2003年 8月21日 最終更新

余市ダム・ブラックバス確認からの経緯

2002/ 6/ 9  余市町内にある余市ダムにおいて、釣り師によってラージマウスバス1匹が釣り上げられ、同町内の釣具店に持ち込まれる。 注 1
7/19  道水産林務部によってラージマウスバス2匹が捕獲される。道内2例目となる公式確認。道内水面漁業調整規則を改正後は初確認。2匹はいずれも雌で、道立水産孵化場によって越冬歴、産卵歴などが調査される。 注 2
7/22  午後、道水産林務部がバス捕獲のため、刺し網やかごを設置。  
7/23  午前、前日仕掛けた網を引き上げるが新たな捕獲は無し。  
8/7〜9  道水産林務部などがダムを再調査。ブラックバス(稚魚、産卵床を含む)は確認できなかった。
 道立水産孵化場は調査の結果、7月に捕獲された2匹の雌はいずれも
未成熟ながら抱卵していたと発表。
注 3
8/28  道は9月2日〜3日の両日、余市ダムの水位を下げて捕獲調査を実施する旨を発表。 注 4
9/ 2  朝、道立水産孵化場により、ラージマウスバス稚魚5匹が捕獲される。稚魚についてはこれが道内初捕獲 注 5
9/ 3  予定されていた水位を下げての調査を実施。新たに稚魚16匹が捕獲される。これによりこの日までの予定で実施されていた調査は6日まで延期することに。また、バスがダムの放水によってダム下のヌッチ川に落ちた可能性もあるとして、翌週にも同河川内での対策についても協議する予定。 注 6
9/ 4  朝、捕獲用に設置されていた箱網9個の、魚を取り出すために取り付けられているファスナーが、何者かによって開けられているのが確認された。人がいなくなる夜間から早朝を狙って、中に入っていた魚を逃がしたものと見られている。また、稚魚が持ち出され、他の水域に放流された可能性もあるとして6日まで実施される予定だった捕獲調査は中断された。
 尚、この日の
新たな捕獲は稚魚1匹
注 7
9/ 9  新たに稚魚3匹が捕獲される。道はこれまでの調査から、稚魚は余市ダムで繁殖したものではなく、稚魚の状態で放流された可能性が高いと発表。  
10/ 3  調査が再開され、地引き網で新たに稚魚14匹を捕獲。同ダムで捕獲された稚魚は累計で135匹に達した。ダム湖の水が流入しているヌッチ川との接続部でも、高圧電流で魚をしびれさせる「電気ショッカー」を使用したがバスは確認されなかった。 注 8
10/24  道、町、地元漁協による会議が開かれ、この日で年内の調査を打ち切ることを決めた。初捕獲からこれまでの公的な捕獲は、成魚2匹、稚魚223匹 注 9
2003/ 5/12〜14  刺し網、カゴ網及び潜水による調査を実施したが、バスは確認できず。これが2003年度初の調査。 注10
6/中旬  調査を実施したが、バスは確認できず。調査時の表層水温は18〜20℃  
7/ 7〜 8  調査を刺し網、潜水等による実施、特に越冬の可能性のある幼魚探索や産卵床探索にも重点がおかれたが、バスは成魚、幼魚、産卵床ともに確認できず。また今回の調査では、スキューバ・ダイビングのボランティアも参加し、潜水調査を行った。  
 ここに記載されている情報は、あくまでも管理者が確認しているもののみです。欠落等に関しましてはご容赦下さい。

参 考

注 1  6月9日夕〜10日午前にかけて、バスが持ち込まれた釣具店のホームページにおいて、本事案が掲載されるが、道水産林務部漁業管理課の指導により削除される。理由はこの情報を受けてバスを釣ろうという心ない釣り師を刺激しないようにとの事。



注 2 余市ダムは余市、仁木両町の農家197戸に農業用水を供給しており、貯水量は80万トン。

 捕獲調査当日、インターネットなどで情報を受けた釣り師が、同ダム施設内の立入禁止区域内で釣りをしていたという。



注 3  調査は刺し網による捕獲調査のほか、潜水による産卵床の有無、電気ショッカーによる稚魚の有無についても行われた。いずれも確認はされなかったが、道は「ここにいないとは、断言できない」とし、今後も調査を続ける考え。



注 4  水位を下げるのは捜索範囲を狭め、成魚、稚魚、および産卵床を発見しやすくするため。バスの産卵床は水深2〜3メートルにある場合が多いため、捕獲作戦では水位を5メートル下げる予定。



注 5  捕獲された稚魚は体長4〜6センチで雌雄は不明。31日にダム堤体付近に投げ込んで置いた網に入っていた。稚魚が余市ダムで生まれたものか、密放流されたものかはわからないため、このダム内での繁殖の有無については不明。

 8月上旬に実施された潜水による調査時に、稚魚と見られる魚影を確認していたことから、今回、目の細かい網を試験的に使用していた。



注 6  捕獲された稚魚は体長5〜7センチで、いずれも雌雄は不明。道立水産孵化場は「すべての網に稚魚がかかっているわけではないので成育分布は局所的。稚魚の分布実態や成育量を把握することがまず必要」とし、調査は長期化する見通し。道はこの調査を6日まで継続し、9日にも地元自治体、漁協などと協議する予定。



注 7  開けられていた網は、ダム堤体に最も近い場所に沈められていた11個のうち9個。今回の調査では26個の箱網やかご網が使用されていたが、ファスナーが開けられていた9個以外はボートなどを使用しないと近づけないため、異常はなく、こちらで新たに稚魚1匹を捕獲。



注 8  当サイトで確認していた稚魚捕獲数と累計数に大きく差異が生じているのは、9月4日に起きたような事件に考慮し、報道発表が慎重になっているためだと考えられる。

 稚魚には体長が9センチに達する個体も複数あり、過去に捕獲されたものより一回り大きく、ダム湖内で成長しているようである。

 調査は4日も継続して行われたようだが、報道機関による発表はされていない。



注 9  捕獲調査の打ち切りは、ダムが冬場に凍結することや水温低下に伴い魚体の動きが鈍くなって捕獲が難しくなるため。ダムへの立ち入り禁止やバスの密放流を防ぐための見回りは今後も継続し、雪解け後に調査を再開する。

 道立水産孵化場はこれまで捕獲した稚魚が体長3〜9センチまでとばらつきがあったことから「体長が7〜8センチ以上の個体は余市ダムで生まれたとは考えにくく外から持ち込まれたと推定できる」とした。



注10  調査実施時、湖水の水温は6-7℃であったことから、バスが確認できなかったのは、活性が低いことが原因の可能性も。
 またダム下のヌッチ川でも調査を実施、エレクトリックショッカーを使用して捕獲されたのは、サクラマス稚魚とカジカ類、フクドジョウで、バスは確認されていない。