戻る

― 執 筆 中 ―

講義日:2003年11月12日(水) 現代教養科目(文系)「創造の方法」

1)ゴジラという記号

 1954年11月3日に公開された東宝映画『ゴジラ』は、前評判の不評に反して961万人の観客動員数を誇るヒット作となった。この年の3月に起きた第5福竜丸事件、続いて起きた原子マグロ騒動と、前年にアメリカで公開された『原子怪獣現る』(日本公開1954年12月=ゴジラ公開の一ト月後)にヒントを得て〈海底二万哩から来た大怪獣〉という企画であった。
 一般向けの娯楽恐怖映画として製作された『ゴジラ』ではあったが、広島・長崎の被爆から10年に満たない中、再びの被爆という社会を背景に、科学者の戦争責任の問題―科学は戦争に利用される―を内在させたことで、単なる恐怖映画の域を越えた「思想性」が見出されるにいたった(それが前評判の不評の原因にもなった)。

2)ゴジラの系譜

 1954年、『ゴジラ』のヒットを受けて翌55年には続編『ゴジラの逆襲』が公開された。以後、現在まで数多くの『ゴジラ』作品が公開されてきたが、それらは大きく昭和時代のゴジラシリーズ(T類)、平成ゴジラシリーズ(U類)、現在公開中のシリーズ(V類)の三系列に分類される。個々の作品は次の通りである。(タイトル/公開年/観客動員数)

T類 U類 V類
ゴジラの逆襲 1955 834万人 ゴジラ 1984 320万人 ゴジラ2000 1999 200万人
キングコング対ゴジラ 1962 1255万人 ゴジラvsビオランテ 1989 200万人 ゴジラ×メガギラス 2000 135万人
モスラ対ゴジラ 1964 720万人 ゴジラvsキングギドラ 1991 270万人 ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 2001 240万人
三大怪獣 地上最大の決戦 1964 541万人 ゴジラvsモスラ 1992 420万人 ゴジラ×メカゴジラ 2002 170万人
怪獣大戦争 1965 513万人 ゴジラvsメカゴジラ 1993 380万人 ゴジラ・モスラ×メカゴジラ 東京SOS 2003 ???
南海の大決闘 1966 421万人 ゴジラvsスペースゴジラ 1994 340万人
ゴジラの息子 1967 309万人 ゴジラvsデストロイア 1995 400万人
怪獣総進撃 1968 258万人
ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 1969 148万人
ゴジラ対ヘドラ 1971 174万人
ゴジラ対ガイガン 地球侵略命令 1972 178万人
ゴジラ対メガロ 1973 98万人
ゴジラ対メカゴジラ 1974 133万人
メカゴジラの逆襲 1975 97万人