『舞-HiME』ラジオドラマ台詞集 第十一話〜第十二話

なるべく正確に聴き取るよう心がけていますが、間違っている所もあるかもしれません。

第十一話 「この子誰の子?」 (本編11話の直前) 2/13放送分

(出だし「It's only the fairy tale」、聖歌隊の練習。)
紫子:はい。では、聖歌隊の今日の練習はここまでにしましょう。皆さん、とても上手になりましたよ。
生徒一同:ありがとうございました。
女生徒:さよなら、アリッサちゃん。また明日ね。
アリッサ:さよなら。
深優:お嬢様、今日も素晴らしいお声でした。
アリッサ:(笑って)ありがとう、深優。
紫子:深優さんは、本当にアリッサちゃんのことが大切なのね。
深優:はい。お嬢様は私のすべてですから。
紫子:まあ! ごちそうさま。
深優:私は、シスターに何も食物を与えたりしていませんが。
紫子:え? あ、ああ、そういう、言い回しがあるんです、日本語には。
深優:そうなのですか。では、記憶します。(キュイーンピピピ) ん?
紫子:どうしました?
深優:外から、何か動物の鳴き声が。
紫子:え?
(場面転換)
(赤ん坊の泣き声)
深優:発生源は2時の方向。約30メートルです。
紫子:この声は…まさか!? やっぱり! まぁどうしましょう。
アリッサ:赤ちゃん?
紫子:そうですわ、赤ちゃんですわ!
(場面転換)
紫子:書き置きのような物は何も…ええ、でしたら、とりあえずこちらで…はい、では、ご連絡をお待ちしています。
(カチャ)
深優:どうするのですか?
紫子:困りましたわ。警察は、今人をこちらに寄越せないと…。ですから、しばらく私たちでお世話しなくてはなりません。
深優:この赤ん坊は捨て子ですか?
紫子:いいえ! そんな事あるはずがありません! こんな可愛い赤ちゃんを捨てるなんて、そんな…。あぁ、よしよし、泣かないで〜。べろべろべろべろ、ばぁ〜!
(赤ん坊、さらに泣く)
紫子:ど、どうしましょう、ああ、泣き止んで〜。
深優:オムツが濡れているようですが。
紫子:え?あら、ほんとだわ。大変。え、えっと、オムツオムツ…。たしか、かごの中に一緒に。
アリッサ:これ?
紫子:そうですわ! …と、そしたら、ん?たしか…。あぁ、待って、お願い。
深優:シスターは赤ん坊を生んだことはないのですか。
紫子:ありません! それに、実は面倒を見たこともほとんどなくて。
深優:分かりました。でしたら私が代わります。私は3人ほど生んだことがありますので。
紫子:えっ。 えぇぇ〜っ!
深優:冗談です。
紫子:もう、深優さん、真顔で冗談を言わないで下さい!
深優:これも訓練と学習の一環です。
紫子:まあ〜、男の子ですのね。かっわいらしいものが〜。
アリッサ:かわいいの?私も見たい。
深優:駄目です。お嬢様は見てはなりません。
アリッサ:でも…。
深優:お父様に叱られます。シスター、あなたも見入っていないで手伝って下さい。私も知識があるだけですので。
紫子:はっ、あらごめんなさい。
深優:左辺と右辺をY軸方向に90度。のち、下方からX軸に垂直に引き上げ、テープで留める。これで完了です。
紫子:泣き止んでくれませんね〜。
深優:こういう場合、空腹である事が多いようです。
紫子:まあ、でしたら、お乳をあげなければ。よいしょ、と。
深優:シスター。
紫子:う。
深優:いきなり脱いでどうするつもりです。母乳が出るのですか。
紫子:きゃっ! やだもう私ったら慌てて! えっとミルクですよね、哺乳瓶と。今用意してきます〜。
(パタパタと走り去る。)
深優:よしよし、泣くな。べろべろ、ばあ。(棒読み。)
(赤ん坊、泣き止まない。)
深優:くっ…。
(アリッサ、歌いだす。)
深優:お嬢様。まぁ! さすがですお嬢様。泣き止みました。
アリッサ:ねえ、深優。見せて、赤ちゃん。
深優:はい。
アリッサ:わ〜あ!
深優:お嬢様。
アリッサ:ふふっ、見て、深優。握ったわ、この子。私の指。
深優:はい。きっとお嬢様の歌声の素晴らしさが、この子にも伝わったのでしょう。
アリッサ:かわいい〜。ねえ、深優。私にも、こんな頃があったのかしら。
深優:申し訳ありません。私には、お嬢様がお生まれになった当時の記録は…。
アリッサ:そうよね。気にしないで。聞いてみただけです。でも、この子がもし本当に捨て子だったら、私の弟にしてもらえるよう、お父様に頼んでみようかしら。
深優:お嬢様!?
<to be continued...>




