『舞-HiME』台詞集 第21話〜第23話(一部)
なるべく正確に聴き取るよう心がけていますが、間違っている所もあるかもしれません。
第21話 「黒き君、目覚めるとき」 なつき:これだけの騒ぎだ、もう隠せないぞ。 迫水:構いませんよ、もう隠蔽する必要はないんです。マスコミに流れるのは止めますがね。どうせ次は300年後。それまでには、ただの伝説かおとぎ話になってますよ。 な:そうやって、また繰り返すのか。 スミス(登場):でしょうね。 迫水:は。 スミス:一番地と呼ばれる公的には存在しない筈の国家機関が、そうやって、この媛(HiME?)の祭を司り、この国を裏から支え続けてきたのですから。 迫水:あなたは… スミス:久しぶりですね、ミスター迫水。そして初めまして、プリンセスなつき。私はシアーズ財団広報4課主任、ジョン・スミスと申します。 (OP) (バイクで走るなつき)(スミス&迫水とのシーンに戻り、エレメントの銃を構えるなつき) スミス:そう気色ばまないで下さい。前会長が亡くなり、今回の祭には干渉しないことになりましたので。私の仕事は、前会長の火遊びの後始末なんですよ。 なつき:お前か、私と情報の取引をしたいというのは。 迫水:はっ。(息を呑む) スミス:ええ、単刀直入にいきましょう。深優・グリーアの残骸、あれがどこにあるかご存知ありませんか。いや間抜けな話なんですがね、回収信号をロストしてしまったんです。ここは一つ、直接戦った方にお伺いしようと。 なつき:見返りの情報は何だ。 スミス:そうですねぇ、見返りはあなたの母上、ドクター玖我の死の真相というのはいかがでしょうか。 なつき:何だと!? なつき(バイクで走る):母さん…。 迫水:耳を貸さないで下さい、この男は… スミス:あなたこそ黙っていなさい、一番地の狗が。これは、私と彼女の取引です。 なつき:直接は、知らない。だが、 迫水:いけません! なつき:あの戦いの直後、裏山の湖に、氷の花が咲いたという噂があった。あるいは…。 スミス:信号が途絶えた地点ですねぇ。あそこならもう底まで浚ったんですが。どうやら本当にご存じないようですな。ですが、正直に答えていただけたのでこちらも誠意を持って対応しましょう。何しろあなたは我々の仲間になったかもしれない方ですからね。 なつき:何? 迫水:スミス、やめなさい! スミス:ドクター玖我は我々にあなたを我々に研究材料として売ろうとし、それが発覚して粛清されたのです。 なつき:!(息を呑む) スミス:いや、残念でした。もう前金はお支払いしてあったので、余計にね。 (なつき、バイクで走っている。) 回想・ヤマダ:例の数字はやはり口座番号だった。おおまかな金の流れを辿ると、最終的に二つの名前に辿り着く。岩境(いわさか)製薬、もう一つはシアーズ財団。 なつき:嘘だ…。 (糸に引っかかってバイク横転。) なつき:うわぁっ! うっ…う…ん……。 (奈緒登場、背後でバイクが爆発する) (舞衣と黎人) 黎人:少しだけ、ブランデーを垂らしてある。温まるし、落ち着くよ。ここは、神崎の実家でね。といっても、家族が僕しかいないんで、普段は、寮に入らせてもらってるんだけど。帰るのは、週末くらいかな。そうじゃなきゃ、一人になりたい時。必要なら、僕はずっとここに座っている。だから。 舞衣:聞いてくれますか、今までのこと、全部。 (学校の遥と雪之) 遥:ったく、あのぶぶ漬け女! どこへ消えたの? この一大事に職務を放棄するなんて!! 碧:雪之ちゃん。 雪之:杉浦先生。 碧:ちょっと、借りるわよ! 遥:え?あ〜っ、ちょ、 (碧、雪之を連れ去る。) 遥:何なのよ、一体! (碧・雪之) 碧:何があったの?舞衣ちゃんは?巧海くんはどうなったの?教えて! 雪之:…はい。 (奈緒となつき) 奈緒:ほぉら、笑って?(糸で拘束したなつきを写メで撮る。) つまんないよね、これじゃ。ちょっと、何で抵抗しないの? シカトしてんじゃないよ。 (爪をなつきの眉の上に当てる)抜け殻みたいなあんたを甚振ったって、この傷の痛みはさぁ、消えやしないんだよ! 静留:待っとおくれやす。なつきは、あんたの好きにはさせません。 奈緒:あんた。 なつき:静留…。 静留:結城さん、言わはったかいな。 奈緒:会長様までご存知とは、あたしも有名になったもんね。 静留:あんた、可哀相な子ぉやね。 奈緒:! 静留:色々気ぃ付きすぎはんやろ。もうちょっと鈍いはったら、そんな苦労せえへんかったやろうに。ちっちゃな頃からずっと誰かにきつう縛られて、人の顔色見んと生きてこれへんかった。違います? 奈緒:フッ、フフ…。何かと思えば、あんた何とかカウンセラーにでもなったつもり? この状況分かって言ってんの? なつき:しず、る…。 奈緒:ははぁ、そういう事。 静留:そやねぇ。あんたにどんな過去があったかて、うちには関係ありません。うちはただ、なつきを、守りたいだけどす。(長刀のエレメント発動。) なつき:静、留。 静留:なつきを傷つけるもんは、それが何であろうと、許しません。 奈緒:ふふっ、なるほどねぇ。噂通りなんだ。カウンセラーが要んの、あんたの方じゃないの? (エレメント発動)ウザいんだよ! ふっ。 静留:清姫。(ジュリアを海に投げ落とす。)(CM入り) (舞衣と黎人) 舞衣:こうやって話しても、まだ信じられなくて。どうして…こんな…。 (黎人に抱き寄せられ、舞衣、泣き出す。) 黎人:理不尽だよね。巧海くんが病気なのも、君がHiMEなのも、その結果も。だけど、今の話が本当なら、まだ諦めるのは早いのかもしれない。戦いに勝った者には、凄い力が手に入るというのなら、まだ、希望はあるのかも。それに、君は気付いてしまったんだろう。自分の中の、本当に大切な人への思いに。何も思い通りにはならない世界で、たった一つ確かな物があるとすれば、それは、人の思いだけだ。そのためになら、自分が望む大切なもののためなら、人は、鬼になれるかもしれない。(奈緒の携帯を踏みつける静留の足。)鬼になっても、許されるのかもしれない。(静留、長刀で携帯を弾き飛ばし、奈緒のいる道路を切り落とす。) 舞衣:黎人さん…。 黎人:僕はもう行くよ。学園の方も気になるし。君はゆっくりしていくといい。ごめん、本当に。君の気持ちも考えずに、つまらないことを。 舞衣:あ、ありがとう、黎人さん。(黎人退室。)希望…。 凪:紳士だね、せっかくのチャンスなのに。 黎人:体だけ手に入れても、彼女は僕のものにはならない。予定通り行く。 凪:ふっ。我が君の仰せのままに。 (和室) なつき:ここは…。 静留:うちがお茶教えてる生徒さんの持ち物(もん)でな。安心しい、誰もここのことは知らんし。いるんは、なつきとうちの二人だけやさかい。これでも随分辛抱しましたんえ。うちがHiMEやと知ったら、なつきがいちいち気ぃ回さんといかんようになる。うちのこと思て、ずっと黙っててくれはったん、嬉しかったさかいね。でも、今回は見過ごせへんかったんどす。会長の仕事も何(なん)も、全部投げ捨ててでも、うちは。 なつき:(泣きそうな顔を反らして)もう、どうなってもよかった。 (海、崩れ落ちた道路の上。) 奈緒:うっ…やられて、たまるか…。なんで、どいつもこいつも私を狙って……。 (和室) 静留:うちはなつきが好きどすえ。そやから何があったかて、うちはなつきを守ります。 なつき:私も、静留が好きだ。 静留:(障子を閉めて)でも、あんたの好きと、うちの好きとは違うんどす。 (崩れた校舎前) 生徒男:休校かよ。ったく、こっちが来る前に言えよな〜。 男:でも、これマジで火事なのか? 生徒女:竜みたいなの見た人がいるんだって。 女:イカの化け物って聞いたけど? 女:この学園って…。 男:この前の事件といいさ、ちょっと、マジでヤバいんじゃないの? 女:電話で話したらね、、お母さんもう帰ってきなさいって。 (生徒会室) 生徒たち:おい、説明しろよ! 生徒会の男:珠洲城部長、早急に生徒会としての見解を出さないと、このままでは! 