイト内に設置していたBBS(掲示板)にもそうした声が少なからず寄せられていた。またバス釣り人ら擁護派の主張の中には、「根絶は無理だから、釣りなどで有効利用した方が良い」とか「根絶は不可能なので、駆除はムダ」などといったものも見られるが、北海道では根絶が現実のものとなった。

 もし駆除はムダだと何ら手を施さなければ決して根絶へと至ることはなかったし、根絶は無理だとあきらめて有効利用をすることはさらなる拡散の危険性を増大させるだけである。根絶を目指す断固とした方針の下、地道に継続された駆除はムダではなかった。

 今後は電気ショッカーボートばかりではなく、あらゆる状況に対応できるように様々な駆除技術が確立され、全国の現場から根絶の報告が届くことに期待をしたい。