第十二話 「小さないのち」 (本編11話の直前) 2/20放送分

アリッサ:ご機嫌ね、この子。
深優:はい。笑っていると、かわいいものですね。
アリッサ:うふふ。
深優:お嬢様、日傘はご自分におかけ下さい。あまり日に当たられては…。
アリッサ:大丈夫よ、深優。この子より、私の方が丈夫ですもの。
深優:お嬢様。 お嬢様が、昨日おっしゃった事ですが。
アリッサ:この子を私の弟に、って話?
深優:…はい。お気持ちは分かります。ですがやはり…。
アリッサ:分かっています。あれはただの気まぐれ。それに、使命を遂行できなければ、弟どころか、私自身も。でも、でもね。うまく使命を果たせたら、お父様は私のお願いを何でも聞いてくださるって約束したわ。だから、もしかしたら。
深優:お嬢様…。
アリッサ:変ですね、私。私にはお父様がいて、深優もずっと一緒にいてくれるのに、こんなことを、考えるなんて。あら?オムツかしら。それとも、お腹が?
深優:両方とも、違うようです。原因不明。体温、脈拍、その他のバイタルサインは正常ですが。
アリッサ:仕方ありませんね。教会に戻って、シスターに。
巧海:ちょっと抱いてあげたら、落ち着くんじゃないかな。
晶:おい巧海! ったく、おめーは余計な事に首突っ込むの好きだなぁ。
深優:鴇羽、巧海。
アリッサ:彼女の、弟ですか。
深優:はい。
巧海:いいですか?ちょっと抱かせてもらって。
深優:お嬢様。
アリッサ:…うん。
巧海:どうしたのかな、君は。あはっ、ほら泣かないで。よしよし、いい子だね〜。
晶:へぇ、うまいもんだな、あやすの。
巧海:僕、小児科病棟に入院していたことがあるから、その頃、ね。
晶:ああ…。
(赤ん坊、泣き止んで笑い出す。)
深優:すごいですね。泣き止みました。
巧海:ちょっと、こつがあるんですよ。うまく口では説明できないんですけど。
深優:そういうものですか。
巧海:ねえ晶くん、よく見てよ。この子かわいいよね〜。
晶:ああ…まあな。
巧海:いつか僕たちも、こんな風に自分の子供を抱けたら良いね。
晶:へっ? …バッ、バカお前、いきなり何言ってんだよ!お、俺達は、男同士だぞ!子どもなんか、出来るはず…
巧海:当ったり前じゃない。だからさ、それぞれ結婚したら、ってことだよ。
晶:あ、ああ…そうか。俺はまたてっきりバレたのかと。
巧海:何が?
晶:な、何でもない!
巧海:変な晶くん。
晶:うるせえ馬鹿野郎。(何て言ったのか分からない…。)
巧海:もう落ち着いたみたいです。うーん眠いのかなぁ。あまり日差しの強くない所で、昼寝させてあげてください。
深優:分かりました。
巧海:お待たせ、晶くん。行こう。
アリッサ:あ。
巧海:え?
アリッサ:あの、ありがとう。
巧海:(笑って)どういたしまして。
晶:ったく、ホントお前は男のくせに、つまんねーことばっか得意なのな。
巧海:つまんないってのはひどいなぁ。赤ちゃんを…(フェイドアウト)
アリッサ:彼が、鴇羽巧海。
深優:はい。私たちが鴇羽舞衣を倒した場合、恐らく彼。
アリッサ:そう。皮肉ですね。できれば知りたくなかったわ。彼がどんな人間かなんて。
深優:仕方ありません。我々には、崇高なる使命が。
アリッサ:分かっています。私がそれを忘れる事はないわ。でも、だからこそ余計に。
深優:アリッサお嬢様。
アリッサ:それに、
紫子:深優さん、アリッサちゃん!(駆け寄ってくる)
深優:どうしました、シスター。
紫子:見つかったんです、その子の母親が!
アリッサ:え?
紫子:捨てたわけではなくて、少し目を離したときに誰かに連れ去られたらしくて。でも良かったですわ〜、必死で探していたようですし。すぐに、迎えに来るそうです。
深優:そうですか。
アリッサ:見つかったの。
紫子:私、案内して来ますから、教会に戻っていて下さいね。
深優:分かりました。
アリッサ:そう。見つかったの。良かったわね。
深優:お嬢様。
アリッサ:行きましょう、深優。そして、この子を返したら、使命を遂行することに全てをかけましょう。無垢なるこの小さな命が、真の幸福を得られる未来を、黄金の時代を迎えるために。
深優:はい。
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