遥:できるならやってるわとっくに! でも、会長権限なのよそれは! まったくもう、あのぶぶ漬け女!未だに音沙汰無いなんて見損なったわ! 仕事だけは器用にこなすのが、あの女の唯一の美点だったのに!! 雪之:遥ちゃん…。 遥:理事長からも何も言って来ないし、一体どうなってるのよこの学園は〜!! (千絵&あおい、楯) 千絵:こりゃまた大変だったねぇ〜。 あおい:もう〜。びっくりしたよ〜。あたしお風呂に入ってるまっ最中でさ〜。 千絵:わ〜お、ストリップ状態? あおい:バスタオルは巻いてたよ〜! 楯:おい、鴇羽は! あおい:楯君。 楯:あいつはどうした。 あおい:舞衣ちゃんも命ちゃんも、昨日の夜から、全然。 千絵:楯? (風花邸) 碧:どうするつもりなの、舞衣ちゃんも命ちゃんも、こんな! 二三:真白様、これが!(折られた手紙を差し出す) 真白:お見通しですか。こちらが彼を特定する前に、招待状が届きました。(手の上を吹いて結界を張る。)杉浦先生。あなたには、お話しておかなければならない事があります。 碧:え? 凪(庭):結界か。さぁて、中では何が話されていることやら。 碧:そんな! 真白:ええ、それがこの戦媛(いくさひめ)の神事のからくりなのです。 碧:黒曜の君、水晶の姫…。はっ、じゃあ、あなたは! 真白:先生は、思いで運命が変えられると、そうおっしゃいましたね。 碧:ええ。 真白:私たちは、それに賭けてみようと思います。 碧:私も行くわ! 真白:あなたには、これを託します。 二三:真白さま!彼女はまだ! 真白:ええ。ですが、間もなく修復が完了するはず。目覚めさせるか否かは、あなたにお任せします。 (携帯電話で話す)迫水:了解いたしました。 (石上とシスター紫子) 石上:奴らが、とうとう黒曜宮に入る! (風花邸) 真白:杉浦先生には、重荷を背負わせてしまいましたね。 二三:これで、よかったのだと思います。私好きですわ、杉浦先生のこと。 真白:二三さん、今まで、私に仕えて下さって、本当に…。 二三:お気になさらないで下さい! 私は真白さまのメイドですから。 真白:(二三の紅茶を飲んで)美味しい…ふふ。これはおそらく罠でしょう。ですが、私たちは行かねばなりません。それが、あの子達の運命を知りつつ、戦いを強いてきた、私たちの務め。 (二三、真白の車椅子を押して隠し通路に入って行く。) (凪と黒曜の君) 凪:彼女たち、ずっと考えてたみたい。あなたを倒そうってね。でも、あなたが誰かまでは分からなかった。その辺り、感謝して欲しいなぁ。来たみたいだね。 (真白と二三、クルーザーで登場。) 黒曜:君がこっちに出てきてるとは、冥府の女王の座に不満でもあったのかい。 真白:あなたが黒曜の君の器だったのですね、神埼黎人さん。 黒曜:もう全ての記憶を取り戻したよ。何にせよこの300年間、ご苦労だったね、真白。いや、水晶の姫。 真白:私はあなたを倒します。この呪われたHiMEの定めを断ち切るために。 黒曜:その魂をチャイルドに委ね、偽りの傀儡(くぐつ)に宿り、そうまでして僕を倒したかったのかい? 真白:ええ。かつて愛したあなたでしたから。お兄様。 二三さん! (二三、鎌を出して黒曜に襲いかかる。)(命が二三を撥ね退ける。) 命:兄上を倒そうとするものは、この私が許さない! 真白:あなたは、また! 黒曜:僕が倒しても、君(=真白?)のチャイルドとしての力が無駄になるだけだからね。さあ、命。僕の愛しい妹よ。僕のために戦っておくれ。 命:はい、兄上。 二三:命さん…。 真白:仕方が、ないのですね…。 二三:真白様!? (真白、変化(…?)) 命:巳六!! (光を見ながら) 碧:理事長、二三さん…。 (黒曜ズ。黒服に混じって迫水と石神も並んでいる。)(前に人形姿の真白が吊るされている。) 黒曜:300年に渡る不在の間、皆ご苦労だった。定めの時は近い。これより全ては、僕が取り仕切る。 (ED) ●Comment この回で本格的に『舞-HiME』にハマったので、思わず全台詞書き取ってみました。 第22話 「くずれゆく......」 (一部) (生徒会室) 黎人:雪之さん、そろそろ静留さんの居場所、遥さんに教えてあげたら。 雪之:あ…。 遥:雪之? 雪之:あ、あのう…。 (ダイアナの胞子が縁側を偵察している。) (犬が現れ、なつきのつま先を舐める。なつき、犬を抱き上げる。) なつき:こら、どこを舐めている。くすぐったいってば。 (静留がお茶菓子を持ってくる。)(視線はなつきの首筋にズームイン。) なつき:本当はあの時、心の中で、何度もデュランを呼んだんだ。でも、デュランは答えてくれなかった。 (犬の鼻の上になつきの涙が落ちる。) なつき:ん…っ(泣き出すなつき。) (犬がなつきの顔を伝う涙を舐める。) (舞衣と楯、烏のチャイルドと白無垢のHiME) (黒曜の君たちの元にジョン・スミス達が訪れる) (保健室のシスターと碧の会話) (石神のもとに訪れる凪) (碧と陽子の会話。碧は陽子に封筒を預ける) (病室の詩帆と楯) (図書館(?)を訪れた舞衣を迎える凪) 静留:なつき。お日ぃさん沈まはったさかい、そろそろ冷えますえ。…ん。なつき。 (静留、眠るなつきの顔を撫で、唇を寄せる。) 遥:なっ、のわーっ!! (雪之、遥の口を押さえる。) 遥:あなた今! 静留:あちらでお話しましょうか。 (風花邸の例の部屋へ行く碧。阻止しようと現れる命。) 静留:なつき。 (なつき、迫ってくる静留のくちびるを思い出す。) なつき:はっ!う…(口を押さえる)ん、バカだな、静留がそんなこと…。 遥:今度という今度は、本当に見損ないましたわ!学園の一大事だというのに、職務を放棄し、あまつさえあんな…。もう生徒会にあなたの居場所はない。それを伝えに来たの。何か反論はある? 静留:あんじょう頼みますわ、珠洲城さん。 遥:な、何ですって!そんな簡単に… 雪之:遥ちゃん…。 静留:気張って珠洲城さんを助けてあげてな、菊川さん。 雪之:どうしてそんなに冷たいんですか、いつも! 静留:ん。 雪之:あたしじゃ駄目なんです。遥ちゃんはずっとあなたを見てたんです、全然かなわないって分かってても、それでもあなたに、少しでもライバルとして認めて欲しいって! 遥:雪之、勝手な事言わないで! 雪之:だからずっと頑張ってこれたのに!なのにあなたは、遥ちゃんを見ようとしないで、 遥:雪之! 雪之:戻ってください、お願いです。 静留:ふっ…。(息を吐く) (後方の木の陰になつきがいる) 雪之:もし戻ってもらえないなら、あたし…あたし見たんです、さっきキスしたみたいに、眠ってる玖我さんを、あなたが…友達だって信じきってる相手を、あんなことを…。 (息を呑むなつき。先刻の静留を思い出し、自分の身をかき抱く) 静留:よう言わはりますなぁ菊川さん。あんたかて同じ穴の狢ちゃいますん? 雪之:違います、あたし、 静留:そしたら、覗きの方がお好みなんどすか。ええ趣味してはりますな。 雪之:は…。 (遥、歩み寄り静留を平手打ちする。) 遥:あんたって人には、激しく失望させられるわ。何、その開き直りは!結局いつも自分の事しか考えてないんじゃないの!そんな奴に、雪之がどうこう言われる筋合いはないわ!女同士であんな行為に耽ってるなんて、汚らわしい!あんたも、玖我なつきも!! (静留、遥を平手で打つ。) 静留:あれは、うちが勝手にした事。なつきを侮辱するのは許しませんえ。あんた、大切な人のためやったら何をやっても許される。そう思うたはります?(視線の先に雪之。) ええ、うちもそう思いますわ。(エレメント発動) 雪之、遥:はっ! なつき:静留! (黒曜の君に会わせろと凪に詰め寄る舞衣。どこまで本気か、証拠を見せろという凪の後方で風花邸が爆発する。) (ED) 第23話 「愛情と友情、非情」 (一部) 静留:あんた、大切な人の為やったら何をやっても許される。そう思うてはります? ええ、うちもそう思いますわ。