日本文学実地踏査

テーマ 古典芸能への招待―歌舞伎を楽しむ―
内 容 「鳴神不動北山桜」を楽しもう
踏査地 歌舞伎座・成田山新勝寺・浅草を予定
キーワード 市川海老蔵・成田屋・歌舞伎十八番・荒事

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歌舞伎って面白いのかな。
古典芸能っていうと高尚で難解な感じがするのだけど…。
まあ、歌舞伎にもいろいろあって一口では言えないけれど、授業で扱う話は基本的にバカバカしい話だよね。
鳴神不動北山桜」って、
魔法で竜神を封じ込めた坊さんが、カレと一緒になりたいお姫様によって色仕掛けで落とされて魔法を破られる話だとかさ(歌舞伎十八番『鳴神』)
毛抜きが座敷で踊ってナンジャコリャの謎解き
だとかさ(歌舞伎十八番『毛抜』)。ああ、でその探偵役の侍が、また女口説くわ美少年に手を出すわ、いかがわしくってね。
それから単に役者が不動明王になってアリガタヤってだけの話もあって(歌舞伎十八番『不動』)、
けして高尚でも難解でもないよ。むしろ単純。ばかばかしい話を素直に楽しめる人向きかも。
でも、その話のウラにはいろいろと日本文化の根底にある問題が潜んでいるから、話を楽しんだ先に、知的世界が広がってるのは事実。
例えば、なぜ役者が不動明王になってアリガタヤで芝居が成り立つんだろう。そこにどんな庶民の心が生きているのか、とかさ。さらに今年は十代目市川海老蔵襲名が話題になって、ぼくも5月・6月に芝居見物ツアーで襲名興行、歌舞伎座までみんなを連れて行ったでしょ。あの客席の盛り上がりは単なる人気役者の襲名ってだけじゃないんだよね。そこに役者と贔屓=観客との江戸時代以来の関係があったりするワケ。
でも、まあ、そこまで授業で触れられるか、というよりどう触れるか、をこれから考えないとなあ。
どんな授業をするつもり?
最初は惟光流「歌舞伎の見方」の伝授。歌舞伎を見るときの「お約束」だね。
例えば、役者の家々や屋号(市川団十郎家だと「成田屋」、尾上菊五郎家だと「音羽屋」、中村勘三郎家だと「中村屋」、沢村家だと「紀伊国屋」、市川左団次家だと「高嶋屋」)についてとか、
歌舞伎の種類、つまり「荒事」「和事」「時代物」「世話物」ということや、
見得などの演出についてだとか、
舞台の構造や、花道の使い方、
また「世界」「趣向」といった戯曲構成とか、
そういう基礎知識など。これ、皆でハンドブックみたいなの作れるといいんだけどね。時間的に無理かなあ。
それからは「鳴神不動北山桜」の台本を読みながら、劇評読んだり、記録映像を見たり
で、あとは実際に歌舞伎座に足はこんで、歌舞伎を見るんだけど、問題はまだ演目が決まってないんだよね。だから「鳴神」や「毛抜」「不動」なんかを上演するかどうかは不明。なにより「鳴神不動北山桜」は、ここのところ国立劇場の出し物だし。でもまあ、「鳴神」か「毛抜」くらいは上演されるといいな、と思ってるワケ。
それと荒事を扱うのでやっぱり市川団十郎は避けて通れないので、「不動」もあることだし、成田不動と浅草には行こうかな、とね。山梨にもゆかりの地はあるんだけど、成田山より交通的に遠いのでやめた。
本当は「鳴神不動北山桜」に縁のある京都の志明院や南座、大阪道頓堀の劇場跡などにも行きたいんだけど、これは3年の研修旅行への課題にしておこう。
どうやって評価するの?
だいたいセンセイの授業って評価基準があいまいだから、その辺もしっかり設定してね。
基本はレポートだよ〜。まず、歌舞伎の劇評。歌舞伎を見に行くから、見た歌舞伎作品について評論するの。
それから受講生の人数次第だけど、上で話した「役者の家々」「歌舞伎の種類」「舞台の構造」「戯曲構成」などについてのレポート。たぶん、この二本でOK。
ほんとうはさ、台本読んで演じさせて、相互評価させるという授業をしたいのだけど、2単位の授業だと厳しそうだからね。

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