(エレメント発動) 雪之・遥:はっ! なつき:静留! (舞衣と凪) 舞衣:あんた達の思惑に乗ってあげるわ。でも、その前に黒曜の君に会わせて。 (OP) (ドアを開けた碧に、剣を引きずった命が迫ってくる) (ドアを閉め、謎の装置を起動させる碧。画面にM.I.Y.U.の文字。) (「この個体には前回起動時のメモリーが残っています。フォーマットし、新たなマスターを設定しますか」とコンピュータ(M.I.Y.U.)に問われ、迷う碧。) (命がドアを破壊し、襲ってくる。) (命、チャイルド・巳六を出現させる。碧も愕天王を呼び出し反撃。) (舞衣と凪。風花邸炎上。舞衣、風花邸に向け飛び立つ。) (穴から地下に潜ると、倒れた碧と、命がいる。) (愕天王消滅。) (命が剣で機械を破壊しようとすると、深優が手でそれを止め、跳び去る。) (碧が倒れ、写真が燃えていく。) (どうしてこんなの事をするのかと命に問う舞衣。) (兄上は自分を好きと言ってくれたから、兄のために戦うと言い、去って行く命。) (静留の生徒の家) 遥:藤乃…。 雪之:藤乃さん、あなたも! 遥:え?え? (長刀を構える静留に、駆け寄ってくるなつき。) なつき:やめろ、静留! 静留:なつき! あんた、今の、聞いて…? なつき:ん…。(目をそらす) 静留:なつ、き…。 (静留、なつきの頬に手を伸ばす。) なつき:!(息を呑む) (キスと夜の光景フラッシュバック) なつき:嫌ぁっ! はっ。 (なつき、我に返って静留を見る。) 静留:あんたにだけは知られたなかった。こんな邪な恋、受け容れられる子ぉやない。分かってたのに。 (静留、涙を流してから雪之たちの方に振り向く。) 静留:菊川さん。もう、刻限も近(ちこ)おすな。決着、つけなあかんよね。 なつき:静留、やめろ! (遥、長刀の刃を持ち上げる) 遥:これが何。 遥ちゃん! (雪之、止めようと近づく。) 遥:全く、あんたがここまで安っぽい奴だとは思わなかったわ。自分の弱みを見られた腹いせに、刃物つきつけて脅そうっていうわけ? 雪之:あ、あの…。 遥:見下げ果てた生徒会長様ね、やってみなさいよ! 雪之:やっちゃだめだよ遥ちゃん! 遥:お黙り! どうしたの、やらないの!? だったらこれ以上見苦しい事する前に消えなさい!雪之には、指一本触れさせないわ!! 静留:下がりよし。あんたの出る幕やありません。ぎゃあぎゃあやかましいわ。清姫。(チャイルド出現) 雪之:遥:はっ(息を呑み、何歩か下がる) なつき:静留、やめろ、静留! (なつき、静留の肩を掴む) 雪之:遥ちゃん! 遥:は…だから何!? 雪之:遥ちゃん!お願いだから逃げて!! なつき:デュラン!出てきてくれ、デュラン!デュラン… 静留:なつき。 なつき:は…。 静留:うちが守ったるさかい。清姫。 (雪之、遥の前に出る。) 遥:雪之! 雪之:ダイアナ! (ダイアナの触手が清姫に伸びるが、静留が刃を分割した長刀で切り刻む。ダイアナを食らう清姫。) 雪之・遥:は…(息を呑む) 雪之:あ…あ…いや……遥ちゃんが! 遥:え?あたし? う…っ。 (遥、左胸を押さえる。) 雪之:遥ちゃん…。 遥:何、こんな…うぅ…そういう事…! (遥、立ち上がり静留に近づいて行く。) 雪之:遥ちゃん! 遥:見てて。 雪之:えっ。 遥:藤乃、これで私に勝ったつもりだろうけどね、あいにく私は珠洲城遥なのよ。私は負けない。私は正しい。人間の価値って、こんなへっぽこ手品じゃ…あっ…決まんないのよ! (遥、静留に頭突きする。) (静留が後ろに一歩よろめき、右の下駄の鼻緒が切れて脱げる。) 遥:雪之! (遥、雪之に腕章を投げる。) 雪之:は、遥ちゃん! 遥:雪之。 (幼い頃の回想) 幼い雪之:すごいね遥ちゃん! 遥:私は… (遥、消滅。地下にまた1本柱が立つ。) 雪之:遥、ちゃん…。 静留:んっふふ。あぁおかし。 なつき:ん? (なつき、静留を訝しげに見る。) 静留:惨めやねぇ。あれでうちに一矢報いたつもりなんかな。ふっふふ。 (なつきの表情が少し険しくなる。) 静留:もう隠す事はない。なつき。うちは、あんたを愛してます。 (静留、空ろな目でなつきを見る。) なつき:静、留…。 静留:そうや。うちが他のHiMEもなんも、なつきの嫌なもん全部倒したるさかいにな。 なつき:はっ…(なつき、息を呑む) 静留:待っといてな…。 なつき:待て、静留、静留!! (黒曜宮) 凪:お〜怖ぁ〜。さすがだね。あなたの読み通りだ。 黒曜:凪。彼女になつきさんの敵の居場所を教えてあげて。一番地がなぜ一番地と呼ばれるかを。 凪:了解。って? 黒曜:300年ぶりに目覚めてみてよく分かったよ。この世界はもう駄目だ。でも、あの老婆たちがいる限り同じことの繰り返しになるだろう。未来は若者の手で作らなくちゃね。 凪:ねえ、あなたは黒曜の君? それとも、神埼、いや美袋黎人? 黒曜:ふっ…。 (眠る碧の元にいる、舞衣と陽子。舞衣の手には碧が陽子に預けていた封筒と手紙がある。) (学園休校の表示、生徒たち、街中で倒れるなつきなどをバックに、碧の手紙が読み上げられる。) (最後に残ったHiMEは黒曜の君の妻になるのと引き換えに媛星の力を得ること、自分の恋する気持ちに嘘をつかないでほしいということなどが書かれていた。) (机の上にシスターの忘れ物があり、シスターはそれまで一度も保健室を利用した事がなく、昨日も腕に傷跡はなかったという陽子の話。) (美術用品に当たる石上を、シスター紫子が見ている。まだ戦ってもらわねばならないという石上に、紫子はエレメントの矢を向ける。) (病院の詩帆と楯。3時に病院前の公園で待ち合わせる。) (病院の廊下で、楯はなつきが運ばれてくるのに遭う。) 楯:あっ、玖我! 静留(回想):大丈夫。うちがなつきの嫌なもん、全部倒したるさかい。 なつき:やめろ、やめてくれ!! (飛び起きるなつき。) なつき:は…。 楯:よう。お前、街中で倒れてたらしいぜ。救急車で運ばれてきた。 なつき:どうせなら、そのまま放っておいてくれればよかったんだ。 楯:やっぱり変だぜお前も。 なつき:ん。 楯:お前も、HiMEなんだよな。何があったんだよ、鴇羽、あいつも! なつき:舞衣が? (教会にいるシスターのところに、聞きたいことがあると舞衣が訪れる。) なつき:そうか、舞衣のやつ…。HiMEの定めが、全てを壊していく。お前は舞衣が好きなのか? 楯:分かんねえよ。だけど、あんな…何であいつ! なつき:HiMEの戦いには、大切な人の命がかかっている。 楯:えっ。 なつき:HiMEが敗れる時、そのHiMEの思う一番大切な人の命が失われるんだ。 えっ、じゃ、巧海は! なつき:巧海は、他のHiMEの想い人として消えていった。そうだな、あの頃には、舞衣の一番大切なものは変わっていたのかもしれない。 舞衣(楯の回想):そういう人間なのよ、あたしは。さよなら。 楯:まさか、あいつ。 なつき:楯? 楯:畜生―っ! (楯、部屋を走り出て道路を走る。) (教会で対峙する舞衣とシスター。) (戦いが始まったのは、シスターが奈緒に襲われたと嘘をついたためだと舞衣に言われ、認めるシスター。) (勝ち残って巧海を取り戻し、そしてあいつを…と言いかける舞衣。) (それがあなたの本当の望みか、と舞衣に問うシスターの後ろにヴラスが現れる。) (マンションに戻るなつき。糸が伸び、なつきの手を拘束する。) なつき:わっ! 奈緒:おかえり。ずいぶん遅かったじゃない? 待ってたんだよ、ずーっと。 なつき:奈緒。 (公園に向かう詩帆。車椅子ごと階段横のスロープから転落する。) 奈緒:傷が、疼くんだよね。ジンジンジンジンって。男を何人締め上げても止まんなくって。 (奈緒、爪をなつきの喉元に突きつける。) なつき:う…。 奈緒:やっぱりあんたやんないと、ダメみたい。 (ヴラスの幻影にとらわれていく舞衣に語りかけるシスター。) (体調を悪化させながらも公園で楯を待つ詩帆。) (ED) |